入江、200M背で銀 萩野は400M自由で銀 〜パンパシ水泳〜
23日、パンパシフィック水泳選手権3日目がオーストラリア・ゴールドコーストで行われ、男子200メートル背泳ぎ決勝は入江陵介(イトマン東進)が1分55秒14で2位に入り、銀メダルを獲得した。優勝はタイラー・クラーリー(米国)。萩野公介(東洋大)は8位だった。萩野は400メートル決勝にも出場し、3分44秒56の2位で銀メダルを獲得した。優勝はパク・テファン(韓国)が3分43秒15で3連覇を達成。男子100メートルバタフライはマイケル・フェルプス(米国)が制した。池端宏文(法政大)は3位に入り、銅メダルを獲得した。女子400メートルフリーリレーでは、日本代表が内田美希(東洋大)、山口美咲(イトマンSS)、宮本靖子(東洋大)、松本弥生(ミキハウス)のメンバーで3位に入った。そのほか女子400メートルリレー決勝では、ケイティ・レデッキー(米国)が3分58秒57の世界新記録で優勝した。レデッキーは200メートル、800メートルに続き自由形3冠を達成した。
メダルラッシュが続くトビウオジャパン。この日は金メダルこそゼロだったが、4個のメダルを積み重ね計12個となった。
まず最初にメダルを獲ったのは、初代表の池端。男子100メートルバタフライで、フェルプス、ライアン・ロクテと米国が誇る世界のトップスイマーたちに次ぐ3位に入り、表彰台に上がって見せた。池端は前半から積極的に仕掛け、折り返しの50メートルのターンではトップだった。後半は2人にかわされたが、3位の座を最後まで守り抜いた。殊勲のメダルにも、表情は硬く「ちょっとタイムが遅すぎた」と52秒50の記録に不満の様子。明日のメドレーリレーに出場予定しており、悔しさはそこで晴らしたい。
マルチスイマー・萩野はこの日もメダルを獲得した。400メートル自由形決勝で、大会連覇中のパクに加え、今季世界ランキング1位のライアン・コクラン(カナダ)、今大会1500メートル自由形を制したコナー・イェーガー(米国)らに小堀勇気(日大)とともに挑んだ。萩野は最初の50メートルをトップで泳いだが、100メートルで2番手、150メートルで6番手と順位を落としていく。しかし後半の追い上げが彼の真骨頂。残り100メートルを切ったところで、3番手までに浮上する。ラスト50メートルでイェーガーをわずかにかわし、あとは先頭のパクを残すのみとなった。
そこから巻き返しを図ったが、北京五輪で金、ロンドン五輪で銀を獲ったパクとの差は大きかった。結局、パクは身体ひとつ分の差をつける圧勝で3連覇を達成した。優勝タイムの3分43秒15は、萩野の持つ日本記録よりも速い。萩野も「ちょっと勝負にならなかった」と唇を噛んだ。
マルチスイマーの萩野は、400メートル自由形の表彰式を終えると、すぐに招集所へ。200メートル背泳ぎに出場するためだ。だが「気持ちの整理がつかなくて、2本目(の決勝)を行く気持ちができてなかった」と、レースは最初から出遅れると、そのまま挽回できぬまま8位でフィニッシュした。「まだまだ経験不足」と複数種目にエントリーする難しさを改めて実感することとなった。
一方、背泳ぎのエース・入江は200メートル背泳ぎで2位。銀メダルを手にしたが、本人は「タイムも順位も良くない」と納得はしていない。ロンドン五輪で金メダルを争ったクラーリーと接戦を繰り広げたが、ラスト10メートル付近でかわされた。ロンドンと同じ結果に終わり、ゴール後も悔しそうな表情で掲示板を見つめていた。
ここまで男子の活躍が目立つメダルトビウオジャパンだが、リレー種目で女子が意地を見せた。自由形の個人種目は、世界との差をあけられている状況たが、400メートルフリーリレーでメダルを獲得した。
レースはオーストラリアと米国が激しい1位争い。日本はカナダとのメダル争いとなった。日本の第1泳者は、新エース候補の内田。第一人者の上田春佳が引退した後、日本選手権、ジャパンオープンと100メートル自由形を制した。内田はオーストラリアと米国には離されたが、3位・カナダには射程圏の4位で第2泳者につないだ。
続く山口はわずかにリードを広げられが、第3泳者の宮本がつめ、0秒37差でアンカーの松本にメダルの行方を託した。松本は前回大会もこの種目に出場しており、日本記録を叩き出しながら4位と悔しさを味わっている唯一のメンバー。「3人の思いも心に持ちながら泳ぎました」と前を行くカナダのアンカーを追いかけた。
松本は最初の50メートルで0秒8上回るペースで泳ぎ、カナダをかわす。ラストの50メートルも差をつめられることなく突き離した。3着でフィニッシュし、12年ぶり横浜大会以来の同種目銅メダルをもたらした。順位を確認すると、水面を何度も叩き喜びの感情を爆発させた。
決勝結果は次の通り。
<男子100メートルバタフライ・決勝>
1位 マイケル・フェルプス(米国) 51秒29
2位 ライアン・ロクテ(米国) 51秒67
3位 池端宏文(法政大) 52秒50
7位 平井健太(セントラルスポーツ) 52秒84
※藤井拓郎(コナミ)、坂井聖人(早稲田大)、小堀勇氣(日大)、中村克(早稲田大)、原田蘭丸(自衛隊体育学校)、松田丈志(セガサミー)、坂田怜央(イトマンSS)、藤森太将(ミキハウス)は予選落ち
<男子200メートル背泳ぎ・決勝>
1位 タイラー・クラーリー(米国) 1分54秒91
2位 入江陵介(イトマン東進) 1分55秒14
3位 ミッチェル・ラーキン(オーストラリア) 1分55秒27
8位 萩野公介(東洋大) 1分59秒86
※松原楓(ANA)は予選落ち
<男子400メートル自由形・決勝>
1位 パク・テファン(韓国) 3分43秒15
2位 萩野公介(東洋大) 3分44秒56
3位 コナー・イェーガー(米国) 3分45秒99
7位 小堀勇氣(日大) 3分49秒05
※山本耕平(ミズノ)、平井彬嗣(明治大)は予選落ち
<男子400メートルフリーリレー・決勝>
1位 オーストラリア 3分12秒80
2位 米国 3分13秒36
3位 ブラジル 3分13秒59
4位 日本(塩浦、中村、藤井、伊藤) 3分14秒93
<女子100メートルバタフライ・決勝>
1位 アリシア・コーツ(オーストラリア) 57秒64
2位 リュー・イン(中国) 57秒76
3位 ケンドリー・スチュワート(米国) 57秒82
※星奈津美(ミズノ)、内田美希(東洋大)、中野未夢(アクシーひがし)、清水咲子(日本体育大)は予選落ち
<女子200メートル背泳ぎ・決勝>
1位 ベリンド・ホッキング(オーストラリア) 2分7秒49 ※大会新
2位 エミリー・シーボム(オーストラリア) 2分7秒61
3位 エリザベス・ベイゼル(米国) 2分8秒33
7位 赤瀬紗也香(日本体育大) 2分9秒65
8位 神村万里恵(セントラル成瀬) 2分12秒69
※酒井志穂(ミキハウス)、大塚美優(日本体育大)は予選落ち
<女子400メートル自由形・決勝>
1位 ケイティ・レデッキー(米国) 3分58秒37 ※世界新
2位 シエーラ・ランゲ(米国) 4分4秒55
3位 ローレン・ボイル(ニュージーランド) 4分5秒33
※高野綾(イトマンSS)、五十嵐千尋(日本体育大)、宮本靖子(東洋大)、高橋美帆(日本体育大)は予選落ち
<女子400メートルフリーリレー・決勝>
1位 オーストラリア 3分32秒46 ※大会新
2位 米国 3分34秒23
3位 日本(内田、山口、宮本、松本) 3分39秒06
(文/杉浦泰介)
メダルラッシュが続くトビウオジャパン。この日は金メダルこそゼロだったが、4個のメダルを積み重ね計12個となった。
まず最初にメダルを獲ったのは、初代表の池端。男子100メートルバタフライで、フェルプス、ライアン・ロクテと米国が誇る世界のトップスイマーたちに次ぐ3位に入り、表彰台に上がって見せた。池端は前半から積極的に仕掛け、折り返しの50メートルのターンではトップだった。後半は2人にかわされたが、3位の座を最後まで守り抜いた。殊勲のメダルにも、表情は硬く「ちょっとタイムが遅すぎた」と52秒50の記録に不満の様子。明日のメドレーリレーに出場予定しており、悔しさはそこで晴らしたい。
マルチスイマー・萩野はこの日もメダルを獲得した。400メートル自由形決勝で、大会連覇中のパクに加え、今季世界ランキング1位のライアン・コクラン(カナダ)、今大会1500メートル自由形を制したコナー・イェーガー(米国)らに小堀勇気(日大)とともに挑んだ。萩野は最初の50メートルをトップで泳いだが、100メートルで2番手、150メートルで6番手と順位を落としていく。しかし後半の追い上げが彼の真骨頂。残り100メートルを切ったところで、3番手までに浮上する。ラスト50メートルでイェーガーをわずかにかわし、あとは先頭のパクを残すのみとなった。
そこから巻き返しを図ったが、北京五輪で金、ロンドン五輪で銀を獲ったパクとの差は大きかった。結局、パクは身体ひとつ分の差をつける圧勝で3連覇を達成した。優勝タイムの3分43秒15は、萩野の持つ日本記録よりも速い。萩野も「ちょっと勝負にならなかった」と唇を噛んだ。
マルチスイマーの萩野は、400メートル自由形の表彰式を終えると、すぐに招集所へ。200メートル背泳ぎに出場するためだ。だが「気持ちの整理がつかなくて、2本目(の決勝)を行く気持ちができてなかった」と、レースは最初から出遅れると、そのまま挽回できぬまま8位でフィニッシュした。「まだまだ経験不足」と複数種目にエントリーする難しさを改めて実感することとなった。
一方、背泳ぎのエース・入江は200メートル背泳ぎで2位。銀メダルを手にしたが、本人は「タイムも順位も良くない」と納得はしていない。ロンドン五輪で金メダルを争ったクラーリーと接戦を繰り広げたが、ラスト10メートル付近でかわされた。ロンドンと同じ結果に終わり、ゴール後も悔しそうな表情で掲示板を見つめていた。
ここまで男子の活躍が目立つメダルトビウオジャパンだが、リレー種目で女子が意地を見せた。自由形の個人種目は、世界との差をあけられている状況たが、400メートルフリーリレーでメダルを獲得した。
レースはオーストラリアと米国が激しい1位争い。日本はカナダとのメダル争いとなった。日本の第1泳者は、新エース候補の内田。第一人者の上田春佳が引退した後、日本選手権、ジャパンオープンと100メートル自由形を制した。内田はオーストラリアと米国には離されたが、3位・カナダには射程圏の4位で第2泳者につないだ。
続く山口はわずかにリードを広げられが、第3泳者の宮本がつめ、0秒37差でアンカーの松本にメダルの行方を託した。松本は前回大会もこの種目に出場しており、日本記録を叩き出しながら4位と悔しさを味わっている唯一のメンバー。「3人の思いも心に持ちながら泳ぎました」と前を行くカナダのアンカーを追いかけた。
松本は最初の50メートルで0秒8上回るペースで泳ぎ、カナダをかわす。ラストの50メートルも差をつめられることなく突き離した。3着でフィニッシュし、12年ぶり横浜大会以来の同種目銅メダルをもたらした。順位を確認すると、水面を何度も叩き喜びの感情を爆発させた。
決勝結果は次の通り。
<男子100メートルバタフライ・決勝>
1位 マイケル・フェルプス(米国) 51秒29
2位 ライアン・ロクテ(米国) 51秒67
3位 池端宏文(法政大) 52秒50
7位 平井健太(セントラルスポーツ) 52秒84
※藤井拓郎(コナミ)、坂井聖人(早稲田大)、小堀勇氣(日大)、中村克(早稲田大)、原田蘭丸(自衛隊体育学校)、松田丈志(セガサミー)、坂田怜央(イトマンSS)、藤森太将(ミキハウス)は予選落ち
<男子200メートル背泳ぎ・決勝>
1位 タイラー・クラーリー(米国) 1分54秒91
2位 入江陵介(イトマン東進) 1分55秒14
3位 ミッチェル・ラーキン(オーストラリア) 1分55秒27
8位 萩野公介(東洋大) 1分59秒86
※松原楓(ANA)は予選落ち
<男子400メートル自由形・決勝>
1位 パク・テファン(韓国) 3分43秒15
2位 萩野公介(東洋大) 3分44秒56
3位 コナー・イェーガー(米国) 3分45秒99
7位 小堀勇氣(日大) 3分49秒05
※山本耕平(ミズノ)、平井彬嗣(明治大)は予選落ち
<男子400メートルフリーリレー・決勝>
1位 オーストラリア 3分12秒80
2位 米国 3分13秒36
3位 ブラジル 3分13秒59
4位 日本(塩浦、中村、藤井、伊藤) 3分14秒93
<女子100メートルバタフライ・決勝>
1位 アリシア・コーツ(オーストラリア) 57秒64
2位 リュー・イン(中国) 57秒76
3位 ケンドリー・スチュワート(米国) 57秒82
※星奈津美(ミズノ)、内田美希(東洋大)、中野未夢(アクシーひがし)、清水咲子(日本体育大)は予選落ち
<女子200メートル背泳ぎ・決勝>
1位 ベリンド・ホッキング(オーストラリア) 2分7秒49 ※大会新
2位 エミリー・シーボム(オーストラリア) 2分7秒61
3位 エリザベス・ベイゼル(米国) 2分8秒33
7位 赤瀬紗也香(日本体育大) 2分9秒65
8位 神村万里恵(セントラル成瀬) 2分12秒69
※酒井志穂(ミキハウス)、大塚美優(日本体育大)は予選落ち
<女子400メートル自由形・決勝>
1位 ケイティ・レデッキー(米国) 3分58秒37 ※世界新
2位 シエーラ・ランゲ(米国) 4分4秒55
3位 ローレン・ボイル(ニュージーランド) 4分5秒33
※高野綾(イトマンSS)、五十嵐千尋(日本体育大)、宮本靖子(東洋大)、高橋美帆(日本体育大)は予選落ち
<女子400メートルフリーリレー・決勝>
1位 オーストラリア 3分32秒46 ※大会新
2位 米国 3分34秒23
3位 日本(内田、山口、宮本、松本) 3分39秒06
(文/杉浦泰介)