ウズベキスタン・タシケントで開催されているレスリングの世界選手権は11日、女子3階級が行われ、53キロ級では吉田沙保里(ALSOK)が決勝でソフィア・マットソン(スウェーデン)を破って優勝し、55キロ級と合わせて世界選手権12連覇を達成した。これで五輪(3連覇)も含め、世界大会では前人未到の15連覇となった。女子58キロ級では伊調馨(ALSOK)が決勝でワレリア・コブロワ(ロシア)にテクニカルフォール勝ちして9度目の優勝を収めた。
 階級が変わっても、2人の女王の“最強”の称号は変わらなかった。
 吉田はこれまで世界大会14連覇を成し遂げた55キロ級がリオデジャネイロ五輪では実施されないことになり、2キロ下の53キロ級に下げた。10月には32歳を迎え、出場選手では最年長となるなか、格の違いを見せつけた。

 初戦はフォール勝ち。準々決勝はテクニカルフォールで制し、準決勝は開始40秒でタックルからフォール勝ちを収める。決勝の相手は同じく55キロ級から階級を下げたマットソン。前年は55キロ級の決勝で対戦している。開始1分、タックルで場外に押し出し、1点を先制して第1ピリオドを終えると、第2ピリオドでは足ととって背中から倒して一気に4点を奪う。相手サイドのチャレンジ失敗でさらに1点を追加し、6−0。リードを広げ、そのまま最後まで1ポイントも失うことなく、優勝の瞬間を迎えた。

 伊調も五輪で3連覇、世界選手権を8度制した63キロ級から、58キロ級に階級を落とした。しかし、その影響は全く感じさせなかった。初戦から準決勝まで圧巻の強さをみせて勝ち上がる。決勝のコブロワ戦も開始1分、タックルからバックをとって2点を先行。相手を上回るスピードで、背中に回り込み、さらに2点を加える。第1ピリオド終了間際には、足をとって倒し、6−0と大量リードを奪った。

 第2ピリオドも攻め続けてポイントを重ね、最後は相手の肩をつけて2点を獲得。10点差をつけ、テクニカルフォール勝ちとなった。これで負傷による不戦敗を除けば172連勝。出場した世界大会ではすべて優勝し、実に11年間、“無敗”を続けている。