(写真:RIZINでの初タイトルを手にした朝倉海 ©RIZIN FF)

 9日、総合格闘技イベント「RIZIN.23」が神奈川・ぴあアリーナMMで行われた。RIZINバンタム級王座決定戦は朝倉海(トライフォース赤坂)が扇久保博正(パラエストラ松戸)に1ラウンド4分13秒でTKO勝ち。同タイトル3代目王者に輝いた。

 

「日本の格闘技を盛り上げたい。僕が先頭に立って、もっとRIZINをデカくできるように頑張ります」

 メインイベンターを務めた朝倉海がRIZIN初タイトルを獲得した後、リング上のインタビューでそう誓った。

 

 愛知県出身の朝倉海の名を広めたのは昨年8月に地元愛知で行われた「RIZIN.18」だ。当時BellatorとRIZINのバンタム級2冠王・堀口恭司(アメリカン・トップチーム)にノンタイトル戦でKO勝ちを収めたのだ。一気にスターダムへ駆け上がろうとしたが、大晦日の「RIZIN.20」でマネル・ケイプ(アンゴラ)とのRIZINバンタム級王座決定戦では敗れていた。

 

 今回はRIZINのリングでは8カ月ぶりの再起戦。その対戦相手は修斗2階級制覇王者の扇久保だ。扇久保は「RIZIN.20」で石渡伸太郎(CAVE)とのRIZINバンタム級王座・次期挑戦者決定戦に勝ち、挑戦権を得ていた。今年4月横浜で、ベルトに挑戦する計画もあったが、王者ケイプのUFC移籍のために実現しなかった。また新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、大会は中止となった。

 

 返上されたバンタム級王座をかけ、朝倉海と扇久保がリングで向かい合った。序盤、朝倉は距離を取りながら、相手にリズムをつくらせない。フック、ハイキック、跳びヒザ蹴りと圧力をかけ、扇久保をロープ際に追い込んだ。

 

(写真:サッカーボールキックで相手を仕留めにかかる朝倉海 ©RIZIN FF)

 1ラウンド終盤、残り1分を切ったところで朝倉が仕掛けた。右アッパーを当て、扇久保が後ろに下がると、跳びヒザで追撃する。「効いたら一気に畳みかけようと思っていた」。腰を落とした扇久保に朝倉はパウンドで仕留めにかかった。最後は顔面へのヒザ、サッカーボールキックと続けると、ここでレフェリーが2人の間に割って入った。

 

「本当に悔しくて必死こいて練習してきました」と朝倉海。再起戦を白星で飾り、バンタム級のベルトを巻いた。扇久保対策はバッチリだった。試合後、「下を向く癖があったので、アッパーとヒザ蹴りは狙っていました」と作戦を明かした。リング上で新王者は「皆さんが観たいカードは僕と堀口選手の試合だと思うので実現させてください」と堀口との再戦をアピールした。

 

(文/杉浦泰介)