18日、ジャパンラグビートップリーグ2020シーズン第2節が各地で行われた。東京・秩父宮ラグビー場の試合は、キヤノンイーグルスが三菱重工相模原ダイナボアーズに23-15で、サントリーサンゴリアスがNTTコミュニケーションズシャイニングアークスに22-10で勝った。キヤノンとサントリーは今季初白星。そのほか愛知・豊田スタジアムでのトヨタ自動車ヴェルブリッツとパナソニック ワイルドナイツの一戦はTL史上最多となる3万7050人の観客動員数を記録した。試合はパナソニックが40-20でトヨタ自動車を破り、開幕2連勝した。

 

 ジャパンのハーフ団効果

 

 秩父宮11時30分キックオフの第1試合、三菱重工vs.キヤノンは時折雪が舞う中、行われた。キヤノンにはジャパンのハーフ団(SH田中史朗、SO田村優)が在籍しているとあって、1万3000人近くの観客が詰め掛けた。

 

 開幕戦を落とした両チームの一戦は、三菱重工が前半6分にPGで先制する。キヤノンは14分にラインアウトモールからのトライで逆転するも、2トライを喫し、10-15で試合を折り返した。

 

 司令塔の田村は前半2本のコンバージョンキックを外すなど精彩を欠いた。インプレー中のキックをチャージされ、トライも奪われたが後半、自らの足で取り返す。

 

 9分、田中からパスを受けると右サイドへライナー性のキックパス。WTB山田聖也はそれをキャッチすると、悠々トライを挙げた。田村はコンバージョンキックを決め、17-15で逆転に成功した。

 

 田村はその後、2本のPGを決めた。キヤノンは後半、相手を無得点に抑えた。アリスター・クッツェーHCは「今日のような難しいコンディションで勝つことができて良かった」と語った。

 

 移籍後初勝利となった田中はフル出場。「FWが身体を張ってくれたおかげ」とチームメイトを称えた。経験豊富なジャパンのハーフ団がチームを牽引する。キャプテンのFL嶋田直人は「味方を落ち着かせてくれる。シンプルで的確な指示でやりやすい」と2人の存在の大きさを口にした。キヤノンは次節、NECグリーンロケッツと対戦する。

 

 86分を超える攻防

 

 14時キックオフの第2試合、サントリーvs.NTTコミュニケーションズも雨に降られ、震えるような寒さのコンディションだったが、観客は第1試合を上回る1万5826人が集まった。

 

 W杯戦士を多く擁する両チーム。開幕戦はサントリーが東芝ブレイブルーパスに敗れ、NTTコミュニケーションズが日野レッドドルフィンズに勝利していた。

 

 主導権を握ったのはサントリー。前半9分はWTBテビタ・リーのパスからCTB梶村祐介が、前半終了間際にはNo.8テビタ・タタフのパスからリーがトライを挙げた。コンバージョンキックをSO田村煕が1本成功し、後半6分にPGも決まり、15-0とリードした。

 

 NTTコミュニケーションズの反撃は、後半11分だ。No.8アマナキ・レレイ・マフィがリスタートからチャンスを演出。CTB池田悠希にパスを繋ぎ、トライをアシストした。CTBクリスチャン・リアリーファノがコンバジョーンキックを決め、8点差に迫る。14分にはリアリファーノがPGで5点差に。ジャパンのマフィ、オーストラリア代表リアリーファノの活躍で追撃を開始した。

 

 追いすがるNTTコミュニケーションズを突き放したのはサントリーのアタッキングラグビーだ。19分、CTBサム・ケレビとタタフがオフロードパスの連続。最後にボールを受けたWTB中靍隆彰は快速を飛ばし、インゴール中央にトライした。

 

 その後は両チーム、スコアが動かず。勝敗が決した後もサントリーは3トライ差、NTTコミュニケーションズは7点差以内の敗戦で得られるボーナスポイントを目指し、80分を過ぎても目まぐるしい攻防を繰り広げた。いずれもラストチャンスでトライを奪えなかったが、電光掲示板の試合時間は86分を超えていた。

 

 NTTコミュニケーションズのキャプテンで、FL金正奎はそのシーンを振り返る。

「僕は何もコールしなかった。全員がセイムページを描いていて、アタックするという気持ちを持っていた。自然とああなった。言葉にするのは難しいですが……最後まで諦めたくなかった。もちろんボーナスポイントを相手に獲られるリスクもあったんですが、それ以上に攻める意味の方が大きかったので僕たちはアタックしました」

 凍えるようなコンディションではあったが、最後までの熱い戦いは観客を大いに沸かせた。

 

(文・写真/杉浦泰介)