(写真:大阪、東京2大会の延期を発表したRIZIN榊原CEO ⓒRIZIN FF)

 格闘技イベントが続々と延期されている。

 新型コロナウイルス感染拡大により、東京、大阪などに緊急事態宣言が出ているためだ。

 

 主なイベントの延期状況は以下の通り。

▼RISE     5月15日(土)東京・大田区総合体育館→5月16日(日)会場非公開<無観客>

▼K-1     5月23日(日)東京・大田区総合体育館→5月30日(日)横浜武道館

▼RIZIN.28 5月23日(日)東京ドーム→6月13日(日)同所

▼RIZIN.29 5月30日(日)丸善インテックアリーナ大阪→6月27日(日)同所

 

 各団体が苦戦を強いられている。

 無観客を選択し、映像配信に活路を見出そうとするイベントもあれば、上限5000人であっても有観客を模索するイベントもある。いまは我慢の時期だ、選手にとっても、ファンにとっても。

 

 熱気なしにイベントは成立しない

 

 海外に目を移すと、UFCは昨年からテレビ(動画配信)型のイベントに切り替わっている。もともと、PPV(ペイ・パー・ビュー)の売り上げが主な収益となっているイベントではあるが、その路線を徹底。ラスベガスにある自前のスタジオ的会場「UFC APEX」をフル活用している。

 

 毎回好カードが組まれ、質の高いファイトが繰り広げられている。だが何か物足りない。それは、映像から会場の熱気が伝わってこないからだ。

「無観客だと、こうも違うものか」、やはり「イベントには、熱狂が不可欠だ」と再認識した。

 同じ総合格闘技イベントであってもRIZINはUFCとは異なり「ハウスショー型」。熱狂を無くしては成立しない。今回の延期は当然の措置だろう。

 

 誰も座っていない観客席。声援の届かないリング。閑散とした雰囲気の中で始まる闘い。

 競技としては、それでも成立するだろう。だがファンを巻き込んでのイベントとしては不完全だ。繰り返すが、求めたいのは熱狂! これはオリンピックも同じ。客席に誰もいない会場でも競技会はできる。だが、「祭典」にはならない。無観客なら開催しない方がいい、負のレガシーを残すだけのように思う。

 

 一日でも早くコロナウイルス感染拡大が終息することを切に望む。「withコロナ」では格闘技が楽しめない。

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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