30日、神奈川・平塚競輪場で「KEIRINグランプリ2020」が行われ、和田健太郎(千葉)が初優勝した。2着に脇本雄太(福井)が入り、前年覇者の佐藤慎太郎(福島)は3着だった。副賞を含むGP賞金1億340万円を加えた佐藤の年間賞金総額は1億6306万4800円で自身初の賞金王に輝いた。

 

 場内がざわつく伏兵がトップでゴールを駆け抜けた。G1無冠、グランプリ初出場の和田が見事に差し切り、初優勝を成し遂げた。3連単22万1650円はグランプリ史上最高の配当金だ。

 

 レース序盤は松浦悠士(広島)が清水裕友(山口)の中国ラインが先導者についた。それに郡司浩平(神奈川)と和田の南関東ライン、新田祐大(福島)と佐藤慎太郎(福島)と守沢太志(秋田)の北日本ラインが続き、最後尾を脇本と平原康多(埼玉)というかたちで周回した。

 

 残り1周半を知らせるジャンが打ち鳴らされる前に、脇本と平原が仕掛ける。一気に隊列が乱れ、先頭を窺う脇本と平原。逃げ切りを図った脇本と平原だったが、最後の直線を前に清水を平原がブロック。その内側に空いたスキを和田が突き、「後は突っ込むだけだった」と脇本を外から抜き去った。

 

 和田は優勝を確信し右拳で力強くガッツポーズ。レース後、「チャンスメイクしてくれた」とラインを組んだ郡司に感謝を述べた。39歳、選手生活19年目にして初のグランプリ制覇だ。初出場での戴冠に、和田は優勝直後、「全く実感が湧かない」と語った。

 

 来年は1番車を背負い、各レースに臨むこととなる。

「伝統あるグランプリを取ったことでいろいろな責任が出てくる。その責任に応えられるように来年1年頑張りたいと思います」

 

(文/杉浦泰介)