明けましておめでとうございます。いよいよBCリーグ2年目が幕を開けました。昨年、最下位と残念な結果に終わった新潟アルビレックスBCですが、今季は新しく芦沢真矢監督を迎え、優勝目指して頑張ります。僕自身も昨季学んだことを生かしながらも、より厳しくより積極的に投手陣の指導にあたりたいと考えています。
 昨年、コーチ1年目の僕が最も難しいと感じたのは、選手への意識付けです。投手陣の最大の課題は四球でした。コントロールをよくするには、もちろん技術的な面での問題があります。これに関しては選手それぞれに合った体の使い方や下半身強化の指導を行なえばいいわけです。

 しかし、試合での四球の数を減らす、となると、これは技術うんぬんというより精神的な面によることの方が大きいのです。僕も自分の経験を下に、いろいろアドバイスをしました。選手自身もその時は理解したでしょうし、「次の試合では」という気持ちでいたと思います。ところが、いざ本番になるとストライクを投げることができない。
「わかってはいるんですけど……」
 試合後、何度もこの言葉を耳にしました。試合でも普段の練習の時と同じような意識を持ちながら投げられるかどうか。こればかりは本人次第なのです。

 とはいえ、投手にとってストライクを取るということは永遠のテーマです。僕も現役時代、それほどコントロールがいい方ではありませんでした。そう簡単に克服できることではないことは重々わかっています。それでも、チームが勝つためには四球を減らさなくてはいけません。それは昨季のチーム成績を見ても一目瞭然です。被安打(668本)は石川ミリオンスターズに次いで2番目に少なかったにもかかわらず、四球の数は416個とダントツでした。これは最少だった石川の2倍以上に当たります。

 僕もどうすればいいのか、随分と頭を悩ましました。そこで「どういう場面で四球を出した場合、どんなピンチを迎えるか、どのくらい失点するか」といったデータを詳しく出し、各投手に渡すようにしました。「四球を出さないことの重要性」を具体的な数字にして、わかりやすく伝えようとしたのです。また、試合後には四球を出した時に自分がどんなことを考えながら投げたのか、それを紙に書かせて振り返らせるようにしました。

 こうした試みを始めてから、投手陣の意識は随分と変わりました。やはりその場限りの反省で終わらせるのではなく、具体的な数字や文字にすることで常に意識できるようになったのでしょう。とはいえ、全員に効果があったわけではありません。何をやっても意識が薄かった選手もいました。そういう選手は結果的にオフにチームを去ることになりました。短期間でいかに成長できるか、それがプロの世界の厳しさでもあります。

 さて、先述したように今季から芦沢監督がチームの指揮を執ります。芦沢監督は2005年に四国アイランドリーグ(現四国・九州アイランドリーグ)の香川オリーブガイナーズの初代監督に就任し、翌年には同球団をリーグ優勝に導いた方です。

 1年目の昨季は後藤孝志前監督の下、「選手の自主性」を重んじてチームづくりを行なってきました。しかし、今季は逆に僕たち指導者の方からどんどん選手に課題やアドバイスを与え、積極的に声をかけていくつもりです。僕も投手陣の先頭を切って走る気持ちでいきたいと思っています。


本間忠(ほんま・ただし)プロフィール>:新潟アルビレックスBCコーチ
1977年8月5日、新潟県出身。日本文理高を卒業後、一時は肩を故障し野球を断念するも、野田サンダースでプレーを再開しながらNPBの入団テストを受け続ける。99年ドラフトでヤクルトから6位指名を受け、翌年に入団。主に中継ぎとして活躍したが、06年オフに現役を引退し、昨季より新潟アルビレックスBCのコーチに就任した。



<コーナー名変更のお知らせ>
 今年開幕した北信越BCリーグは、来シーズンより群馬、福井が加わり、6球団で運営されます。これに伴い、リーグ名も11月1日より「BCリーグ」と変更されました。
 そこで今回より同コーナーの名称を「BCリーグ戦記」に変更しました。新潟アルビレックスBC、信濃グランセローズ、富山サンダーバーズ、石川ミリオンスターズに加え、群馬ダイヤモンドペガサス、福井ミラクルエレファンツの監督やコーチからの貴重なお話をお届けいたします!
 また、四国アイランドリーグも福岡、長崎が加わり、12月1日より「四国・九州アイランドリーグ」と変更されました。そこで第1、3月曜に配信している「野球お四国廻り」のコーナー名を次回より「野球西国巡り」に変更します。こちらもどうぞお楽しみに!


★携帯サイト「二宮清純.com」では、今月より独立リーグのコラムコーナーの名称が「ニッポン独立リーグ紀行」に変更しました。四国・九州アイランドリーグ、BCリーグの監督、コーチ、選手が毎週火曜日に交代で登場し、それぞれの今をレポートします。
 今回は新潟・本間忠コーチのコラムです。「生活環境の変化」。ぜひ携帯サイトもあわせてお楽しみください。
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