ビックカメラ高崎、移管後初の連覇達成! ~日本女子ソフトボールリーグ~

(写真:優勝が決まり、上野に駆け寄るビックカメラ高崎の選手たち)
8日、第53回日本女子ソフトボールリーグ1部決勝トーナメント最終日が愛知・パロマ瑞穂野球場で行われた。リーグ戦2位のビックカメラ高崎BEE QUEENが同3位のHonda Revertaを1-0で破り、前身時代を含め、2年連続13度目の優勝。ビックカメラに移管後は初の連覇を達成した。リーグ戦1位のトヨタ自動車レッドテリアーズはHondaに0-1で敗れ、2年連続の3位となった。決勝トーナメントの最高殊勲選手賞(MVP)は2完投勝利の上野由岐子(ビックカメラ高崎)が、優秀選手賞には3試合で2本塁打の森山遥菜(Honda)が選ばれた。
◇決勝
上野、2年連続決勝トーナメントMVP(パロマ瑞穂野球場)
ビックカメラ高崎BEE QUEEN 1 = 0000100
Honda Reverta 0 = 0000000
勝利投手 上野(2勝0敗)
敗戦投手 フォード(1勝1敗)

(写真:右バッターの懐を突くシュートがこの日は効果的だった)
昨季と同一カードとなった決勝は、ビックカメラ高崎がHondaを同じスコアで下し、連覇を成し遂げた。
先発投手は約1年前と同じ両チームのエース上野とジェイリン・フォードだ。初回、2年連続最優秀防御率のフォードがゼロで抑えると、上野も2奪三振。今年も投手戦の様相を呈して、試合は進んだ。
2回までパーフェクトピッチングを見せていた上野は、3回裏の先頭バッターに初ヒットを許す。ノーアウトのランナーを出したものの、2者連続三振とファーストライナーに切って取り、先取点を与えない。

(写真:工藤のセンターフライで三塁から生還した大工谷)
均衡を破ったのは5回。ビックカメラ高崎は代打攻勢を仕掛け、チャンスをつくった。1死満塁のチャンスで9番・工藤環奈がセンターへの犠牲フライを放った。「紙一重の戦い。何とか1点をもぎ取りたかった」という岩渕有美監督の策は成功した。
「タイブレークも想定していた」という上野は、援護をもらった後もスコアボードに0を並べる。5回裏は1死二塁から2者連続三振。6回裏は今季ホームラン王の塚本蛍、3年前のホームラン王・森山から三振を奪うなど3人で抑えた。
最終回のマウンドには、引き続き背番号7が上がった。勝ちを意識し、上野は「力んだ」という。1死からツーベースと四球で一、二塁のピンチを招いた。それでもHondaの代打攻勢に対し、アリー・カーダ、藤家菜々子という2人のバッターを三振に仕留めた。許したヒットはわずかに3。14奪三振の快投で完封勝ちを収めた。

(写真:就任4年目の岩渕監督は3度目の優勝となった)
岩渕監督が「流石、エース。今季一番のピッチングでした」と称えれば、キャッチャーの我妻は「完璧だった。私の配球どうこうよりも、何を出しても打たれない印象でした」と振り返った。Hondaの鈴木幸司監督も「流石、世界でトップを争う選手」と脱帽した。
チームは13度目の日本一。ビックカメラに移管してからは2年連続4度目の優勝だ。キャプテンとしてチームをまとめた内藤実穂は「ビックカメラになってから初、私自身も初めての連覇。うれしい気持ちと同時にホッとしました」と安堵の表情を浮かべた。
来季は3連覇が懸かる。岩渕監督は「大きな目標を持てるのはウチだけ。新たな一歩を踏み出すためにオフシーズンを過ごしていきたい」と意気込んだ。

(写真:2試合で失点は1。最優秀防御率の実力を発揮したフォード)
◇3位決定戦
アボット、4安打12奪三振も一発に泣く(パロマ瑞穂野球場)
Honda Reverta 1 = 0001000
トヨタ自動車レッドテリアーズ 0 = 0000000
勝利投手 フォード(1勝0敗)
敗戦投手 アボット(0勝1敗)
本塁打 (H)森山2号ソロ
※ページシステムのためHondaが決勝に進出
Hondaは2年連続準優勝。決勝トーナメント初勝利をあげた昨季に続き、今季も決勝へとコマを進めたが、再びビックカメラ高崎の軍門に下った。
鈴木監督は「僅差での勝負になると思っていた。打ち崩せず1点を取れなかったのが敗因」と肩を落とした。4、5、7回と1死で得点圏にランナーを置くチャンスをつくったが、あと1本が出なかった。

(写真:森山はリーグ戦0本塁打だったが決勝Tで2本放った)
カーダのノーヒットノーラン達成で3位決定戦に進み、トヨタ自動車相手にフォードとカーダの完封リレーで勝利した。決勝はフォードが2連投。女房役の棚町佳奈が「疲れもあったが、悪いなりにナイスピッチングを見せてくれた」と称えたように、5四球ながら被安打1で最少失点に抑えた。
リーグ戦で決勝トーナメント初日、3位決定戦でホームランを打った主砲・森山は3三振。フォードを援護できなかったことを悔やみつつも、「去年と一緒で悔しい。また来年、この経験を生かしていきたい」と前を向いた。
トヨタ自動車はリーグ戦10勝1敗と断トツトップで通過しながら、決勝トーナメントでは昨季と同じ3位に終わった。中西あかね監督は「リーグ戦を1位で通過してきて、ここで負けるのは非常に悔しいです」と唇を噛んだ。

(写真:エースのアボット<左>投入も実らなかった)
3位決定戦ではエースのモニカ・アボットが今季初先発だった。Honda打線に許したヒットは4。12三振を奪ったが4回の森山に浴びた一発が痛かった。高めのライズを弾き返され、打球は左中間フェンスを越えた。
リーグ戦で1試合平均5.64点を誇った打線が沈黙。初回以外はすべてのイニングでランナーを出し、満塁の場面も2度つくった。今季4番を任され、打点王を獲得した古澤春菜も2四球を選んだが、「昨日、今日で4番の役目を果たせなかった。まだまだ力不足だと感じました」とタイムリーは出なかった。
キャプテンとして3季目のシーズンを終えた古澤は「3位という結果をしっかり受け止め、来年は王座奪還できるように練習していきたい」と述べた。
(文/杉浦泰介、写真/公益財団法人日本ソフトボール協会)