なでしこ、北朝鮮に敗れて連覇ならず 〜アジア競技大会〜
1日、仁川アジア競技大会のサッカー女子決勝が行われ、日本女子代表(なでしこジャパン)は北朝鮮女子代表に1−3で敗れ、大会連覇はならなかった。なでしこは前半12分、MFキム・ユンミに決められて先制を許した。なかなかリズムを掴めないなでしこは、終盤にチャンスをつくったものの、シュートの精度を欠いて無得点で試合を折り返した。すると後半7分、FWラ・ウンシムにゴールを奪われてリードを広げられた。11分にMF宮間あやの得点で反撃の気運が高まったものの、41分、FWホ・ウンボルにゴールを決められて万事休した。
北朝鮮のカウンターに屈す(文鶴)
日本女子代表 1−3 北朝鮮女子代表
【得点】
[日本] 宮間あや(56分)
[北朝鮮] キム・ユンミ(12分)、ラ・ウンシム(52分)、ホ・ウンボル(86分)
準決勝までの5試合を27得点無失点という成績で勝ち上がってきた。しかし、裏を返せばなでしこは組み合わせに恵まれていた。アジアのライバルといえるチームと対戦したのはグループリーグ初戦の中国戦のみ。一方、北朝鮮は準々決勝で中国、準決勝で韓国をそれぞれ1点差で下すなど、激戦をくぐり抜けてきていた。
なでしこと北朝鮮の違いは、序盤から表れた。北朝鮮は開始から激しいプレスをかけ、攻撃もロングボールを多用して前線の選手を走らせた。一方、なでしこはボールをつないで攻撃を組み立てようとしたが、相手の鋭い出足の守備を前に、思うようにパスを回せなかった。中盤でのパスミスも目立ち、北朝鮮にショートカウンターを許す場面が見受けられた。
前半9分、ロングボールを前線中央にいたキム・ユンミが後方に落としたボールを、キム・ウンジュにPA内右サイドへスルーパスを出される。走り込んできたラ・ウンシムに、鋭い切り返しから左足のシュートを打たれた。これは戻ってきた宮間が懸命に足を伸ばしてブロックしたものの、北朝鮮のシンプルで力強い攻撃になでしこの守備網はいつ崩れてもおかしくなかった。
すると12分、セットプレーから先制点を奪われた。右サイドからのFKをゴール前に入れられ、混戦からキム・ユンミに右足で狙われた。シュートはDF岩清水梓が防ごうとブロックしにいった足に当たって、ゴール左へ。なでしこにとって、これが今大会初失点となった。失点後こそ守備を引き締めたいところだったが、GK海堀あゆみのミスからピンチを招くなど、チームが動揺しているのは明らかだった。
攻撃陣も粘り強い守備を見せる北朝鮮守備網を崩すことができない。31分、FW高瀬愛実がロングボールに抜け出してGKと1対1の場面になったが、後方からDFのスライディングを受けてシュートは打てず。攻守の歯車が噛み合わないまま、試合を折り返した。
反撃の糸口を見つけたいところだったが、後半7分、逆に北朝鮮に追加点を奪われてしまう。北朝鮮陣内からロングボールを右サイドのスペースへ送られ、ラ・ウンシムに抜け出された。スピードに乗った相手をDF長船加奈とDF臼井理恵が懸命に追ったものの、PA内に侵入されてから右足でゴール左へ流し込まれた。前半にもDFラインの裏をとられていただけに、もう少し警戒を強めておかなければならない場面だった。
10分、佐々木則夫監督はFW吉良知夏に代えてFW菅澤優衣香を投入。高瀬とともに高さのある菅澤を入れて攻撃に厚みをもたらそうと試みた。すると、11分、MF川澄奈穂美が右サイドから上げたクロスをニアサイドで高瀬がスルー。ファーサイドから走り込んできた宮間が右足で流し込んだ。
この得点を機に、なでしこが攻勢を強めたが、北朝鮮の体を張った守りを崩せず、同点弾を奪えない。すると42分、カウンターから左サイドを突破され、DFユン・ソンミのクロスをホ・ウンボルに頭で叩き込まれた。決定的な3点目を奪われ、結果的になでしこの大会連覇の可能性は潰えた。
「球際のところでも北朝鮮の方が勝とうという意識が強かった」
佐々木監督の言葉がすべてを物語っていた。なでしこの選手が倒されて主審にアピールしていたの対し、北朝鮮の選手は倒れてもすぐに立ち上がり、ボールを追っていた。日本のサイドに難があると見た相手は、徹底してそこを狙ってきた。残念だが、この試合のなでしこからは勝利への執念、そして勝負に勝つためのしたたかさが感じられなかった。その意味で、北朝鮮は勝利にふさわしいチームだった。
「こうした戦いを今後の糧にしていかないといけない」と佐々木監督。来年に開催される女子W杯で、なでしこは連覇を狙っている。しかし、アジアの舞台で頂点をとれなかった以上、目標達成への道のりは極めて厳しい。今の現状を選手がしっかりと見つめ、もう一度、“戦う集団”になる。これがW杯連覇への絶対条件になるだろう。
北朝鮮のカウンターに屈す(文鶴)
日本女子代表 1−3 北朝鮮女子代表
【得点】
[日本] 宮間あや(56分)
[北朝鮮] キム・ユンミ(12分)、ラ・ウンシム(52分)、ホ・ウンボル(86分)
準決勝までの5試合を27得点無失点という成績で勝ち上がってきた。しかし、裏を返せばなでしこは組み合わせに恵まれていた。アジアのライバルといえるチームと対戦したのはグループリーグ初戦の中国戦のみ。一方、北朝鮮は準々決勝で中国、準決勝で韓国をそれぞれ1点差で下すなど、激戦をくぐり抜けてきていた。
なでしこと北朝鮮の違いは、序盤から表れた。北朝鮮は開始から激しいプレスをかけ、攻撃もロングボールを多用して前線の選手を走らせた。一方、なでしこはボールをつないで攻撃を組み立てようとしたが、相手の鋭い出足の守備を前に、思うようにパスを回せなかった。中盤でのパスミスも目立ち、北朝鮮にショートカウンターを許す場面が見受けられた。
前半9分、ロングボールを前線中央にいたキム・ユンミが後方に落としたボールを、キム・ウンジュにPA内右サイドへスルーパスを出される。走り込んできたラ・ウンシムに、鋭い切り返しから左足のシュートを打たれた。これは戻ってきた宮間が懸命に足を伸ばしてブロックしたものの、北朝鮮のシンプルで力強い攻撃になでしこの守備網はいつ崩れてもおかしくなかった。
すると12分、セットプレーから先制点を奪われた。右サイドからのFKをゴール前に入れられ、混戦からキム・ユンミに右足で狙われた。シュートはDF岩清水梓が防ごうとブロックしにいった足に当たって、ゴール左へ。なでしこにとって、これが今大会初失点となった。失点後こそ守備を引き締めたいところだったが、GK海堀あゆみのミスからピンチを招くなど、チームが動揺しているのは明らかだった。
攻撃陣も粘り強い守備を見せる北朝鮮守備網を崩すことができない。31分、FW高瀬愛実がロングボールに抜け出してGKと1対1の場面になったが、後方からDFのスライディングを受けてシュートは打てず。攻守の歯車が噛み合わないまま、試合を折り返した。
反撃の糸口を見つけたいところだったが、後半7分、逆に北朝鮮に追加点を奪われてしまう。北朝鮮陣内からロングボールを右サイドのスペースへ送られ、ラ・ウンシムに抜け出された。スピードに乗った相手をDF長船加奈とDF臼井理恵が懸命に追ったものの、PA内に侵入されてから右足でゴール左へ流し込まれた。前半にもDFラインの裏をとられていただけに、もう少し警戒を強めておかなければならない場面だった。
10分、佐々木則夫監督はFW吉良知夏に代えてFW菅澤優衣香を投入。高瀬とともに高さのある菅澤を入れて攻撃に厚みをもたらそうと試みた。すると、11分、MF川澄奈穂美が右サイドから上げたクロスをニアサイドで高瀬がスルー。ファーサイドから走り込んできた宮間が右足で流し込んだ。
この得点を機に、なでしこが攻勢を強めたが、北朝鮮の体を張った守りを崩せず、同点弾を奪えない。すると42分、カウンターから左サイドを突破され、DFユン・ソンミのクロスをホ・ウンボルに頭で叩き込まれた。決定的な3点目を奪われ、結果的になでしこの大会連覇の可能性は潰えた。
「球際のところでも北朝鮮の方が勝とうという意識が強かった」
佐々木監督の言葉がすべてを物語っていた。なでしこの選手が倒されて主審にアピールしていたの対し、北朝鮮の選手は倒れてもすぐに立ち上がり、ボールを追っていた。日本のサイドに難があると見た相手は、徹底してそこを狙ってきた。残念だが、この試合のなでしこからは勝利への執念、そして勝負に勝つためのしたたかさが感じられなかった。その意味で、北朝鮮は勝利にふさわしいチームだった。
「こうした戦いを今後の糧にしていかないといけない」と佐々木監督。来年に開催される女子W杯で、なでしこは連覇を狙っている。しかし、アジアの舞台で頂点をとれなかった以上、目標達成への道のりは極めて厳しい。今の現状を選手がしっかりと見つめ、もう一度、“戦う集団”になる。これがW杯連覇への絶対条件になるだろう。