日本代表が28日、カタールW杯アジア二次予選のミャンマー代表戦を10対0で勝利し、最終予選進出を決めました。2試合を残しての二次予選突破は大きな意味を持つと思います。今回はそこも含め、6月のA代表とU-24代表について語りましょう。

 

 U-24代表は試合中にシステム変更を試せ!

 

 U-24日本代表メンバーにDF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF遠藤航の3名のオーバーエイジ(OA。東京五輪は25歳以上の選手)が選出されました。僕の率直な意見としては、このタイミングでのOA招集は時期尚早かなと感じます。五輪の本登録は18名。五輪エイジの選手に残された枠は実質15名となりました。さらにそのうち2枠はGKに使います。24歳以下の選手たちをギリギリまで競わせた方がいいのかなぁ、思いました。

 

 選出されたOAから読み取れることを話しましょう。センターバックの吉田を軸に右サイドバックと3バックのストッパーをこなせる酒井。ボランチ、右サイドバック、3バックのどこでもプレーが可能な遠藤。酒井と遠藤は複数のポジションをこなせる選手です。五輪は18名しか招集できないためユーティリティープレーヤーの存在は大きいですね。彼らはどこで起用しても大崩れすることなく、安定したプレーが期待できます。

 

 彼らのようなユーティリティープレーヤーがいれば交代枠を使わずしてシステム変更が可能です。それをぜひ、U-24ガーナ代表戦(6/5、ベスト電器スタジアム)、ジャマイカA代表戦(6/12、豊田スタジアム)では試合中に3バックから4バック、もしくはその逆とシステムを変えてみても面白いのではないでしょうか。せっかくOAを呼んだのならば試してみてほしいです。

 

 今回はOAにユーティリティー性を求めました。五輪エイジの選手たちには専門性、“オレの色”を全面に出して最後の最後までアピールしてもらいたいものです。

 

 世間的にはU-24代表に注目が集まりがちですが、僕は6月のA代表の方がおもしろいことになるんじゃないかなぁと思っています。吉田、酒井、遠藤に加え、五輪エイジながら現A代表のレギュラーであるDF冨安健洋がU-24代表に招集されるため、席をあけるわけです。これまで出場機会に恵まれなかった選手にとっては大きなチャンス。センターバックの昌子源、谷口彰悟、植田直通ら、右サイドバックの室屋成、山根視来、ボランチの橋本拳人、守田英正らはギラギラしているでしょう(笑)。親善試合2つ(6/3ジャマイカ代表戦、6/11セルビア代表戦)に加え、アジア二次予選の2試合(6/7タジキスタン代表戦、6/15キルギス代表戦)ではいろいろな組み合わせを試せるはずです。

 

 個人的には鹿島アントラーズの後輩、植田に注目しています。フランスに移籍し、出場機会を掴んでいます。これまでA代表ではなかなか出番が回ってこなかった。身体能力の高さはピカイチです。ここで結果を残せば、吉田&冨安の牙城を崩せる可能性だってあるでしょう。

 

 想像してみてください。レギュラーがいないんですよ? かつ今回は約3週間、合宿期間があります。試合とトレーニングからガンガンアピールできますよね。僕が控え選手の立場だったら燃えますねぇ(笑)。みなさんも、6月のA代表のレギュラー争いにぜひ注目して見てください!

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザの総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。


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