24日、日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)は事務局で会見を開き、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下千葉)の上村崇士総監督が選手に対するセクハラ行為で解任された問題を受け、再発防止策の策定に取り組むことを理事会で承認した。再発防止策には異性間の指導についての指針を制定するなど、主に4つの項目が盛り込まれた。ただ詳細は決まっておらず、今後、詰めていく。
「今回のことが氷山の一角だと認識して(指針等を)制定しないといけない」
 田口禎則専務理事は厳しい口調でこう述べた。女子いや男女を問わずスポーツ界でのセクハラ、パワハラ問題について厳しい視線が注がれる中で起きた今回の事件。田口専務理事はリーグ側の対応の遅れを認め、「しかるべき(再発防止の)仕組みができたところで(自分の)立場をはっきりしたい」と自身の進退についても言及した。

 再発防止策としてリーグが掲げた4項目は以下のとおり。
(1)リーグ内またはリーグ外にコンプライアンスホットラインを設置し、選手等の声をより早く聞き取れる体制を整える
(2)異性間における指導者指針等の策定
(3)指導者への教育の徹底(シーズン前の啓蒙活動、シーズン中の研修会等の開催)
(4)選手への教育の徹底(シーズン前の新人研修会やその他の研修会の開催。SNS教育等も併せて実施)

 リーグとしてはまず、各チームにおいて指導者の性別を問わず、どのような指導が行われているかを把握する。その上で、(2)の異性間における指導者指針等を策定する。
 異性間の指導指針策定について、田口専務理事は「Jリーグや日本サッカー協会も盲点になっていた部分。弱者である選手をカバーしていかないといけない」と策定の重要性を口にした。

 指針の内容の詳細はまだ決まっていないものの、「今回の被害者の選手のことを考えると、リーグが命令できるくらいの仕組みをつくる」と強制力のあるものにする考えを田口専務理事は断言した。

 また、人権擁護センターなどの外部団体と連携し、講演やレクチャーなどでの啓蒙活動に留まらず、選手と指導者が異性の場合の問題などを啓発する冊子をつくる予定だという。田口専務理事は「他のスポーツ団体にも使用してもらえるようなものをつくりたい」との意向を示した。

 田口専務理事が語ったように、千葉の一件は「氷山の一角」である可能性が高い。それはリーグのみならず、育成年代も然りだろう。その意味で日本のトップカテゴリーであるなでしこリーグの責任は重い。チーム、選手からの情報を待つのみならず、積極的なセクハラ・パワハラ根絶に向けた行動が求められている。

(文・鈴木友多)