日本で開催されるラグビーワールドカップ2019に向け、国内12開催都市の代表者が15日、都内で一同に会して「キックオフミーティング」が実施された。セレモニーでは下村博文文部科学大臣や遠藤利明東京五輪・パラリンピック大臣、高市早苗総務大臣も登壇。ラグビーW杯2019組織委員会の御手洗冨士夫会長は「一致団結して目標に突き進むのがラグビーの精神。その精神にのっとって一丸として努力してまいりたい」とオールジャパンで取り組むことを宣言した。
(写真:お揃いのジャージを着て記念撮影するラグビーW杯2019推進会議の森議長(中央)ら)
「このW杯が大盛況に終わり、世界中から注目を集めて、翌年に開催される東京五輪・パラリンピックの成功につなげていく重要な意味合いもある」
 御手洗会長は4年後のビッグイベントを、そう位置づける。ラグビーW杯は、ラグビーの全国的な普及、地域経済の活性化とともに、2020年の東京五輪・パラリンピックとの相乗効果を狙っている。開催都市がW杯へスタートする場に、遠藤東京五輪・パラリンピック大臣を招いたのは、その表れだ。

 遠藤大臣自身、大学時代までラグビー経験があり、過去のW杯にも現地へ赴いている。挨拶の中で、遠藤大臣は「どの国でも、その地域の開催都市の皆さんが一体となって大会の成功に尽力していた」と、その印象を語り、「地域の皆さんの支えがあって、素晴らしい大会ができる」と呼びかけた。

 キックオフミーティングに先立って開かれた開催都市の代表者会議では、「開催自治体協議会」の設置が決定。その会長には五輪・パラリンピックを開催する東京都の舛添要一知事が就任した。舛添知事は「日本において、世界が注目する国際大会が2年連続で開催される。全世界に向けて、日本をアピールし、各自治体が情報を発信する絶好の機会になる」と話し、各開催都市と情報共有や意見交換を行う考えを示した。

 今後は組織委と開催自治体協議会が一体となって、全国自治宝くじ事務協議会に対し、ラグビーW杯協賛宝くじの発売を要請する。くじの販売収益は試合開催に必要な会場整備費として主に充てられる見込みだ。

 現在、ラグビーW杯と五輪・パラリンピックに共通する問題として浮上しているのが、新国立競技場の建設である。完成予定が2019年5月にずれ込んだことについて、組織委の嶋津昭事務総長は「(完成後)最初の試合を(W杯の)開幕戦にするわけにはいかない。テストマッチが必要であることを考えれば、正直言ってギリギリ」との見解を明らかにした。

 新国立に関しては、巨大アーチをかけるデザインで高騰する建設費に対する批判が強い。ここにきて建設計画を全面的に見直し、ラグビーW杯では別会場を使用する意見も一部には出てきている。嶋津事務総長は、このプランに「理解しがたい」と不快感をみせた。「開幕戦と決勝を行うことは組織委が(W杯を主催する)ワールドラグビーに約束している」と、会場変更は「望んでいない」ことを強調した。また元日本代表監督で、組織委の平尾誠二事務総長特別補佐も「早く完成する道筋を立ててほしい。選手たちが新しい国立で試合をやる夢を壊したくない」と問題の早期解決を希望していた。