1日、第65回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝2021)が行われた。群馬県内を巡る7区間100キロのコースを制したのは富士通。1区でトップをとった後、富士通は4区でトップを奪い返し、その後はトヨタ自動車、旭化成、三菱重工の追撃を振り切った。富士通は12年ぶり3度目の優勝。2位はトヨタ、3位は旭化成が入った。なお今回のニューイヤー駅伝は開催前に関係者に新型コロナウイルス陽性者の出たカネボウが出場辞退し、36チームで争われた。

 

 強い北風が吹く中、切られたスタートでは飛び出す選手はおらず、集団のままでレースが続いた。途中、NDソフトが先頭を引っ張る展開になるが5キロ時点で14分39秒とスローペースの展開。第一中継所手前で富士通の松枝博輝がスパート、トップでたすきをつないだ。1秒差で2位・旭化成、2秒差で3位・トヨタ自動車と僅差で2区へと入った。

 

 外国人選手が走れるインターナショナル区間の2区でトップに立ったのは三菱重工のC.カンディエ。5キロ過ぎまでトップをキープし、5秒差でトヨタ自動車、日立物流、富士通、ヤクルトなどが続いた。7キロ過ぎにトヨタのビダン・カロキがトップに立ち、さらにヤクルト、日立物流も絡み、接戦となった。残り1キロで日立物流がリードを奪い、トップでたすきをつないだ。以下、ヤクルト、三菱重工、トヨタ、九電工と続く。区間賞は23人抜きの九電工・コエチ(21分53秒・区間新)だった。

 

 3区はヤクルトが序盤をリードするが、5キロ過ぎに富士通がトップへ。さらに2区13位から順位を上げた旭化成の大六野秀畝が、6キロ手前で先頭5チームを一気に抜き去りトップに立った。これをGMO、富士通が追いかけ、10キロ地点でGMO渡邉利典がスパートし、逆転。そのままGMOがトップでたすきをつなぎ、旭化成、富士通が続いた。

 

 エース区間の4区。3位の富士通は東京五輪マラソン代表の中村匠吾が2位集団の先頭に立ち、GMOを追った。区間中間地点を過ぎ、2位集団の三菱重工・井上大仁、富士通・中村、旭化成・鎧坂哲哉がペースアップ。12キロ過ぎにこの3人が一気にGMOを捉え、先頭に出た。さらに残り約4キロで富士通の中村がスパートし、旭化成、三菱重工を置き去りにする。中村はロングスパートで18秒の差をつけ、5区へたすきをつないだ。

 

 強い向かい風となる5区で富士通の塩尻和也は安定したペースでトップを快走し、徐々に2位以下との差を広げていった。2位・旭化成に36秒、3位・トヨタに37秒差をつけ、たすきは6区の鈴木健吾へ渡った。

 

 鈴木は5キロまで14分54秒と快調なペースで走り、2位・トヨタを寄せ付けない。35分33秒の区間賞でトップをキープ。2位トヨタとの差を40秒にまで広げアンカーの7区・浦野雄平へ。浦野も序盤から快調に飛ばし、4キロ過ぎで2位グループとの差は46秒にまで広がった。ぐいぐいと大きなストライドで飛ばす浦野は最後、トヨタに1分03秒の差をつけてゴール。ゴールテープを切る瞬間に一本指を高々と突き上げ、笑顔でフィニッシュした。

 

 トヨタは五輪マラソン代表の服部勇馬が5区で区間賞を獲得したものの及ばず。5連覇を狙った旭化成は1万メートル日本記録保持者のルーキー相澤晃の欠場が響いた格好となった。

 

 

(文・まとめ/SC編集部・西崎)