14日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦が行われ、北海道日本ハムが延長戦の末に2−1で接戦を制した。1−1で迎えた延長10回、中田翔がセンターバックスクリーンへ勝ち越しソロを放つ。この1点を守り切った日本ハムが2勝目を挙げ、ファイナルステージ進出を決めた。明日からは福岡ソフトバンクとの日本シリーズへの切符をかけた戦いが幕を開ける。

◇ファーストステージ第3戦
 セーブ王・平野が手痛い一発浴びる(日本ハム2勝1敗、京セラドーム)
北海道日本ハム   2 = 0000010001
オリックス       1 = 1000000000 (延長10回)
勝利投手 クロッタ(1勝0敗)
敗戦投手 平野佳(0勝1敗1S)
セーブ   増井(2S)
本塁打  (日)中田1号ソロ
      (オ)駿太1号ソロ
 台風で1日順延となり、この日行なわれたファーストステージの最終戦。泣いても笑っても、この試合ですべてが決まる――。今シーズンの対戦成績12勝12敗と、まさにライバル同士の戦いらしい接戦となった。

 1回表、オリックスは先発の西勇輝がきっちりと3人で攻撃を終わらせ、上々の立ち上がりを見せた。するとその裏、オリックスファンの声援が一瞬にして大歓声となった。1番・駿太が、日本ハムの先発メンドーサの初球、ど真ん中にきたストレートをフルスイング。打球はライトポールを直撃し、オリックスが先頭打者ホームランで貴重な先取点を挙げた。

 2回表、西は4番・中田翔を2球でショートフライ、今シリーズ初打席の5番・大谷翔平を見逃し三振、そして今シリーズ好調の6番・小谷野栄一を変化球攻めでファウルフライに打ち取り、初回に続いて3者凡退に切ってとった。ところが3回表、西の制球が乱れ始める。1死後、8番・大引啓次を四球で出すと、9番・大野奨太には内野安打を打たれる。その打球が右足に当たり、西は一度ベンチに下がって治療をする。足を引きずることなく元気に戻ってきた西だったが、1番・西川遥輝にも手痛い四球を出し、満塁としてしまう。だが、ここは意地を見せ、2者連続の空振り三振でこのピンチを切り抜けた。

 西は4回以降もランナーを背負うも、ピンチになるとエンジンがかかり、本来の西らしいキレのあるボールで得点を許さない。5回表は、2死二塁の場面、3番・陽岱鋼のバウンドしたゴロをサードのヘルマンが捕球できずに前に大きく弾き、一、三塁とピンチが広がったが、中田を低めにコントロールされたストレートでレフトフライに打ち取った。

 するとその裏、守備でミスのあった7番・ヘルマンが汚名返上とばかりに二塁打を放ち、追加点のチャンスをつくる。8番・原拓也が送りバントを決めて、ヘルマンは三塁へ。9番・伊藤光がストレートの四球で出塁し、打席には初回に先制アーチを放っている駿太。駿太はメンドーサのナックルカーブをよく見て、四球を選ぶ。1死満塁となり、オリックスに流れが傾きかける。しかし、続く安達が一ゴロ。これが併殺打となり、オリックスは絶好のチャンスをいかすことができなかった。

 ピンチのあとにチャンスあり。6回表、日本ハムは1死から小谷野が二塁打を放つ。続く近藤の打球は詰まりながらもレフト前にポトリと落ち、一、三塁とした。ここで日本ハムは代打に今シーズン限りで引退を表明している稲葉篤紀を送った。第2戦では同点の場面で勝ち越し打を放っている稲葉は、この打席でも勝負強さを見せる。ボールカウント1−1からの3球目、外角低めの変化球に対し、ベテランらしい一振りで一、二塁間を破るライト前ヒット。三塁ランナーが同点のホームを踏み、試合を振り出しに戻した。

 なおも1死一、二塁。オリックスは西から佐藤達也にスイッチした。すると日本ハムは第2戦で佐藤から一発を放っているミランダを送る。この勝負、軍配が上がったのは佐藤だった。負けん気の強さを見せた佐藤は、150キロ前後のストレート勝負を挑み、ミランダを空振り三振に切ってとった。続く西川の打席でフォークをひっかけ、暴投でランナーをそれぞれ進めてしまった佐藤だったが、西川をセンターフライに打ち取り、勝ち越しを許さなかった。逃げ切り体勢に入ったオリックスは、8回表は馬原孝浩がきっちりと3人で打ち取る。

 8回裏、オリックスは1番・駿太からの好打順を迎える。すると、勝たなければ今シーズンが終わる日本ハムの栗山英樹監督は、この大事な場面で思い切った采配をふるう。マウンドに送ったのは、今季登板はわずか10試合のルーキー白村明弘だった。その白村は3球続けて真ん中高めにボールが集まり、駿太に二塁打を打たれる。すると安達に対してはストライクが入らず、3つボールが続く。ようやく1球、ストライクが入った後の4球目、ここでオリックスがしかけてきた。白村が投球モーションに入った途端に、二塁ランナー駿太がスタート。さらに安達はセーフティバントをしてきた。安達はアウトとなったものの、オリックスは1死三塁と一打勝ち越しのチャンスをつくった。1点も与えることのできない日本ハムは、ここで白村を諦め、宮西尚生をマウンドに上げた。宮西はベンチの期待に応え、3番・糸井嘉男、T−岡田を空振り三振に切ってとり、ピンチを凌いでみせた。オリックスはなかなかチャンスを生かし切ることができない。

 9回表、オリックスはパ・リーグ新記録となる40セーブを挙げた守護神の平野佳寿をマウンドに上げた。平野は先頭打者に内野安打を許すも、次打者の送りバントを自ら捕球して二塁へ送り、一塁ランナーを刺した。日本ハムにとっては嫌な流れとなったが、それでも続く2番・中島卓也にも送りバントをさせ、2死にしても、ランナーを二塁に進めた。そして未だ不調から抜け出せていない陽にすべてを託した。しかし、陽は大振りが目立ち、平野の速球にタイミングが合わない。最後はフォークに思わず手が出て、この試合3つ目の三振を喫した。その裏、オリックスは2死からヘルマンがヒットと盗塁で二塁に進み、一打サヨナラのチャンスをつくるも、原が見逃し三振に倒れ、またも得点することができなかった。

 1−1のまま、試合は延長へと突入した。10回表、オリックスは9回に続いて平野がマウンドに上がった。すると、先頭打者の中田が外角寄りのストレートをバックスクリーンへ運び、日本ハムに待望の勝ち越し点が入った。だが、すんなりとは終わらない。その裏、1点を追うオリックスは先頭の伊藤がヒットを放つ。伊藤に代えて俊足の岩崎恭平を代走に送った。そして好調の駿太に送りバントをさせ、1死二塁と一打同点のかたちをつくる。しかし、反撃もここまでだった。この回からマウンドに上がった増井浩俊が安達を投ゴロに、最後は糸井を遊ゴロに打ち取り、1点を死守した。

 これで通算成績は日本ハムの2勝1敗となり、シーズン3位の日本ハムが、同2位のオリックスを破って、ファイナルステージ進出を決めた。明日15日からは、場所をヤフオクドームへと移し、ソフトバンクと日本シリーズ進出をかけて戦う。