ボクシングのWBC世界ダブルタイトルマッチが22日、横浜国際プールで行われ、スーパーフェザー級では王者の三浦隆司(帝拳)が6R2分15秒TKOで、挑戦者の同級1位エドガル・プエルタ(メキシコ)を下し、3度目の防衛に成功した。三浦は1Rに左フックで早くもダウンを奪うと、ボディで相手を消耗させつつ、得意の左を当てて主導権を握る。6Rには連打で相手をぐらつかせ、レフェリーが試合を止めた。フライ級では王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が6R2分11秒TKOで、挑戦者の同級8位ロッキー・フエンテスを倒し、初防衛に成功。これでデビューから無敵の41連勝(35KO)となった。
(写真:三浦は左のみならず、右も相手をよくとらえた)
<三浦、進化遂げて統一戦に自信>

 昨年大晦日から11カ月ぶりの試合で強さに加えてうまさを身につけた。
 立ち上がりからダウンを奪った。相手が距離を詰め、接近戦でもつれた際に、「いいところに(相手の)顔があった」と左を振るう。これがプエルタのこめかみにヒット。同級1位の挑戦者を1Rでひざまずかせ、ペースをつかむ。

 出鼻をくじかれたプエルタは「コンビネーションにキレがあった」と三浦が振り返ったように、積極的にパンチを繰り出し、反撃に転じる。だが、三浦は11カ月の間に磨いたディフェンスで有効打を与えない。体をうまく使って威力をかわし、「ほとんど効いたパンチはなかった」と試合後も顔はきれいだった。

「前半は固かったが、だんだんリラックスしてきた」という王者は、3Rからボディを多用し、挑戦者を削りにかかる。ボディを嫌った相手がガードを下げたところに右、左と顔面をとらえ、プエルタを後退させた。

「ボディから中に入って上下を打ち分ける。必勝スタイルに早い段階で入れた」
 セコンドの葛西裕一トレーナーが評した通り、4R以降は三浦が完全にリングを支配する。右で相手の左まぶたを切り裂き、得意の左も入り始める。

 そして6R、王者得意のボンバーレフトが炸裂。プエルタの腰が砕け、ロープに詰まったところにラッシュをかける。無抵抗になった挑戦者をみて、レフェリーが試合終了を告げた。

「体は前より強くなった。ディフェンス面、体のバランスが良くなった」と戦前に話していた進化を久々の試合で示し、世界戦では最も早いラウンドでのKO勝ちだ。年末に防衛戦を行うWBA同級王者・内山高志(ワタナベ)の結果次第では、いよいよ日本人チャンプ同士の統一戦の機は熟す。

 内山からダウンを奪いながら、逆転でTKO負けを喫して約4年。「実力はついてきている。自信はある」。リベンジマッチへ王者は力強く言い切った。

<最強ロマゴン、「井上と戦いたい」>

 八重樫東(大橋)からフライ級のベルトを奪って、まだ2カ月半。短期間での初防衛戦も、軽量級最強ボクサーには全く関係なかった。様子見の展開だった1Rから、2R以降、一気にペースアップ。ボディ、アッパーでフエンテスをロープ際に追い詰める。
(写真:日本では無敗の挑戦者も、ロマゴンの前にはなす術がなかった)

 そして6R、消耗して逃げ場のなくなった相手をアッパーから左、右とつなげ、前のめりに倒す。なんとか立ち上がったフィリピン人だが、もう勝敗は決していた。連打を浴びせ、レフェリーが試合を止めた。

「満足している。9R以内にKOしたいと約束していた」
 リングを降りたロマゴンは試合後とは思えない涼しげな表情。「来年、井上(尚弥)選手とやって4階級制覇を達成したい」と、年末に井上が挑むWBOスーパーフライ級のベルトを奪いにいくプランもあることを明かした。

 帝拳ジムに所属し、ここ3試合はすべて日本で戦った。本人は今後も日本のリングに立ちたい意向だ。ファイトマネーで母国のニカラグアに土地を買い、ジムを立ち上げるプロジェクトを進めているという全勝王者は「日本でも家を買いたい。メルセデスベンツもほしい」とニヤリと笑った。

(石田洋之)