BCリーグでは各地区のチャンピオンが決定し、26日からリーグチャンピオンシップが行なわれる。今季の地区チャンピオンシップは、上信越、北陸ともに第6戦までもつれこむ大熱戦が繰り広げられた。その激戦を制し、リーグチャンピオンシップ進出を決めたのは、群馬ダイヤモンドペガサス(上信越)と石川ミリオンスターズ(北陸)だ。両者のチャンピオンシップで顔を合わせるのは、2010年以来の3度目で、対戦成績は1勝1敗。群馬が優勝すれば、石川に勝って初優勝した09年以来2度目。石川が連覇を達成すれば、5度目の戴冠となる。
 打線の柱は三冠王カラバイヨ

 4年ぶりのリーグ優勝を狙う群馬は、強力な打線を誇る。打率(2割9分8厘)、本塁打数(83本)、打点(412点)はいずれもはリーグトップの成績だ。それぞれ2位の数字を見ると、2割7分8厘(新潟アルビレックスBC)、33本(信濃グランセローズ)、340点(新潟)。いかに群馬の打線が破格の力を有しているかは一目瞭然である。

 打線の大黒柱は、リーグ初の三冠王(打率3割9分6厘、33本塁打、87打点)に輝いた主砲フランシスコ・カラバイヨ。今季は7月に6戦連続で本塁打を放つなど絶好調で、同月で既に昨季、自らが樹立した最多本塁打数を更新した。フォームが崩れても、修正能力が高く、シーズンを通してスランプには陥らなかったことが、好調をキープしてきた要因でもある。また、今季加入したラミレスの存在も大きく、「絶対に負けたくない」というライバル心が、カラバイヨの大きなエネルギーとなったようだ。

 第6戦にまでもつれこんだ新潟アルビレックスBCとの上信越チャンピオンシップでも、26打数10安打、打率3割8分5厘、3本塁打、7打点と本領を発揮。球団の4年ぶりとなるリーグチャンピオンシップ進出に大きく貢献した。石川とのリーグチャンピオンシップでも、いかにカラバイヨの前にチャンスをつくることができるかがカギとなる。

 また、後期最下位に終わり、新潟とは1勝7敗と分が悪かった群馬が、地区チャンピオンシップでその新潟を破った要因のひとつはエースの復帰にあった。ロバート・ザラテだ。前期は4勝を挙げ、優勝に大きく貢献したザラテだったが、肩の張りで戦線離脱していた。そのザラテが2カ月ぶりに復帰し、地区チャンピオンシップでは初戦と最終戦に先発。初戦では5回2安打無失点、最終戦は7安打3失点で完投し、チームを勝利に導いた。石川とのリーグチャンピオンシップでも、先発の柱としての期待がかかる。

 カギ握るエース&3番打者の復活

 2勝2敗1分で迎えた第6戦、降雨のため5回でコールドとなり、引き分けに終わった富山サンダーバーズとの北陸地区チャンピオンシップ。リーグ規定により、通期の対戦成績で上回った石川が昨年に続いてのリーグチャンピオンシップ進出となった。

 前期は最下位に終わった石川だが、後期は2位富山に3.5ゲーム差をつけての優勝。後期、チームに勢いをもたらしたのは、8月に加入した左腕ワンダー・ペレスだ。実は8勝5敗、防御率1.95と安定したピッチングでチームを牽引してきたデリク・ループ(米国)が8月に退団。先発不足が深刻化したチームを救ったのがペレスだった。レギュラーシーズンでは6試合に登板し、4勝1敗、防御率1.97と、ループに匹敵する抜群の安定感を見せ、指揮官からの信頼も厚い。

 だが、富山との地区チャンピオンシップでは、2試合に登板し、0勝1敗。初戦は6回9安打4失点、2試合目の第5戦は6回8安打5失点で敗戦投手となった。強力打線の群馬を相手に戦うリーグチャンピオンシップでは、ペレスの安定したピッチングの復活が不可欠となる。また、今季で引退を表明しているクローザー木田優夫の現役最後のピッチングにも注目したい。

 打線の柱は、島袋涼平だ。今季の成績は打率3割6分7厘(リーグ2位)、10本塁打(同5位)、73打点(2位タイ)。後期は特に好調で、9月は打率4割7分1厘、4本塁打、16打点。後期では打率3割8分1厘、5本塁打、36打点をマークし、9月度と後期のMVPに選ばれた。ところが、富山との地区チャンピオンシップでは、19打数2安打1打点、打率1割5厘と急ブレーキがかかった。群馬とのリーグチャンピオンシップで、果たして復活となるのか。

 一方、チャンピオンシップで打線を支えたのは4番を担うドテルだ。打率5割、2本塁打、5打点をマークした。特に初戦では3打数2安打5打点と爆発。打ったヒットはいずれも本塁打とパワーを見せつけた。また、ドテルは足もあり、レギュラーシーズンでは25盗塁(リーグ3位)を決めている。チャンスメーカーとしてもポイントゲッターとしても、チームにとっては大きな存在となっている。島袋との3、4番コンビが復活すれば、打線に勢いがつくはずだ。

 レギュラーシーズンでの対戦成績は、5勝3敗で群馬が勝ち越している。だが、後期に限ってみれば、2勝2敗と五分だ。果たしてリーグチャンピオンに輝くのは、強力打線の群馬か、それとも連覇を狙う石川か。リーグチャンピオンシップ初采配となる群馬・川尻哲郎監督と、監督としては4度目、過去3度はいずれも優勝に導いている森慎二監督の采配にも注目したい。