9日、IIHF女子アイスホッケー世界選手権トップディビジョン予選第2戦が新横浜スケートセンターで行われ、日本代表がチェコ代表に0−2で敗れた。日本は、第2ピリオドに先制を許すと、第3ピリオドに追加点を奪われた。試合終了間際にはGKを下げる“6人攻撃”を仕掛けたが、最後まで1点が遠かった。これで通算成績1勝1敗のタイとなり、11日の第3戦に勝利したチームが来年3月の世界選手権トップディビジョン(スウェーデン)に出場する。
(写真:幾度もチャンスは作ったが、フィニッシュの精度に欠いた)

◇第2戦
 枠内シュート17本も無得点(チェコ1勝1敗、新横浜)
日本代表 0−2 チェコ代表
【得点】
[チ] アレナ・ポレンスカ(35分14秒)、デニサ・クシージョバ(49分20秒)
 最後までゴールが遠かった。世界選手権トップディビジョン残留へ王手をかけていたスマイルジャパンだったが、この日は無得点のまま、試合終了のブザーを聞くこととなった。

 立ち上がりは昨日とは見違えるようだった。スピーディーな動きで相手を高い位置から追い込み、プレッシャーをかけてパックを奪った。セットが変わっても、チャンスを何度も作った。第1ピリオドの終盤はチェコに攻め立てられる場面もあったが、GK藤本那菜(ボルテックス札幌)を中心に体を張って、失点を防いだ。枠内シュート数こそ5対5と同じだったが、日本のペースで第1ピリオドを終えた。

 第2ピリオドも日本の攻勢。7分、左サイドを突破したFW浮田留衣(Daishin)のパスを受けた獅子内美帆(HPKハメーンリンナ)がシュートを放ったが、チェコGKにセーブされる。11分にFW大澤ちほ(三星ダイトーペリグリン)のパスにFW米山知奈(三星ダイトーペリグリン)合わせたが、またしてもGKに弾かれた。チャンスを作れど、ゴールを奪えない。

 すると「相手のチェックに引っかかる部分が増えてきた。ブレイクアウト(攻め出し)がうまくいかなくなってきた」(大澤)と流れは徐々にチェコへ傾いていった。15分、ついにゴールが生まれる。ゴール前の混戦からFWアレナ・ポレンスカに押し込まれ、先制を許してしまう。

 リードを許した日本は、さらに窮地へと追い込まれる。16分10秒にDF床亜矢可(SEIBUプリンセスラビッツ)がペナルティーで一時退場。1人少ないキルプレーとなった。1分10秒耐えたが、今度はDF竹内愛奈(カルガリー・インフェルノ)がハイスティックを犯し、リンクを離れた。2人少ない状況で50秒間を戦わなければならなくなった。

 失点直後の苦しい展開。日本は何とか耐え凌いで、ブザーを聞いた。しかし、第3ピリオドに入っても流れを引き戻せなかった。9分にはチェコの追加点を許し、突き放された。ゴール前でうまく合わされた失点にGK藤本は「(味方に)ぶつかってもいいから前に出て、止めれれば良かった」と悔やんだ。

 なかなかチェコを崩せなかった日本だが、8分48秒にチェコのマイナーペナルティーで1人多い状況になった。日本にとって、この試合2度目のパワープレー。数的有利を生かし、パックを散らしたが、決めきることができない。ゴール前まで詰め寄るも、最後のところでシュートを打てない。時間ばかりが過ぎていった。

 残り3分を切ったところで、藤沢悌史監督はタイムアウトを取る。藤本を下げ、小池詩織(三星ダイトーペリグリン)、床亜矢可、大澤、米山、浮田、久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)のセットで“6人攻撃”を仕掛けた。しかし、パックは回せてもゴールを脅かすまでにはいたらない。一度、プレーが切れて藤本がリンクに戻ったが、残り1分5秒で、再びGKのいない捨て身の攻撃を敢行。しかしチェコゴールを最後まで打ち破れず試合は終了した。
(写真:タイムアウトを取り、指示を与える藤沢監督)

 日本は2−0で勝利した第1戦よりもいい立ち上がりを見せたものの、結果は0−2と逆のものとなった。第2ピリオド以降は疲れがあったのか、足が止まっているように見受けられる場面もあった。藤沢監督は「(疲れは)言い訳はできない。明後日にしっかり調整していきたい」と前を向いた。泣いても笑っても、次の1戦でトップディビジョンに残れるか否かが決まる。

(文・写真/杉浦泰介)