ビックカメラ高崎、連覇に王手 3位決定戦はトヨタ自動車vs.Honda ~日本女子ソフトボールリーグ~
7日、第53回日本女子ソフトボールリーグ1部決勝トーナメント初日が愛知・パロマ瑞穂野球場で行われた。決勝進出を賭けた第2試合はリーグ戦1位のトヨタ自動車レッドテリアーズと同2位のビックカメラ高崎BEE QUEENが対戦。ビックカメラ高崎がトヨタ自動車を5-4で破り、2連覇に王手を掛けた。
第1試合はリーグ戦4位の豊田自動織機シャイニングベガが同5位のデンソーブライトペガサスに5-3で逆転勝ち。第3試合で3位のHonda Revertaと対戦したが、0-3で敗れた。8日の3位決定戦はトヨタ自動車vs.Hondaとなった。この試合の敗者が3位、勝者はビックカメラ高崎の待つ決勝に進む。
◇第2試合
上野、8安打4失点も粘りの完投(パロマ瑞穂野球場)
ビックカメラ高崎BEE QUEEN 5 = 0400100
トヨタ自動車レッドテリアーズ 4 = 0012100
勝利投手 上野(1勝0敗)
敗戦投手 後藤(0勝1敗)
本塁打 (ビ)我妻1号2ラン
(ト)鈴木1号ソロ
連覇を狙うビックカメラ高崎が、ライバル・トヨタ自動車を下し、一足先に決勝にコマを進めた。
曇り空の下、スタートした試合は、今季初戦(後半開幕節)と同じビックカメラ高崎・上野由岐子、トヨタ自動車・後藤希友の2人が先発投手のマウンドに上がった。
先攻のビックカメラ高崎は三者凡退スタート。トヨタ自動車は1死三塁のチャンスをつくるも、3番・長﨑望未と4番・古澤春菜が上野に抑えられた。
試合が動いたのは2回表だ。1死二、三塁のチャンスで、6番・藤本麗が二遊間を破るヒットを放った。守備の乱れもあり、2人がホームに還り、打った藤本は三塁に進んだ。
続くチャンスに7番・我妻悠香が打席に立った。投げた後藤が「失点し、心がブレて甘く入った」というボールをレフトへ。「感触的にはレフトフライ。思ったよりも伸びた」(我妻)。打球はレフトフェンスを越え、ビックカメラ高崎が2点を追加した。
4点の援護をもらった上野だが、リーグ戦で好調だったトヨタ自動車の打線が捉える。3回裏1死から、2番・鈴木鮎美にセンターへソロホームランを浴びた。4回にはミスが絡んで無死二、三塁のピンチをつくると、8番・切石結女の犠牲フライと9番・渥美万奈の内野ゴロの間にランナーが還った。
1点差に迫られたビックカメラ高崎は5回表に森さやかのタイムリーでリードを広げる。しかし、その裏にバッテリーエラーで1点を与えてしまう。再び1点差に迫られるかたちとなった。
上野は「今日は投げ急がない」とマウンドで時間をたっぷり使った。「1球1球、丁寧に投げることを意識した」と緩急を織り交ぜ、リードを最後まで守り抜いた。「いいピッチングはできていないが、我慢できたことは良かった」。8安打4失点と苦しみながらも完投勝ち。エースの底力を見せつけた。
勝ったビックカメラ高崎の岩渕有美監督は「接戦をモノにできた。チームとして大きな1勝」と決勝進出を喜んだ。
「2020年はあと1戦。このコロナ下にも関わらず、ソフトボールができることを感謝しながら、グラウンドで全力プレーしてほしい」
一方、敗れたトヨタ自動車の中西あかね監督はこう振り返った。「トヨタらしく最後まで粘り強く追い上げてくれた。今年やってきた戦いは見せられた」。8日は3位決定戦に臨み、勝てばビックカメラ高崎との再戦となる。エースのモニカ・アボットも控えており、王座奪還を諦めてはいない。
◇第1試合
キャプテン金江、決勝タイムリー(パロマ瑞穂野球場)
デンソーブライトペガサス 3 = 0021000
豊田自動織機シャイニングベガ 5 = 001400×
勝利投手 エスコベド(1勝0敗)
敗戦投手 フーバー(0勝1敗)
本塁打 (デ)吉田1号2ラン
(豊)洲鎌1号ソロ
◇第3試合
カーダ、ノーヒットノーラン達成(パロマ瑞穂野球場)
豊田自動織機シャイニングベガ 0 = 0000000
Honda Reverta 3 = 102000×
勝利投手 カーダ(1勝0敗)
敗戦投手 海部(0勝1敗)
本塁打 (H)森山1号2ラン
昨季準優勝のHondaは今季リーグ戦3位で決勝トーナメントに進んだ。先発はリーグ防御率トップ(0.72)のジェイリン・フォードではなく、投打の二刀流アリー・カーダが任された。2人の調子を比べて先発を決めた鈴木幸司監督の起用はズバリ当たった。
この日の第1試合でデンソーに競り勝った豊田自動織機は、今季最多勝&最多奪三振のダラス・エスコベドではなく海部栞菜を先発投手に起用した。エスコベドは第1試合で完投していた。永吉慎一監督は「1試合目はダラス、2試合目は日本人。来年に生かせるように」と狙いを明かした。
Honda打線は海部から初回に4番・佐野由貴美のタイムリー、3回には3番・森山遥菜の2ランを放ち、3点のリードを奪った。リーグ戦は1割台と不振だった2人が持ち味のバッティングでカーダを援護した。
2回までに4四球と制球に苦しんだカーダだったが、徐々にリズムに乗った。「慣れるまで時間がかかったが、段々楽しめるようになった」。緩急を使い分け、棚町佳奈のミットに投げ込んだ。
スコアボードに0を並べるだけでなく、豊田自動織機に1本のヒットも許さなかった。「5回くらいに気が付いた」とカーダ。2回途中からパーフェクトピッチングを見せ、ノーヒットノーランを達成した。
投打が噛み合い、快勝した。「決勝トーナメントは勢いがあるチームが勝つ」と鈴木監督。2年連続決勝進出、ビックカメラ高崎に昨年のリベンジを果たすため、Hondaはトヨタ自動車との3位決定戦に臨む。
(文/杉浦泰介、写真/公益財団法人日本ソフトボール協会)