(写真:内海HC<右端>の指導の下、快進撃を続ける日立ハイテク)

 第22回Wリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)第3週最終日が4日、神奈川・とどろきアリーナと甲府市総合市民会館で行われた。日立ハイテククーガーズは東京羽田ヴィッキーズに93-53で、ENEOSサンフラワーズは新潟アルビレックスBBラビッツに88-49で大勝。いずれも開幕6連勝となった。次週、両チームは東京・代々木第二体育館で対戦する。

 

 日立ハイテク、6人が2ケタ得点(とどろきアリーナ)

東京羽田ヴィッキーズ 53-93 日立ハイテククーガーズ

【第1Q】19-24【第2Q】8-21【第3Q】19-25【第4Q】7-23

 

 日立ハイテクの快進撃が止まらない。

(写真:曽我部はここまで1試合平均10.50点、4.83アシストと好調を維持)

 キャプテンのF北村悠貴が「改革の年」と口にするように、今季は内海知秀HCが就任し、チームは変わった。CF谷村里佳、CF佐藤奈々美、CF村山翠らが加入。チームのサイズ、選手層の厚みが増した。谷村はインサイドの大黒柱となってチームを支えている。得点、リバウンド部門で現在2位。アウトサイドシュートの精度も高く、スリーポイント成功率はリーグトップを走っている。

 

 北村は言う。

「移籍で加入してくれた選手が力を発揮することで、元々いた選手たちも刺激を受け、成長している」

 その言葉通り、主力のPG曽我部奈央、CF鈴木知佳らはほとんどのスタッツで昨季を上回る活躍を見せている。

 

 東京羽田との2連戦は、1戦目を87-67で制すと、2戦目は93-53とさらに差をつけての勝利だ。人もボールも動くバスケで圧倒。鈴木が1戦目の後、「個人の力だけではなく、チームで勝ち取った勝利」と振り返ったように、1人に偏ることもなくバランス良く点を取れるところも強みだろう。2戦目は谷村、佐藤、曽我部、鈴木、村山、GF星香那恵の6人が2ケタ得点を挙げた。

 

 鈴木は「昨季まではインサイドの身長が低かった」と語り、今季の変化をこう説明した。

「谷村や村山という身長の高い選手が入ったことで、今季は私自身のプレースタイルが変わった。ハイロー(ハイポストからローポストへのパス)だったり、いろいろなプレーができています」

(写真:チームの得点に沸くベンチ。ムードは非常に明るい)

 彼女によれば、チームの変化はコート上だけではない。

「ベンチの雰囲気が変わりました。コートにいる5人がいい気持ちでプレーできている」

 

 総合力のアップは、シャンソン化粧品シャンソンVマジックから移籍してきた谷村も実感することだ。

「スタート5人の活躍だけではなく、控えで出てくる選手が毎回繋いでくれることで、ここまでの結果になっている。移籍してきて、層の厚さを感じています。誰かが調子を落としても、他の人が頑張ってくれる。そのおかげで全体的に流れが悪くなることはないんです」

 

 一方で日立ハイテクに連敗した東京羽田は6連敗を喫し、開幕してからまだ1勝もできていない。だが、ルーキーたちは前を向いている。CF小笠原美奈が「勝てなくて苦しいですが、試合を重ねるたびにチーム力は上がっている」と語れば、G軸丸ひかるは「自分たちは顔を下げていられない」と話した。次戦は4連勝中の富士通レッドウェーブと対戦。悪い流れを断ち切るには、ともかく白星が欲しいところだ。

 

(写真:快進撃の中心は日本代表候補の谷村。シュートレンジも広い)

 これで日立ハイテクは開幕6連勝。昨季の勝利数から倍増である。破竹の勢いで勝ち続けるチームは次戦、女王ENEOSとの全勝対決だ。内海HCにとっては古巣との対戦である。「ENEOSは高さ、スピードがあり、1人1人の技術もある。私たちはチャレンジャーですが、勝ちにいく気持ちを持って戦いたい」と谷村。北村は「スタート5人の活躍はもちろん、次から出てくる選手たちにも期待して欲しい」と総力戦を誓った。

 

(文/杉浦泰介、写真/ⓒWリーグ)