15日、日本陸上競技連盟は26日から新潟で開催される「第99回日本陸上競技選手権」において、男子ハンマー投げにエントリーしていた2004年アテネ五輪金、12年ロンドン五輪銅メダリストの室伏広治(ミズノ)の欠場を発表した。これにより、1995年から続けていた連続優勝が20で途切れた。室伏は出場辞退の理由に<後輩たちに大きく伸びてもらいたいという想いから、自らがジャンプ台の役割になれればと日本選手権に出場してきましたが、昨年20連覇を達成し、その役割は果たしたと思っております。1992年から出場してきましたが、いつまでも自分が出場し続ける事によって後輩が育たないとも感じています>とコメントを寄せた。今大会は世界選手権(8月・北京)の選考会を兼ねている。室伏は日本選手権の欠場により、北京行きも断念する見通しだ。
 前人未踏の連覇を止めたのは、王者自らの決断だった。

「(自分を)抜く人、止める人が出てくればいい」。室伏は一昨年の日本選手権を制した後、こう語っていた。だが、翌年もその願いは叶わなかった。不惑を迎え、現在は2020年東京五輪・パラリンピックのスポーツディレクターも務めるなど、多忙をきわめる。21連覇を目指すモチベーションは保てなかったのだろう。

 しかし、これで自らの現役生活に幕を下ろすことを決めたわけではない。
<後に続く若い選手が出てこなければ、いつでも日本選手権に出場したいと思っています。世界で戦える、若い選手が育つことを望んでいます>と発言し、来年に控えるリオデジャネイロ五輪についても<考え方は、2016年が明けてから示したいと考えております>と明言を避けた。

 王者不在の日本選手権。越後の地で、白鳥のごとく檜舞台へと飛び立つニューヒーローは誕生するのか。

(文・写真/杉浦泰介)