10日、Wリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)第4週初日が東京・代々木第二体育館と愛知・ウィングアリーナ刈谷で行われた。イースタンカンファレンス(東地区)の全勝同士の対決は、ENEOSサンフラワーズが日立ハイテククーガーズを87-64で下し、東地区で唯一開幕から負けなしのチームとなった。ウェスタンカンファレンス(西地区)はトヨタ自動車が山梨クィーンビーズを79-64で破り、開幕5連勝を達成した。

 

 渡嘉敷、20得点21リバウンド8アシストで勝利に貢献(代々木第二体育館)

日立ハイテククーガーズ 64-87 ENEOSサンフラワーズ

【第1Q】23-25【第2Q】15-13【第3Q】13-33【第4Q】13-16

 

 東に吹き荒れる新風をものともせず、女王は力強く得点の花を咲かせた。開幕6連勝と快進撃を続けていた日立ハイテクを止めたのは、同じ開幕6連勝のENEOSだった。

 

 ここまで1試合平均92.3点、同61.0失点とリーグトップの日立ハイテク。それに次ぐ89.2得点、63.0失点なのがENEOSだった。日立ハイテクの内海知秀HCはかつてENEOSで11年指揮を執り、ENEOSのF石原愛子はWリーグのキャリアを日立ハイテクでスタートさせている。そんな縁のある東地区の全勝対決は、“バスケの聖地”と呼ばれる代々木第二体育館で行われた。

 

 ENEOSは1番ポジション(PG)の宮崎早織から順に林咲希、奥山理々嘉、渡嘉敷来夢、梅沢カディシャ樹奈。日立ハイテクは曽我部奈央、北村悠貴、佐藤奈々美、谷村里佳、鈴木知佳のラインアップでスタートした。前半は拮抗した展開が続いた。

 

 佐藤がフリースローを2本成功させ、日立ハイテクが先制。ENEOSは渡嘉敷のフリースロー2本で追いついた。今季はボールも人を動くバスケを見せていた日立ハイテクだが、この日は少し様子が違った。ボールを持たされる、パスの流れが少し停滞する。ENEOSの圧を受けてかオフェンスはショットクロックバイオレーション(24秒ルール)ギリギリまでかかり、ディフェンスでは第1Qの半分もいかないうちにファイブファウルを重ねた。

 

 林のスリーポイントで一時は最大8点差を付けられたものの、それでも好調のオフェンス陣を支える移籍組・谷村と佐藤が踏ん張った。第1Qは25-23でENEOSがリード。第2Qは日立ハイテクが15-13で同点に追いつき、38-38でハーフタイムを迎えた。日立ハイテクの谷村は「前半は自分たちが準備していたことができた」と口にすれば、ENEOSの渡嘉敷は「前半は我慢の時間だった」と振り返った。

 

 ENEOSが日立ハイテクに牙を向いたのは、得意とされる第3Qだった。渡嘉敷がインサイドで猛威を振るった。序盤の連続得点を含み、このQだけで8得点4リバウンドを記録。また日立ハイテクの守備の意識が中に向けば、ボールを外へ展開する。林、GF岡本彩也花らシューターのスリーポイントも決まり、33得点を叩き出した。71-51と20点差に広げた。第4Qでさらに点差を広げ、87-64で快勝した。

 

 日立ハイテクは、開幕からの連勝が6でストップした。「前半はよくついていった。第3Qの出だしからはENEOSの力が相当上だったなと感じました」と内海HC。指揮官の志向する「速いバスケで点を取り、ディフェンスを頑張る」スタイルで、東地区で旋風を起こしてきた。名将は冷静にチームを分析した。

「いろいろな意味で体力はついてきたが、上位チームが相手となってくると身体の当たりなどでスタミナを消耗してしまう。このあたりをクリアしていかないと上位との戦いはもう少しかなと思います」

 

 内海HCから指導を受けてきた渡嘉敷、岡本は新生・日立ハイテクの印象をこう語った。

「昨年とは全然違うプレースタイル。懐かしい感じもしなくはなかった」(渡嘉敷)

「プレッシャーがすごく強いと感じました。スクリーンもしっかりかけるし、ディフェンスもしっかりやってきて、走ってくる。ENEOSのバスケットと似ている部分もあると思います」(岡本)

 

 日立ハイテクの変化、勢いを感じさせた一方で、際立ったのがそれを跳ね返したENEOSの強さである。渡嘉敷は「(第3Qの)33-13を全Qでできるように、明日しっかり修正したい」と話し、20得点21リバウンド8アシストの大活躍も「一発で決め切りたい」と反省点を挙げる。20点以上の差をつけても満足する様子は見られない。岡本は翌日に向け、こう意気込みを述べた。

「イージーシュートを落としてしまったのが、こういう点差になった。明日はしっかり修正する。チームとしては90点以上を取り、60失点に抑えるという目標があるので、それを達成したいと思います」

 

 Wリーグ11連覇中(昨季は優勝チームなし)の女王の牙城を崩すのは容易ではない。そう思わせる試合内容と、選手たちのコメントだった。

 

(文/杉浦泰介)