30日、韓国・仁川でのアジア競技大会は男女の卓球団体決勝が行われ、女子は日本が中国に1対3で敗れた。日本は福原愛(ANA)、石川佳純(全農)、平野美宇(JOCエリートアカデミー)のメンバーで挑んだが、1966年タイ・バンコク大会以来の金メダルはならなかった。勝った中国は大会3連覇を達成。男子は中国が、地元韓国を3対0で下し6連覇を果たした。陸上は女子棒高跳び決勝で我孫子智美(滋賀レイクスターズ)が4メートル25を記録し、2位に入った。安孫子は前回の中国・広州大会でも銅メダルを獲得しており、2大会連続で表彰台となった。
【福原が金星挙げるも、リベンジならず 〜卓球団体女子〜】

“3度目の正直”とはいかなかった。12年ロンドン五輪団体、今年5月の世界選手権団体、いずれも決勝で敗れた相手に雪辱の機会が訪れた。しかし、五輪と世界選手権団体を2連覇し、この大会も連覇中の中国は盤石だった。ロンドン五輪&13年世界選手権の個人戦金メダリストであるリ・シャオシアがいないとはいえ、ITTF世界ランキング1位のリウ・シウェン、同2位のディン・ニンらランキング上位がズラリと揃う。それでも日本は第1試合で福原がディン・ニンを3−1で破る。福原はディン・ニンに初勝利。そして中国はこの大会初めて、1試合を落とした。幸先の良いスタートを切った日本は、続く第2試合で石川がリウ・シウェンから第1ゲームを奪う。ここで波に乗りたかったが、リウ・シウェンに持ち直される。世界ランキング1位のドライブは鋭く、石川も反応するので精一杯。結局、3ゲーム連取され逆転負けを喫した。勝敗がタイに戻ったところで、日本は3番手にチーム最年少14歳の平野を抜擢する賭けに出た。平野は世界ランキング6位のズー・ユリンに完敗し、第4試合も石川がディン・ニンにストレート負け。トータル1対3で日本は中国の軍門に下った。

【19歳・西岡、日本勢40年ぶり金 〜テニス男子〜】

 テニス男子シングルス決勝では、第5シードの西岡良仁(ヨネックス)が第1シードのルー・イェンシュン(台湾)を6−2、6−2のストレートで下し、金メダルを獲得した。同種目の日本人選手の金メダルは74年テヘラン大会を制した坂井利郎以来、40年ぶり。錦織圭(日清食品)の全米オープン準優勝に沸く日本テニス界において、新星・西岡の今後の活躍が期待される。

西岡良仁 2(6−2、6−2)1 ルー・イェンシュン(台湾)

【レスリング男子グレコ59キロ級・長谷川、2大会連続の金】

 レスリングは男子グレコ―ローマンスタイル59キロ級の長谷川恒平(青学大職)が決勝で、ユン・ウォンチョル(北朝鮮)を破り、前回大会の55キロ級に続く連覇を達成した。同80キロ級の鶴巻宰(自衛隊)は決勝で敗れて準優勝。74キロ級で出場した前回大会と同様、銀メダルだった。98キロ級の斎川哲克(栃木・足利工高教)は3位決定戦に勝って銅メダルを獲得した。

 劣勢とアクシデントをはねのけての頂点だ。
 第1ピリオド、長谷川は警告を受けてグラウンドの体勢からローリングされ、一気に4点を失った。しかも、頭をカットして流血。額とアゴを包帯で巻かれた。

 だが、苦しい状況から第2ピリオド、長谷川は胴タックルからバックをとって2点を返すと攻勢に転じた。懐に飛び込み、相手を裏返しにして4−4の同点に追いつく。さらに胴を抱えて押し倒し、フォール寸前に持ち込んだ。4点のビッグポイントで8−4とリードを奪う。その後の相手の攻めも巧みにしのぎ、試合終了。派手なガッツポーズで連覇の喜びを表現した。

【我孫子、前回を上回る銀 〜陸上〜】

 女子の棒高跳びは、日本の我孫子は序盤はパスし、4メートル05からスタートした。この日、最初の跳躍でクリア。4メートル15、25はいずれも2回目で成功し、中国の李玲との一騎打ちとなった。李玲は前回の広州大会銀メダリスト。大会記録に並ぶ4メートル35に挑戦した両者は明暗分かれた。李玲の一発クリアに対し、我孫子は3回とも失敗に終わった。4メートル25は今季ベストではあるが、4メートル45の日本記録を跳んでいれば優勝争いにも絡めたはず。我孫子は前回よりひとつ高い位置で表彰台に上がったが、その上には再び李玲が立っていた。

<女子棒高跳び・決勝>
2位 我孫子智美(滋賀レイクスターズ) 4メートル25