16日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが第2戦が行われ、阪神が巨人を5−0で下した。阪神は3回表に上本博紀、鳥谷敬の連続タイムリーで2点を先制。5回には3点を追加した。阪神の先発・岩田稔の前に沈黙していた巨人打線は、7回裏に反撃。井端弘和に2ランが飛び出し、3点差まで迫った。その後も巨人はチャンスを作りながら、岩田の後を受けた福原忍、高宮和行、呉昇桓の前に得点を奪えなかった。これで阪神は連勝で、通算成績を2勝1敗と勝ち越した。

◇ファイナルステージ第2戦
 岩田、7回2失点の好投&先制点生む好走塁(阪神2勝1敗、東京ドーム)
阪神   5 = 002030000
巨人   2 = 000000200
勝利投手 岩田(1勝0敗)
敗戦投手 澤村(0勝1敗)
セーブ   呉昇桓(2S)
本塁打  (巨)井端1号2ラン
「先行逃げ切り、いいゲームができた」。阪神の和田豊監督は、こう胸を張った。相手のスキを突く、ソツのない野球で阪神が連勝した。

 初戦を落とし、1勝1敗のタイに追いつかれた巨人は先発のマウンドに澤村拓一を送った。今季は5勝3敗、防御率3.72と不本意なシーズンに終わっただけに、この試合に懸ける思いも強いはずだ。初回からエンジン全開とばかりに150キロを超えるストレートでぐいぐい押し、2回をノーヒットに抑えた。一方、阪神の岩田稔は対照的な持ち味を発揮。変化球主体のピッチングで、こちらも2回をパーフェクトに封じる快投を見せた。

 両先発の好投で幕を開けた第2戦は、3回に試合が動いた。澤村は先頭の大和を打ち取ったが、続くピッチャーの岩田にストレートのフォアボール。投手を無条件で歩かせる嫌なムードが漂う。巡ってきたチャンスを猛虎打線は逃さなかった。西岡は三塁手の村田修一のグラブを弾く内野安打で一、二塁とする。ここで2番の上本は澤村のストレートをセンター前に弾き返した。岩田は三塁を蹴って、ホームへ突入。センター橋本到の肩との勝負となったが、足で滑り込んだ。キャッチャー小林誠司のブロックをかいくぐる好スライディングでセーフ。ピッチャーの岩田が足で魅せた。なおも阪神は鳥谷が一二塁間を破るヒットで、西岡が生還。2点を先制した。

 好走塁で自らを援護した岩田だったが、この回の先頭打者・井端弘和にヒットで出塁を許す。1死後、澤村の送りバントを処理した岩田はファーストへ悪送球。1死二、三塁と自らのミスでピンチを広げてしまう。続く長野は四球で1死満塁。一打同点という場面になったが、ここで岩田は踏ん張った。橋本をセカンドゴロに打ち取り、4−6−3のダブルプレー。岩田は続く4回裏にも2死からレスリー・アンダーソン、村田に連打を浴びたが、井端をセカンドフライに切って取り、無失点に抑えた。

 5回表、澤村のコントロールが乱れる。先頭の西岡を四球で歩かせると、続く上本を0−2と追い込みながら頭部へのデッドボールを与える。これで澤村は危険球退場。またもや相手のミスで転がり込んできたチャンスを着実に生かす。鳥谷が久保裕也は代わり端を叩き、二遊間を破るヒットで西岡が還り、1点を追加した。その後、2死二、三塁となってマット・マートンがレフト前へ弾き返すタイムリーを放つ。三塁走者の上本に続き、二塁走者の鳥谷もホームベースを踏んだ。阪神は5点のリードを奪った。

 岩田は5、6回もゼロに抑え完封ペース。しかし、リーグ王者もこのまま黙ってはいない。曲者・井端が、ランナーを1人置いた場面でインコースの難しいボールを巧く腕を畳んで、レフトスタンドへ運んだ。シーズン3発の伏兵がレフトポール際への一発で3点差へと迫った。巨人はホセ・ロペスが凡退したが、代打・矢野がレフト前にヒットを放ち、反撃の機会を窺う。

 迎えるバッターは長野久義。長野はアウトコースのボールに逆らわず、右方向へ弾き返した。鋭い打球が飛んだが、不運にも一塁のマウロ・ゴメスの正面を突いた。ライナーをキャッチしたゴメスは、飛び出した一塁走者の矢野もアウトにし、ダブルプレー。反撃の芽が一気にしぼんだ。巨人は8回にも1死一塁の場面で、阿部慎之助の打球がファーストライナーとなり、併殺打。チャンスを着実に生かした阪神に対し、最後まで打線はかみ合わなかった。

 9回は阪神の守護神・呉昇桓が登場。呉昇桓は村田にヒットを打たれたが、この日、2安打の井端は150キロのストレートで空振り三振に切ってとった。ロペスはカットボールでショートゴロに抑えて、試合を締めた。今季のセーブ王は、ポストシーズン4試合で6イニング無失点と、役割を十二分に果たしている。絶対的な守護神の存在が、阪神の先行逃げ切りパターンを支えている。

 ファーストステージは湿っていた打線も、この日は4本のタイムリーを放つなど、乗っている。「いい雰囲気で野球ができている」と指揮官も選手たちの出来に満足の様子。苦手だったポストシーズンも4連勝。ファイナルステージの通算成績は2勝1敗と勝ち越した。このままの勢いで、日本シリーズへと突っ走りたい。