昨年、眞鍋政義監督率いるバレーボール全日本女子代表は、ワールドグランプリで銀メダルを獲得した。この大会で全日本はコート内の6人が様々なポジションを担う「ハイブリッド6」という新戦術を披露し、世界を驚かせた。12年ロンドン五輪、13年ワールドグランドチャンピオンズカップでも銅メダルを獲得するなど、眞鍋ジャパンは結果を出し続けている。強さの秘密はどこにあるのか。元全日本メンバーで現役時代から眞鍋を知る益子直美に、二宮清純が訊いた。
二宮: 益子さんは眞鍋ジャパンの活躍をどう見ていますか?
益子: やはり、眞鍋さんはさすがだなと思います。現役時代から仲良くさせていただいていますが、相変わらずアイディアが面白いなと。

二宮: 相変わらずと言いますと?
益子: 眞鍋さんはいたずらをするのが好きなんです。たとえば現役時代、寮のベランダにハトがよく来ていたらしく、眞鍋さんは鳴き声がうるさいと思っていた。そこで、別の部屋のベランダにエサをまき、自分の部屋からハトを遠ざけたらしいんです。

二宮: 発想がおもしろいんですね(笑)。
益子: そうなんです。もちろん、勉強熱心な方ですし、アイディアを常に模索しているのでしょう。ハイブリッド6やMB1(ミドルブロッカーを1人にする戦術)などは、考えつきもしない戦術です。

二宮: ハイブリッド6を初めて見た時は驚きました。
益子: 今までアタッカーのポジションはレフト、センター、ライトと固定されているのが一般的でした。また守備では、センタープレーヤーはブロックで貢献することに重点が置かれていました。

二宮: レシーブが乱れると、センタープレーヤーが攻撃に参加することはほとんどありませんでした。
益子: その通りです。結果的に、レフトとライトのアタッカーに大きな負担がかかっていました。だから今、眞鍋さんがポジション関係なしに攻撃する作戦や、乱れたトスでもスパイクを打てるセンタープレーヤーを置いていることはすごいと思います。

二宮: いろいろな面で、日本のバレーボールも変わってきましたね。
益子: そうですね。新しい時代のバレーボールを、眞鍋さんが作ってくれると期待しています。

<現在発売中の『第三文明』2015年3月号でも、益子直美さんのインタビューが掲載されています。こちらもぜひご覧ください>