中日ドラゴンズからFA宣言した福留孝介外野手が12日、シカゴ・カブスへの移籍を決めたことが明らかとなった。本人が「報道されている通り」と認めた。MLB公式サイトの情報によると、4年総額約53億3000万円の大型契約になる見込みで、来週にも渡米してメディカルチェックを受け、正式契約を交わすことになる。
 福留はPL学園時代からスラッガーとして鳴らし、95年のドラフトでは近鉄から1位指名を受けた(入団拒否)。日本生命に進んでアトランタ五輪では日本代表メンバーとして銀メダルを獲得している。

 98年に逆指名で意中の中日入りを果たすと、02年に外野手に転向して打撃成績がアップ。巨人・松井秀喜(当時)を抑えて首位打者を獲得し、チームの主軸バッターに成長した。06年はチームのリーグ優勝に貢献してリーグMVPを受賞。04年のアテネ五輪、06年のWBCはともに日本代表に選出されており、球界を代表する左バッターだ。日本での通算成績は1074試合で1175安打、打率.305、192本塁打、647打点。

 今季取得のFA権を行使した福留に対しては、阪神、巨人に加え、メジャーの複数球団が獲得に名乗りを上げ、激しい争奪戦が繰り広げられていた。その後、国内2球団が撤退し、前日の11日には中日の残留要請を本人が断ってメジャー挑戦を表明。その移籍先が注目されていた。

 カブスは今季、ナ・リーグ中地区で優勝を飾ったものの、ディビジョンシリーズでダイヤモンドバックスに3タテを許した。広島にも在籍経験があり、今季33本塁打を放ったアルフォンソ・ソリアーノ、打率.317をマークしたデレク・リーなど、チームには右の強打者が揃っている。63年ぶりのリーグ制覇、100年ぶりの世界一を達成するための補強ポイントは左バッター。ルー・ピネラ監督はマリナーズ時代、イチロー、佐々木主浩ら日本人メジャーリーガーを指導した実績もあり、破格の条件で迎え入れることになった。

 これで今オフ、メジャーへのFA移籍が決定した日本人選手は小林雅英(インディアンス)、薮田安彦(ロイヤルズ)に続いて3人目。同じくFA宣言中の黒田博樹(広島)もメジャー移籍に向けて渡米しており、所属球団が近日中にも正式に決まる見通しだ。


<井口、パドレス移籍で合意>

 今季限りでフィリーズを退団し、移籍先を探していた井口資仁内野手が、サンディエゴ・パドレスと1年契約を結ぶことが明らかになった。
 
 井口は05年に福岡ダイエー(現ソフトバンク)からホワイトソックスに移籍。初年度からセカンドのレギュラーを奪い、その年の世界一に貢献した。今シーズンは正セカンドのチェース・アットリーがケガで戦線離脱したフィリーズに請われ、7月にトレード移籍。チームはプレーオフ進出を果たす。しかし、井口はアットリーの復帰後、ベンチを温めることが多く、プレーオフも代打出場などにとどまっていた。

 そのため、セカンドでレギュラーとして出場できるチームを求め、チームを退団。今季セカンドを守っていたマーカス・ジャイルズを放出したパドレスから獲得のオファーがあった。今季のパドレスは地区優勝したダイヤモンドバックス、ロッキーズと熾烈な争いを演じたが、最終的にはワイルドカードをかけたワンゲーム・プレーオフで敗れ、3年連続のプレーオフ進出を逃している。過去には大塚昌則(レンジャーズ)が在籍していたことがある。
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