(写真:リーグタイ記録の10本塁打をマークした數原は4冠達成)

 29日、第52回日本女子ソフトボールリーグ表彰気が都内ホテルで行われた。最高殊勲選手賞は打撃2冠(本塁打、打点)の數原顕子(シオノギ製薬ポポンギャルズ)が獲得。數原はベストナインと合わせて個人4冠を達成した。新人賞には、ビックカメラ高崎BEE QUEENの勝股美咲(投手部門)、トヨタ自動車レッドテリアーズの石川恭子(野手部門)が輝いた。

 

 2019年シーズンを締め括る表彰式。いつもはユニフォーム姿の選手、監督たちはドレスアップして臨む。和服、ドレス、スーツなどが会場に華やかな彩りを加えた。

 

(写真:顔を揃えたタイトルホルダーたちがドレスアップして臨んだ)

 今季のMVPは數原が輝いた。リーグタイ記録の10本塁打で、2年ぶり2度目のホームラン王。22打点で初の打点王も獲得し、打撃2冠を手にした。充実のシーズンを「2020年東京オリンピックを目標にしてきました。そのためには2019年が大事な年になると思い、いい成績を残すことを考えていた」と振り返った。

 

「信じられるのは自分だけだ」

 そう思い打席に入り、ホームランを量産した。9月7日に行われた第6節豊岡大会のNECプラットフォームズRed Falcons戦では、リーグ記録となる1試合4本塁打、9打点の荒稼ぎだ。第1打席にライトへ先制3ランを叩き込むと、第2打席はセンターオーバーの2ラン。3打席連続の一発もセンターへ運んだ。第4打席はセンターフライに終わったものの、第5打席にトドメの3ラン。25歳のスラッガーが大暴れした1日だった。

 

 来季に向け、「今季はまだまだたくさん課題があった」と語る。チームは今季10位だった。「チームで勝ちたい思いが強い。自分が引っ張っていけるように頑張りたいです」。数多のアーチを描き、チームを決勝トーナメントへ導くつもりだ。

 

(写真:チームメイトの森<左>と共に着物で登場した勝股)

 リーグ在籍2年目以内の日本人選手に与えられる新人賞は優勝したビックカメラ高崎から高卒2年目の勝股が、3位のトヨタ自動車からは大卒ルーキーの石川が選ばれた。

 

 勝股はシーズン序盤に負傷したエースの上野由岐子の不在を濱村ゆかり、中野花菜と埋めようと踏ん張った。日本人最多の7勝を挙げ、規定投球回数には足りなかったものの、防御率1.72の好成績。チームの2年ぶりの優勝に貢献した。

 

 昨季は決勝トーナメントでの登板機会はなかった。開幕前には「やはり最後は上野さんが一番信頼されている。それをただ応援することしかできなかった自分がいました。少しでもチームや上野さんの力になりたいという思いはあります」と語っていたが、今季は決勝トーナメント1回戦で先発、3回無失点と好投した。

 

「今までは緊張して精一杯投げているだけだった。相手の選手をみながら投げられるようになった」

 成長を実感する20歳の右腕。チェンジアップでストライクを取れるようになったことで得意のライズボールが生きたという。

「これに満足せず成長していけるように頑張ります」

 

(写真:園田学園女子大から入団した石川は大学時代に日本代表に選出された)

 打率4割3分6厘をマークし、首位打者とベストナインに選ばれた石川は初の日本リーグにも慣れない外野守備にも適応してみせた。主に1番レフトとして名門・トヨタ自動車を牽引した。

 

 本職はショート。実は入団前に外野手のコンバートを提案された。

「内野が好きですし、“内野を守りたい”という思いもありました。でもまだ1年目ですし、経験を積むためにも試合に出られるに越したことはない、と」

 

 1年目の好成績にも満足することはない。「来年への課題がたくさん見つかった。この冬、課題を潰せるのが楽しみです。また違う自分を見せられたらと思います」。貪欲な向上心が彼女を支えている。

 

(写真:決勝を戦った横浜にちなんでチャイナドレスを纏った岩渕監督)

 ビックカメラ高崎の優勝で幕を閉じた今季、岩渕有美監督は「全員で勝ち取った優勝」と、日替わりヒロインのに胸を張った。来季はビックカメラに移管して初の連覇に挑む。

 

 昨季10位のHonda Revertaもチーム力で2位に大躍進。53回目の日本リーグはどんな展開になるのか。連覇を目指すチームもあれば、リベンジに燃えるチームも。東京オリンピックシーズンに輝くヒロインたちに注目したい。

 

(文・写真/杉浦泰介)