交流戦は5割で乗り切れば御の字と考えていたが、まさか5勝12敗1分けとは……。勝率2割9分4厘。

 

 それ以上に誤算だったのが、交流戦中の貧打である。交流戦がスタートするまで、カープはリーグ2位の打率2割6分と打線が活発だった。ところが交流戦では打線全体がスランプに陥り、2割1分6厘と低迷した。12球団最低の打率だった。

 

 特にDHは目を覆うばかりで、パ・リーグの球団主催試合、つまりDH制のある全9試合で、わずか4安打。初ヒットは6戦目の北海道日本ハム戦まで待たなければならなかった。

 

 プロ野球の世界には「バッティングは水もの」との俗諺がある。投手力や守りに比べて計算できない、という意味だが、ここまでひどいとは……。交流戦全18試合の得点59は12球団ワーストだった。

 

 これだけ貧打が続くと、バッターは「消極的になってはいけない」と考えるのか、ボール球に手を出し始める。こうなると負の連鎖である。「どうせ打てないんだったら、見逃し三振でもいいや」というくらいの少々、横着な気持ちで打席に入った方がいいのかもしれない。

 

「死んだ子のよわいを数える」わけではないが、丸佳浩は、どんなに調子が悪くなろうとも、ボール球には手を出さなかった。見逃し三振を恐れなかった。1球でも多くボールを見ることで、調子を取り戻していった。

 

 打てないんだったら、1球でも相手ピッチャーに多く投げさせ、疲労を待つ。こんな態度で打席に立った方が、むしろ相手は嫌がるのではないだろうか。押してもダメなら、引いてみな、である。

 

(このコーナーは二宮清純が第1週木曜、書籍編集者・上田哲之さんが第2週木曜、フリーライター西本恵さんが第3週木曜を担当します)


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