21日、韓国・仁川でのアジア競技大会は競泳初日を迎えた。男子200メートル自由形決勝は萩野公介(東洋大)が1分45秒23秒の日本新記録で優勝。100メートル背泳ぎ決勝は入江が52秒34の大会新で連覇を達成。萩野は3位に入り、銅メダルを獲得した。男子200メートルバタフライ決勝では瀬戸大也(JSS毛呂山)と平井健太(セントラルスポーツ)のワンツーフィニッシュ。日本勢は初日から金3、銀3、銅2個と計8個とメダルラッシュで、好スタートを切った。バドミントンは女子団体準決勝が行われ、銅メダル以上を決めていた日本代表は中国代表に1対3で敗れた。
 日本が誇るマルチスイマー・萩野がアジアでも、その存在感を見せつけた。今大会は8種目にエントリーを予定しており、男子200メートル自由形と100メートル背泳ぎで2つのメダルを手にした。

 ロンドン五輪自由形2冠の孫楊(中国)、韓国競泳初の金メダリスト・朴泰桓とのメダル争いとなった男子200メートル決勝は、2人に挟まれた5レーンで泳いだ。入りの50メートルは、朴に次ぐ2位でターンした。しかし、中盤以降は孫にかわされ、3番手に順位を落とした。そのまま孫と朴のマッチレースの展開になるかと思われた。ラスト50メートルを残したところで、萩野と先頭争いをする2人とは約1秒の差があった。それでも後半の追い上げは彼の真骨頂。その差をものともしないスパートで、最後は差し切った。1分4秒23は日本記録更新。1位を確認すると、萩野はガッツポーズを作った。

 30分後に行われた100メートル背泳ぎ決勝は、200メートル自由形の表彰式直後に駆けつける慌ただしいスケジュールにも関わらず、最初から最後まで3位をキープし銅メダルを獲得した。優勝は、その萩野と凌ぎを削り合う入江だ。直前の萩野の金メダルを目の当たりにし、燃えないはずはなかった。前半は徐嘉余(中国)が世界記録ペースで50メートルを泳いだが、今シーズン復活を遂げた背泳ぎのエースは慌てない。最後の50メートルで逆転し、1位でフィニッシュ。大会新記録の52秒34をマークし、この種目のアジア大会連覇を成し遂げた。

 瀬戸は8月のパンパシフィック水泳選手権で金メダルを獲得した200メートルバタフライに出場。序盤から先頭に立つと、一気に抜け出した。2位に入った同学年の平井にも1秒以上の差をつける圧勝で、優勝した。

 その他の種目では、渡部香生子(JSS立石)が女子100メートル平泳ぎで銀メダルを獲得。渡部は400メートルフリーリレー決勝にも出場し、中国に次ぐ2位で銀メダルを手にした。女子400メートル自由形は五十嵐千尋(日本体育大)が地田麻末(東洋大)との3位争いを制し、銅メダルを獲得した。

 日本人の決勝結果は次の通り。

<男子100メートル背泳ぎ・決勝>
1位 入江陵介(イトマン東進) 52秒34 ※大会新 
3位 萩野公介(東洋大) 53秒71

<男子200メートル自由形・決勝>
1位 萩野公介(東洋大) 1分45秒23 ※日本新
5位 松田丈志(セガサミー) 1分49秒64

<男子200メートルバタフライ・決勝>
1位 瀬戸大也(JSS毛呂山) 1分54秒08
2位 平井健太(セントラルスポーツ) 1分55秒47

<女子100メートル平泳ぎ・決勝>
2位 渡部香生子(JSS立石) 1分6秒80
4位 鈴木聡美(ミキハウス) 1分8秒61

<女子400メートル自由形・決勝>
3位 五十嵐千尋(日本体育大) 4分9秒35
4位 地田麻末(東洋大) 4分9秒64

<女子400メートルフリーリレー・決勝>
2位 日本(内田、山口、渡部、松本) 3分39秒35

【最強・中国の牙城崩せず銅メダル 〜バドミントン女子〜】

 世界最強・中国の壁は厚かった。日本にとっては、今年5月の国・地域別対抗戦女子ユーバー杯決勝でも敗れている相手。ロンドン五輪でも全5種目を総ナメするなどバドミントン界の頂点に立つ国である。第1試合の三谷美菜津(NTT東日本)の相手は、BWF世界ランキング1位のリー・シュェルイ。ロンドン五輪の女子シングルス金メダリストで、8月の世界選手権準決勝で三谷は対戦し、ストレートで敗れている。雪辱を果たしたいところだったが、この日もストレート負け。第2試合は日本のトップダブルスの高橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)が登場した。ロンドン五輪金メダルペアのティアン・チン&ツァオ・ユンレイ組を相手に2−1の接戦をモノにし、勝敗をタイに戻した。しかし、日本の反撃はここまで。第3試合を高橋沙也加(日本ユニシス)で落とすと、第4試合も前田美順&垣岩令佳組(ルネサス)が世界ランク1位ペアにストレート負け。日本は大会4連覇中の中国を止めることはできなかった。

【連覇狙うU−21日本、D組2位で決勝T進出 〜サッカー男子〜】

 男子サッカーのグループリーグ第3節では、D組のU−21日本代表がU−23ネパール代表に4−0で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。日本は前半33分、MF野津田岳人が左足ミドルシュートを突き刺して先制すると、後半9分にMF中島翔哉が追加点を決めた。その後もボールを支配し続け、17分、24分にFW鈴木武蔵がゴールを奪って試合を決めた。日本は勝ち点6のD組2位でベスト16に進出。次戦は25日にU−23パレスチナ代表と対戦する。

 野津田、快勝呼ぶ豪快ミドル弾(高陽)
U−21日本代表 4−0 U−23ネパール代表
【得点】
[日本] 野津田岳人(33分)、中島翔哉(54分)、鈴木武蔵(62分、69分)

【男子73キロ級・秋本が連覇、女子57キロ級・山本も金 〜柔道〜】

 柔道では男子73キロ級の秋本啓之(了徳寺学園職)が決勝でオドバヤル・ガンバートル(モンゴル)に優勢勝ちし、2大会連続の優勝を収めた。女子57キロ級の山本杏(国士舘大)も決勝でキム・ジャンディ(韓国)に一本勝ちして金メダルを獲得した。女子70キロ級の新井千鶴(三井住友海上)は決勝で敗れて銀メダル。男子81キロ級の長島啓太(日本中央競馬会)と女子63キロ級の阿部香菜(三井住友海上)は、3位決定戦を制して銅メダルだった。

 苦しみながらの連覇だ。
 秋本は初戦、ポイントでリードを奪われながら、残り1分を切ってから背負い投げで逆転し、勝ち上がる。ガンバートルとの決勝でも積極的に攻めて有効を奪い、優勢勝ちした。2010年にアジア大会と世界選手権を制したものの、故障もあってロンドン五輪代表は中矢力(ALSOK)に奪われた。現状は中矢、大野将平(旭化成)に次ぐ3番手。リオデジャネイロ五輪に向けて28歳の巻き返しが始まった。

 山本は決勝のキム戦、寝技に持ち込んで一本勝ちで優勝を決めた。4月の選抜体重別選手権では決勝に宇高菜絵(コマツ)に敗れて世界選手権の代表入りを逃した。その宇高が世界選手権で優勝。同じ階級にはロンドン五輪金メダリストの松本薫(フォーリーフジャパン)もおり、リオに向けた代表争いが熾烈になりそうだ。