ハビエル・アギーレが日本代表監督に就任して3カ月が経った。今のところ戦績は1勝2敗1分け。メキシコ人指揮官はどのような考えでチームづくりを進めているのか。スペインで5年間の指導者修行を積み、身体障害者として初めてJFA公認S級ライセンスを取得した羽中田昌に、アギーレジャパンの現状を訊いた。
二宮: 羽中田さんはアギーレに対してどのような印象を抱いていますか?
羽中田: リーガ・エスパニョーラのクラブで監督を務めていた時のアギーレには“勝負師”という印象を持っていましたね。

二宮: その心は?
羽中田: 当時のアギーレは、あえて相手にボールをポゼッションさせるリアクションサッカーを狙っていました。リスクを賭けずに90分間を闘っていくスタイルです。しかし、追い込まれた時には、最大限のリスクを冒そうとするんです。

二宮: 具体的には?
羽中田: 例えば0−1で負けていて、まだ残り15分ほどあるにもかかわらず、迷いなく最終ラインの選手を前線に上げたりしていました。

二宮: 日本代表の指揮を執るアギーレについてはいかがでしょうか?
羽中田: 4年後のロシアW杯をしっかりと見据えていると思います。メンバー選考にしても、堅守速攻というスタイルに合わせてダイレクトプレーに長けていたり、スピードのある選手を選びました。20代前半の柴崎岳(鹿島)や武藤嘉紀(F東京)といった若手も起用し、「4年後、選手はどうなっているか」を思い描いた人選でしょう。

二宮: 中盤の底で守備的な役割を担うアンカーにはDFの森重真人(F東京)を起用しています。
羽中田: アギーレはそのエリアにフィジカルが強く、かつディフェンス能力の高い選手が欲しかったのでしょう。彼はメキシコ代表を率いて2度、W杯を戦っています。その経験に基づいて、日本がW杯でどうやれば闘えるかをイメージしたチームづくりを進めていると思いますね。

<現在発売中の『第三文明』2014年12月号でも、羽中田昌さんのインタビューが掲載されています。こちらもぜひご覧ください>