28日、日本シリーズ第3戦が行なわれ、ソフトバンクが快勝して2勝目を挙げた。第2戦と同様、初回に先取点を挙げたソフトバンクは、4回には相手バッテリーのミスから追加点を挙げる。さらに6回にはたたみかける攻撃で一挙3点を奪い、試合を決定づけた。投げては先発の大隣憲司が7回まで3安打無失点とパーフェクトピッチングを披露。スコア以上に投打に圧倒したソフトバンクが連勝をおさめ、通算2勝1敗とした。

◇第3戦
 大隣、7回3安打無失点の快投(ソフトバンク2勝1敗、甲子園)
阪神           1 = 000000001
福岡ソフトバンク   5 = 10010300×
勝利投手 大隣(1勝0敗)
敗戦投手 藤浪(0勝1敗)
 1勝1敗のタイで迎えた第3戦、福岡ソフトバンクが序盤から試合の主導権を握る。初回、クライマックスシリーズ・ファイナルステージで好投し、北海道日本ハムとの死闘を制した立役者となった大隣憲司が3人でピシャリと抑え、無難な立ち上がりを見せた。

 するとその裏、阪神の先発、2年目の藤浪晋太郎の立ち上がりを、リーグトップのチーム打率を誇るソフトバンク打線が攻めた。まずは1番・柳田悠岐が甘く入った変化球を完璧にとらえ、二塁打を放つ。続く2番・明石健志の送りバントで柳田は三進した。ここで3番・内川聖一が外角への変化球をうまくとらえ、センターへ。柳田が先制のホームを踏み、第2戦に続いてソフトバンクが初回に先取点を挙げた。

 さらに4番・李大浩もヒットで続き、1死一、三塁とした。しかし、ここは2年連続2ケタを挙げた藤浪が意地を見せた。5番・松田宣浩を低めの変化球で空振り三振に切ってとると、ポストシーズンに入って調子が上がらない6番・中村晃をキャッチャーへのファウルフライに打ち取り、最少失点に抑えた。

 2回以降も毎回ランナーを背負う苦しいピッチングが続く藤浪だったが、なんとかピンチを凌ぎ切り、追加点を許さない。一方、大隣は4回表まで、1安打4奪三振とほぼ完璧なピッチングで阪神打線を封じた。

 再び試合が動いたのは4回裏。先頭の7番・吉村裕基をストレートの四球で出すと、8番・今宮健太に送りバントを決められ、1死二塁とした。そして9番・細川亨への7球目、変化球がワンバウンドとなる。これを細川が空振りするも、キャッチャー鶴岡一人が後逸してしまう。細川は振り逃げで一塁へ。さらに鶴岡が一瞬ボールを見失った隙をついて、二塁ランナー吉村が一気にホームへ返り、2点目を挙げた。

 藤浪は制球が定まらない。2死後、明石を四球で出すと、自らの暴投で二、三塁とピンチを招いた。ここで内川には粘られた末に、カットボールを完璧にとらえられる。矢のような鋭いライナー性の打球はセンターへ。誰もが内川の走者一掃となる2点タイムリーと思っていた。ところが、これをセンター大和が後逸する危険をも顧みず、猛ダッシュ。見事なスライディングキャッチで、ソフトバンクにいきかけた流れを断ち切った。

 しかし6回裏、試合が大きく動いた。まずは2死二塁の場面で、阪神は藤浪から2番手・高宮和也にスイッチした。ポストシーズンで中継ぎの柱を担っていた高宮だったが、いきなり柳田に死球を当てる。そして明石には粘られた末に一、二塁間を破られ、満塁としてしまう。結局、高宮は1死も取れずに降板し、3番手にはベテランの安藤優也が上がった。打席には当たっている内川。その内川を安藤はヒザ元に落ちる変化球で打ち取った……かと思われたが、これをサード西岡剛が二塁へ送球するもセーフに。フィルダースチョイスとなって、三塁ランナー吉村がホームに返った。さらに李の2点タイムリーで、ソフトバンクがこの回3点を奪い、その差を5点に広げた。

 投げては大隣が7回まで3安打無失点と阪神打線を完璧に封じた。8回表は2番手・五十嵐亮太が3者凡退に切ってとる。しかし9回表、阪神は2死無走者から一矢報いる。代わったサファテから2番・上本博紀が二塁打を放つと、3番・鳥谷敬がタイムリーを放ち、1点を返す。しかし、反撃もここまでだった。最後は4番・ゴメスがセカンドフライに打ち取られ、ゲームセット。投打に圧倒したソフトバンクが快勝し、通算成績を2勝1敗とした。