テニス楽天ジャパンオープン4日目、世界ランキング7位の錦織圭は、2回戦に臨み、同57位のドナルド・ヤング(米国)と対戦。6−4、7−6と前日に続いてのストレート勝ちで準々決勝に進出した。第5ゲームでブレークし、第1セットを制した錦織は、第2セットはタイブレークの末に勝利。しつこく粘るヤングを退けた。
 同じ1989年生まれの錦織とヤング。ジュニア時代から切磋琢磨してきたライバルでもある。ツアーでの対戦成績は錦織の2勝0敗だが、ヤングは14歳でプロになるほど素質の高さは一級品だ。この日も、時速200キロ超の威力あるサーブで攻め、錦織と互角に戦った。

 第1セット、試合の流れが変わったのはゲームカウント2−2で迎えた第5ゲーム。30−40と錦織にブレークチャンスが訪れたが、雨で試合が中断。約30分後に試合が再開された。「ウォーミングアップをしながら、気持ちを切らさないようにしていた。ブレークポイントになったところからのスタートだったので入り方は難しかった」と錦織。再開後、ヤングのショットがアウトとなり、錦織がブレーク。1本でブレークできたことが大きかったという。

 続く第6ゲームで錦織がギアを上げた。サーブ、ショットともに鋭さが増し、ヤングにプレーをさせなかった。錦織はラブゲームで奪い、4−2とリードする。第7ゲーム以降は、再び互いにサービスゲームをキープし合う接戦となった。

 ゲームカウント5−4で迎えた第10ゲーム、錦織は角度のあるサーブでヤングをコートの外へと出し、ヤングからのリターンを逆サイドのオープンスペースへ。速い展開でポイントを奪い、セットポイントを迎えると、最後は錦織からのボディへのサーブをヤングがアウト。6−4で錦織が第1セットを先取した。

 第2セットの前半は要所要所に両者のサーブが光った。ヤングは200キロを超えるサーブで、第1、3、5ゲームと立て続けにサービスゲームを奪う。一方、第4ゲームには錦織が180キロ台のサーブでセンター、ワイドへと2本連続で決め、ラブゲームで奪った。第6ゲーム以降、徐々にヤングが声をあげてイライラし始める。これに対し、錦織は最後まで冷静だった。

 ゲームカウント4−4で迎えた第9ゲーム、錦織は0−30とブレークのチャンスをつくる。2本返されて並ばれるも、ヤングのダブルフォルトで30−40とブレークポイントを迎えた。しかし、2本続けてショットが入らず、逆にヤングがアドバンテージを得る。最後はヤングのサーブをリターンできず、錦織はブレークすることはできなかった。結局、第2セットは両者ともに一度もブレイクすることができず、勝負はタイブレークへともちこまれた。

 ヤングのサーブから始まったタイブレーク。4−3と錦織リードの場面、ヤングがここで痛恨のダブルフォルト。すぐにサービスエースで1ポイント差にするものの、錦織がラリー戦を制してマッチポイントを迎える。最後は錦織の鋭いフォアハンドショットをヤングが拾えず、ゲームセット。錦織の忍耐強さが光る試合となった。

 しかし、やはり疲労はピークに達しているようだ。優勝し、最終日まで残ったマレーシア・オープンに続いての今大会、徐々に体に痛みが出てきているという。特に前日の初戦の直後に痛みが激しさを増し、ヤング戦の途中からは右の臀部に痛みが走っていた。そのため、この日シングルス後に予定されていた内山靖崇とのダブルス2回戦をキャンセル。明日の準々決勝に備えるかたちとなった。

 それでも錦織は自らの調子をプラスに考えている。
「試合が続くと、体が100%ではないので、毎ポイント集中したり、全力で走ることが難しくなってくる。それでもポイントを早く終わらせたり、大きなポイントどころでは集中することができている」
 明日の準々決勝では、ジェレミー・シャルディー(フランス)と対戦する。

<2回戦>
錦織圭2(6−4、7−6)0ドナルド・ヤング(米国)

(文・写真/斎藤寿子)