24日、パンパシフィック水泳選手権4日目がオーストラリア・ゴールドコーストで行われ、男子200メートル個人メドレー決勝で萩野公介(東洋大)が1分56秒02で制した。萩野は400メートル個人メドレーと合わせて2冠。今大会出場6種目で5個のメダルを獲得した。瀬戸大也(JSS毛呂山)は3位に入り、銅メダルを手にした。200メートル平泳ぎは、男子は小関也朱篤(ミキハウス)が、女子は渡部香生子(JSS立石)が金メダルを獲得。さらに男子は小日向一輝(セントラルスポーツ)が3位、女子は金藤理絵(Jaked)が2位で、計3種目で日本人がダブル表彰台となった。また男子400メートルメドレーリレーでは、日本が米国に次ぐ2位で銀メダルを獲得した。そのほか女子1500メートル決勝では、ケイティ・レデッキー(米国)が15分28秒36の世界記録をマーク。200メートル、400メートル、800メートルと合わせて自由形個人種目4冠を達成した。レデッキーはリレー種目も含めて今大会5個目の金メダルとなった。
 競泳種目最終日はゴールドラッシュとなった。金メダルを3個荒稼ぎ、さらにはそのすべての種目で日本人のW表彰台。今大会の好調ぶりを象徴するようなフィナーレとなった。

 まずは男子200メートル個人メドレーで萩野と瀬戸の同学年コンビが魅せた。午前中の予選をワンツーで決勝進出を決める。決勝では、萩野が最初のバタフライから先頭に立つと、続く背泳ぎでティアゴ・ぺレイラ(ブラジル)にかわされたものの、平泳ぎでその差をつめ自由形で一気に逆転した。そのままマイケル・フェルプスの猛追もわずか0秒02振り切り、1分56秒02の1位でゴールイン。今大会2個目の金メダルを獲得し、出場した6種目で5度表彰台に立った。

 一方の瀬戸はバタフライで3番手につけていたが、苦手の背泳ぎで5番手まで順位を落とした。第3泳法の平泳ぎは得意種目。決勝8選手中トップのタイムで巻き返し、4番手に順位を上げた。萩野、フェルプスはとらえられなかったが、最後ペレイラをかわし、1分57秒72。萩野には1秒以上離されたが、3位で今大会2個目のメダルを獲得した。

 女子100メートル平泳ぎで銀メダルを獲得し、主要国際大会で初のメダルを手にした渡部。先に行われた200メートル個人メドレーでは4位だったが、6月のジャパンオープンでは、日本記録をマークした200メートル平泳ぎではきっちりと表彰台の一番上に立って見せた。予選は金藤に次ぐ2位のタイムで通過した。

 迎えた決勝では、まず50メートルを32秒92で入り、4番手につけた。100メートルのターンまでに1人をかわすと、その後も1人を抜き去る。ラスト50メートルを残し、前を行くのは0秒19差のタイラー・マケオン(オーストラリア)ただひとり。ラストスパートでマケオンもかわし、2分21秒41の1位でフィニッシュした。一昨年はロンドン五輪、昨年は世界選手権バルセロナ大会と悔しい思いをした8月。高校生最後の夏に輝く笑顔を見せた。

 2位には、50メートルのターン時点では最下位にいた金藤が滑り込んだ。そこからの追い上げで5番手、3番手とターンごとに順位を上げると、1人かわして先頭の渡部を追い上げたが、1位には0秒49とあと一歩届かなかった。それでも自身国際大会初のメダル。予選と順位は入れ替わったが渡部との日本人ワンツーフィニッシュを達成した。

 続いて行われた男子の200メートル平泳ぎでもW表彰台を達成。萩野らと同学年の19歳・小日向が3位に入り、100メートル平泳ぎで栄冠を勝ち取った小関が、この種目も制し平泳ぎ2冠を達成した。小関は序盤から積極的なレースを展開。入りの50メートルで先頭に立つと、100メートルのターンでは1分1秒58と世界記録を上回るペースで泳いだ。

 残りの100メートルで徐々にペースは落ち、世界記録には届かなかったもののトップを譲ることなく、ゴール板をタッチした。2分8秒57と目標としていた7秒台とはならなかったが、4月の日本選手権で平泳ぎ2冠の22歳は、その実力を十分に証明した。 

 競泳種目のラストは男女メドレーリレー。先に行われた女子400メートルメドレーリレーでは、赤瀬紗也香(日本体育大)、渡部、星奈津美(ミズノ)、内田美希(東洋大)で臨んだが、惜しくも表彰台には届かず4位に終わった。一方の男子は、トップバッターの入江陵介(イトマン東進)が先頭に立ったが、続く小関が米国にかわされる。池端宏文(法政大)、中村克(早稲田大)の大学生コンビもその差を縮めることはできず、そのまま2位でフィニッシュした。

 最終日に予定されていた男女オープンウォータースイミングが中止となったため、これで全種目が終了。今大会トビウオジャパンは金メダル7個、銀メダル8個、銅メダル4個を獲得した。平井伯昌ヘッドコーチが大会前に掲げていた目標の金メダル3個以上のノルマをクリア。計19個のメダルは前回大会の13個を大きく上回り、金7個は過去最多だった。

 5種目でメダルを獲得したマルチスイマー萩野の活躍もさることながら、小関と渡部という男女平泳ぎの新エース候補や若手の活躍が目立った。さらに今季好調の入江が大舞台で自身初の頂点に立ったことも今後に向けて大きな弾みとなったはずだ。9月からのアジア競技大会(韓国・仁川)では、更なるメダルラッシュを期待し、2年後のリオデジャネイロ五輪へのステップボードにしたい。

 決勝結果は次の通り。

<男子50メートル自由形・決勝>
1位 ブルーノ・フラータス(ブラジル) 21秒44 ※大会新
2位 アンソニー・アーヴィン(米国) 21秒73
3位 ネーサン・エイドリアン(米国) 21秒80
5位 塩浦慎理(イトマン東進) 22秒11
7位 中村克(早稲田大) 22秒42
伊藤健太(ミキハウス)、古賀淳也(第一三共)、原田蘭丸(自衛隊体育学校)は予選落ち

<男子200メートル個人メドレー・決勝>
1位 萩野公介(東洋大) 1分56秒02
2位 マイケル・フェルプス(米国) 1分56秒04
3位 瀬戸大也(JSS毛呂山) 1分57秒72
藤森太将(ミキハウス)、入江陵介(イトマン東進)、藤森丈晴(日本体育大)、坂田怜央(イトマンSS)、小堀勇氣(日大)は予選落ち

<男子200メートル平泳ぎ・決勝>
1位 小関也朱篤(ミキハウス) 2分8秒57
2位 ニコラス・フィンク(米国) 2分8秒94
3位 小日向一輝(セントラルスポーツ) 2分10秒14
冨田尚弥(チームアリーナ)、押切雄大(日大)は予選落ち

<男子800メートル自由形・決勝>
1位 ライアン・コクラン(カナダ) 7分45秒39
2位 マット・ホートン(オーストラリア) 7分47秒73
3位 コナー・イェーガー(米国) 7分47秒75
6位 山本耕平(コナミ) 7分54秒07
7位 竹田渉瑚(コナミ) 8分1秒53
8位 平井彬嗣(明治大) 8分4秒23

<男子400メートルメドレーリレー・決勝>
1位 米国 3分29秒94
2位 日本(入江、小関、池端、中村) 3分32秒08
3位 オーストラリア 3分33秒45

<女子50メートル自由形・決勝>
1位 ケイト・キャンベル(オーストラリア) 23秒96
2位 ブロント・キャンベル(オーストラリア) 24秒56
3位 ヴァン・ランデゲーム(カナダ) 24秒69
山口美咲(イトマンSS)、内田美希(東洋大)、松本弥生(ミキハウス)、宮本靖子(東洋大)、赤瀬紗也香(日本体育大)は予選落ち

<女子200メートル個人メドレー・決勝>
1位 マヤ・ディラド(米国) 2分9秒93
2位 アリシア・コーツ(オーストラリア) 2分10秒25
3位 カイティル・レバーエンツ(米国) 2分10秒67
4位 渡部香生子(JSS立石) 2分11秒16
5位 大本理佳(イトマンSS) 2分12秒39
寺村美穂(セントラルスポーツ)、清水咲子(日本体育大)、大塚美優(日本体育大)、赤瀬紗也香(日本体育大)は予選落ち

<女子200メートル平泳ぎ・決勝>
1位 渡部香生子(JSS立石) 2分21秒41
2位 金藤理絵(Jaked) 2分21秒90
3位 タイラー・マケオン(オーストラリア) 2分22秒89
茂木美桜(ルネサンス幕張)、鈴木聡美(ミキハウス)は予選落ち

<女子1500メートル自由形・決勝>
1位 ケイティ・レデッキー(米国) 15分28秒36 ※世界新
2位 ローレン・ボイル(ニュージーランド) 15分55秒69 
3位 ブリッタ・マクリーン(カナダ) 15分57秒15
6位 五十嵐千尋(日本体育大) 16分34秒09
7位 高橋美帆(日本体育大) 16分39秒26

<女子400メートルメドレーリレー・決勝>
1位 オーストラリア 3分55秒49 ※大会新
2位 米国 3分57秒41
3位 カナダ 3分59秒85
4位 日本(赤瀬、渡部、星、内田) 4分0秒38

(文/杉浦泰介)