EAFF東アジアカップは2日、中国・武漢で日本代表(FIFAランキング50位)が初戦を迎え、北朝鮮代表(同129位)と対戦した。国内組のみでメンバーを構成した日本は前半3分、代表初出場のMF武藤雄樹のゴールで先制する。しかし、その後は追加点を奪えず、攻め込まれる場面も増える。そして後半32分、ついに同点に追いつかれると、42分には勝ち越し弾を与え、逆転負けを喫した。

 決定力不足、高さの課題が露呈(武漢)
日本代表 1−2 北朝鮮代表
【得点】
[日本] 武藤雄樹(3分)
[北朝鮮] リ・ヒョクチョル(77分)、パク・ハイヨニル(87分)
 海外組不在とはいえ、ランキング格下の相手に敗れた。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっては就任5試合目での初黒星。現状の日本が抱える課題が明確になった90分だった。

 立ち上がりは最高だった。3分、DF遠藤航が低いクロスを入れると、ゴール前に顔を出した武藤が押しこみ、ネットを揺らす。遠藤、武藤はともに代表初招集。新戦力が躍動し、日本は幸先良く先手をとる。

 13分にも遠藤の縦パスから、武藤がシュート。24分には、右サイドで武藤がボールを受け、ゴール前に駆けこんだFW川又堅碁へ。川又は相手をかわして左足を振り抜くが、相手GKにセーブされる。

 北朝鮮は時折、カウンターで日本の守備陣を脅かすも、しっかりと対応し、守り切る。すると、38分にはMF宇佐美貴史が中央突破からDFをかわしてシュート。さらにMF永井謙佑がPA外からループシュートを放った。だが、いずれも相手GKに弾き出され、追加点を挙げられない。

 1点リードのまま、後半に入ると、日本はたびたびセットプレーでピンチを迎える。51分には右サイドからドリブルで切りこまれ、シュートが枠の上を通過する。

 流れが悪くなった日本は宇佐美に代えてMF柴崎岳を投入。システムを変更して局面の打開を試みる。その柴崎が63分、中盤でボールを奪い、左の武藤、右の永井へとつなぐ。永井は中央を上がってきた柴崎へ。右足シュートはわずかにバーの上だった。

「決定的なチャンスはたくさんあった」
 ハリルホジッチ監督がそう振り返ったように、日本は2点目を奪えそうなシーンを何度も迎えた。だが、得点をあげられなかったことで潮目は変わっていく。

 北朝鮮は長身FWのパク・ヒョンイルをピッチに送りこみ、パワープレーを仕掛けてきた。79分、ロングボールがパクに入ると、DF森重真人がヘディングで競り負ける。ボールがゴール前に転がったところをFWリ・ヒョクチョルに蹴りこまれた。

 1−1。追いつかれた日本は10分後、またもハイボールで失点する。左サイドからフワリとした浮き球をゴール前に放り込まれ、パクに頭で叩きこまれた。
「相手が高い選手を入れてきて、それに対するセカンドボールの反応がうまくできなかった」
 森重が試合後、唇をかんだ通り、日本は高さへの対処で弱さをみせ、勝ち越しを許す。

 反撃したい日本だったが、アディショナルタイムには柴崎のFKに槙野が頭で合わせるも、ボールはバーの上。その直後、試合終了のホイッスルが鳴り、選手たちはガックリと肩を落とした。

 ハリルホジッチ監督は「フィジカル的に十分、準備ができていなかった」とJリーグの試合から中3日で臨まなくてはならなかった状況を敗因のひとつにあげた。確かに暑さもあって選手たちの動きは鈍かったかもしれない。だが、決定力不足とハイボールへの対応という弱点は日本が従来から抱えてきたものだ。

 次戦は中2日での韓国戦。敗戦を踏まえ、指揮官が短期間でどんな修正を加えてくるかが見ものである。