16日、東京・岸記念体育会館で「ANA CUP 第39回日本ハンドボールリーグ男子プレーオフ」の記者会見が開かれた。会見にはレギュラーシーズン上位4チームの監督、キャプテンが出席し、抱負を語った。プレーオフは21日に東京・駒沢体育館で開幕。準決勝第1試合で琉球コラソン(レギュラシーズン4位)と大崎電気オーソル(同1位)が、第2試合でトヨタ車体ブレイブキングス(同2位)と大同特殊鋼フェニックス(同3位)が対戦する。勝者同士は22日に行われる決勝で戦い、リーグ王者を決める。
(写真:準決勝で対戦する琉球・東長濱監督<左>と大崎電気・岩本監督)
 日本リーグ唯一のクラブチーム・琉球が旋風を巻き起こす。リーグ参戦7年目にして初のプレーオフ進出を果たした琉球。1年目の08‐09シーズンは8位。以降7位、6位、6位、5位、5位と順位を一度も落とさず、ゆっくりではあるが地道に力をつけてきた。プレーオフ出場を目標にスタートとした今シーズンは、開幕戦から連敗し、折り返し地点で3勝4敗1分けと出遅れた。その後も3連敗するなど苦しんだが、最終戦で勝利し、プレーオフ最後の1枠に滑り込んだ。

 レギュラーシーズン4位の琉球が準決勝で対戦するのは、同1位の大崎電気。宮崎大輔、信太弘樹ら日本代表をズラリと揃えるスター軍団。リーグ戦は16戦無敗で、10月の国民体育大会、12月の全日本総合を制している。東長濱秀吉監督も「どこからでも攻撃できる。普通にディフェンスやったらやられる」と16試合で524得点をあげた大崎電気攻撃陣を警戒。「考えて、まずは守りからやっていきたい」と語る。

 琉球は“守って走る”スタイル。ロースコアの展開に持っていき、25点以下に抑えて、勝機を見出したい。そのためには東長濱監督が語るように「主導権を握らすとガンガンやってくる。出足と連続失点はやられたくない」と、相手の勢いをいかに乗せないかがポイントなるだろう。大崎電気とは開幕戦で対戦した時には24−25の惜敗だった。対策は練るが、指揮官は“奇襲”を講じることはないという。

 攻撃面では、エースの棚原良がレギュラーシーズンでMVP、得点王(126点)、フィールド得点賞(99点)、7メートルスロー得点賞(27点)と4冠を達成する獅子奮迅の活躍を見せた。相手からのマークは集中することが予想される。東長濱監督は「(棚原の得点も)周りがエスコートしているからいける部分もある。今度は逆の立場でできたら周りが生きるのかな」とエースが囮となり、他選手の得点に期待を寄せる。

 レギュラーシーズン4位からの優勝は12-13シーズンの大同特殊鋼が果たしている。琉球は2年ぶりの“下剋上”を狙う。奇しくも当時の1位は大崎電気で、今シーズンと同様に全勝だった。大崎電気の岩本真典監督は「レギュラーシーズンとプレーオフは別の大会と思っている。全勝はもう終わったこと」と気を引き締めているものの、何が起こるかわからない一発勝負である。

 琉球のチーム名のcorazon(コラソン)はスペイン語で「ハート」「心」「魂」を意味する。「ウチがプレーオフに上がってきた意味をかたちにしたい」と東長濱監督は闘志を燃やす。「魂」のこもったプレーで観客の「心」を掴めるか。7年目の琉球の挑戦が、駒沢体育館を例年以上に熱くする。

【男子プレーオフ】
・3月21日(土) 準決勝
13:10〜 大崎電気オーソルvs.琉球コラソン 
15:20〜 トヨタ車体ブレイブキングスvs.大同特殊鋼フェニックス

・22日(日) 決勝
14:15〜

※会場はすべて駒沢体育館

(文・写真/杉浦泰介)