昨年末の12月2日(日)、野外活動センター・レインボーハイランド(松山市)の体育館にて「2007愛媛FCファン感謝祭」が行われた。
(写真:選手の進行によるトークショー)
 参加資格は、2007ファンクラブ会員入会者のみ。しかも参加人数は300名という超レアなイベントとなった。案の定、参加希望者が殺到したため、募集開始からわずか数日のうちに300席が全て埋まり、あっと言う間に募集が締め切られた。

 当日は、選手とファンとの交流会(サイン・握手・記念撮影)や全員参加によるジャンケン列車ゲーム、選手進行によるトークショー、そしてプレゼントコーナーなどが行われ、ファンは好きな選手との交流を笑顔で楽しんでいた。

 クロージングセレモニーでは、2007シーズン限りで現役を引退されるGK羽田敬介選手へサポーターからプレゼントが手渡され、名残惜しくも約2時間に渡るファン感謝祭が盛大なうちに幕を下ろした。

 天皇杯のスケジュールを残す年末の忙しい中において、ファンとの楽しい交流の時間を提供してくれた選手、スタッフ、事務局の皆さんには、本当に感謝の気持ちで一杯である。是非、今後も、このような交流の場を設けて頂きたいと感じている。

(写真:大勢のファンでにぎわうイベント会場) また、このイベントのオープニングセレモニーでは、愛媛FC代表取締役社長・亀井文雄氏が挨拶を行い、新スタジアム(アクセスなど利便性に優れるサッカー専用スタジアム)建設の必要性を力説していたことが印象深かった。この提案には賛同者も多かったのか、会場からは拍手が聞こえてきた。

 現在の愛媛FCのホームスタジアムは、愛媛県総合運動公園陸上競技場である。2008年からはネーミングライツ導入に伴い、ニンジニアスタジアムの通称が与えられることになった。

 このスタジアムでは、今まで数々の名勝負が展開されてきた。愛媛におけるサッカーの聖地とも言うべき場所で、我々にとっても馴染み深い空間ではある。だが、竣工から約30年が経過し、老朽化も進んだ。雨天時のピッチの水はけの悪さには、頭を抱えるばかりである。

 また、名称が陸上競技場であることからもわかるように、他のスポーツ競技との併用施設なのだ。利用する際にスケジュールが他の競技とかち合う場合もあり、たびたび調整が必要となっている。それに、陸上トラックがあるため、観客席からピッチまでの距離も遠く、試合の際に見にくさも感じる。

 そして、何よりも問題なのはスタジアムへのアクセスである。松山市の中心地からは距離があるにも関わらず、公共交通機関は路線バスのみ。自動車、もしくはバイクを所有していなければ、なかなか足を運ぶ気が起きない立地なのである。交通の手段を持たない子供や若年層のサッカーファンにとっては、遠い距離を感じてしまう場所なのだ。

「ホームスタジアムまでの距離を感じてしまう」ということは、「愛媛FCとの距離をも感じる」に通じてしまう怖れがある。本来、若い層のファンを取り込んでいくことが必要となるJクラブの運営において、かなりのマイナス要因を抱えていると言えるのかもしれない。

 ニンジニアスタジアムとして新たな歴史のスタートを刻む愛媛県総合運動公園陸上競技場に文句を言いたい訳ではない。だが、愛媛FCが存在する町として、松山市中心街にサッカー専用スタジアムが建設されることを願ってやまない。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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