皆様、旧年中は康友コラムをご愛顧いただきありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。さて4月の聖火ランナーに向け、元日から走り込みを始めました。聖火リレーの1ランナーの受け持ちは200メートルです。たかが200メートル、されど200メートル。地元の奈良県五條市で晴れ姿を見せられるように、寒さに負けず頑張っております。シーズンオフも変わらずつぶやいているTwitter(@Yasutomo_76)もよろしくお願いします。では、今月も私の球論にお付き合いください。

 

 注目はオリ太田椋とG平間

 まずは球界の先輩の訃報から。17日、高木守道さんが急性心不全のため亡くなられました。高木さんは私が1986年に西武からトレードで中日に移籍したときの守備走塁コーチでした。技術に関してあれこれ言われることはなく、巨人や西武で私がやってきたことを尊重していただきました。ノックをひたすら打ってもらい鍛えられたのがいい思い出です。

 

 巨人の若手時代、1軍で高木さんのプレーを見る機会がありました。もう晩年でしたが、バッティングはパンチ力があり、グラブさばきがうまく、まさに職人タイプという選手でした。いろいろ守備の名手がいますが、私の中でナンバー1のセカンドは高木さんですね。代名詞でもあるバックトスは確実で早く、そして一、二塁間からでもセカンドベースに届くくらい強い球でした。なにより高木さんのバックトスは堅実でしたね。他の選手がやると軽率に見えることもありますが、高木さんのバックトスには確実性がありました。まさに名人芸。心よりご冥福をお祈りします。

 

 2月のキャンプインが目前に迫ってきました。今年もオリックス宮崎キャンプを中心に取材に行く予定です。

 

 オリックスは若手が見ものですね。チームは最下位でしたが、山本由伸(最優秀防御率)、山岡泰輔(最多勝率)の2人がタイトルを獲得し、注目度も上がっています。タイトルホルダーがいるのといないとではマスコミの扱いに差が出るのも当然で、それは選手のモチベーションにもわずかながら影響します。またタイトル獲得によって山岡、山本も自信をつけ、さらに飛躍することでしょう。先発陣は形になっているから、あとはリリーフをどうするか。オリックス浮上のカギはそこにあります。

 

 野手陣では2年目のショート・太田椋が楽しみです。天理高(奈良)の後輩でありルーキーイヤーの昨季から注目していましたが、スローイングを含め守備が抜群に良い。打撃は1軍ではノーヒットでしたが、ウエスタンでは打っているのできっかえさえあればグッと伸びるでしょう。まあ私も経験がありますが18歳、19歳で1軍のピッチャーの球を打つのはなかなか難しい。守備さえ良ければ我慢して使ってもらえるので、太田には頑張ってほしいですね。

 

 西村徳文監督はロッテ時代に下剋上の経験があり、上位食いのコツを知っています。なかなかチームとしてそれを実行できていませんが、太田の成長などセンターラインが強化されれば……。オリックス、楽しみな存在です。

 

 他は積極的な補強に動いた東北楽天、千葉ロッテが楽しみですね。一方でリーグ2連覇の西武は秋山翔吾の抜けた穴をどう埋めるのか? 昨季は野手では浅村栄斗がFAで抜け、「どうなるのか」と思っていたら、中村剛也の奮闘もあり見事に穴を埋めました。投手陣では菊池雄星がチームを離れたものの、山川穂高ら圧倒的な攻撃陣でリーグを制覇しました。西武は伝統的にFAで選手が抜けても、不思議とその穴は埋まってきました。清原和博、松井稼頭央しかり。ただ、今季はどうでしょうか……。秋山翔吾の移籍で攻撃と守備、両方で大きく戦力ダウンすることは否めません。外野手として秋山の穴を埋める選手が誰になるのか? まだ抜けた存在はおらず、どんぐりの背比べですから、今キャンプはポスト秋山に注目ですね。

 

 セ・リーグでは巨人のセカンド争いに注目です。徳島インディゴソックスのコーチ時代、一緒にプレーしていた平間隼人が育成1位で巨人に入りました。平間は初めてのキャンプで1軍スタートを勝ち取るなど、首脳陣の覚えも上々のようです。平間は一度、野球を辞めたものの夢を諦めきれず徳島に復帰し、それでドラフト指名を受けました。そういうギラギラした若い選手がどうキャンプを引っ張っているか、見てみたいですね。同じセカンドを争う吉川尚輝や若林晃弘らもどんなキャンプを過ごすのか、注目したいところです。

 

 それにしても、こうしてキャンプインを目前にすると、やはり気分が高まってくるのは現役、コーチ時代と同じです。いい選手、楽しみな選手を見つけて、またこのコラムで報告できればと思っています。2月3日、4日(予定)にはCS放送でオリックスのキャンプレポートの解説も努めますので、そちらもお楽しみに!

 

<鈴木康友(すずき・やすとも)プロフィール>
1959年7月6日、奈良県出身。天理高では大型ショートとして鳴らし甲子園に4度出場。早稲田大学への進学が内定していたが、77年秋のドラフトで巨人が5位指名。長嶋茂雄監督(当時)が直接、説得に乗り出し、その熱意に打たれてプロ入りを決意。5年目の82年から一軍に定着し、内野のユーティリティプレーヤーとして活躍。その後、西武、中日に移籍し、90年シーズン途中に再び西武へ。92年に現役引退。その後、西武、巨人、オリックスのコーチに就任。05年より茨城ゴールデンゴールズでコーチ、07年、BCリーグ・富山の初代監督を務めた。10年~11年は埼玉西武、12年~14年は東北楽天、15年~16年は福岡ソフトバンクでコーチ。17年、四国アイランドリーグplus徳島の野手コーチを務め、独立リーグ日本一に輝いた。同年夏、血液の難病・骨髄異形成症候群と診断され、徳島を退団後に治療に専念。臍帯血移植などを受け、経過も良好。18年秋に医師から仕事の再開を許可された。18年10月から立教新座高(埼玉)の野球部臨時コーチを務める。NPBでは選手、コーチとしてリーグ優勝14回、日本一に7度輝いている。19年6月に開始したTwitter(@Yasutomo_76)も絶賛つぶやき中。2020年東京五輪の聖火ランナー(奈良県)も務める。


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