(写真:メンバーと共に大会用の新ジャージーも発表された ©JRFU)
19日、日本ラグビーフットボール協会は東京オリンピック7人制ラグビー(セブンズ)男女日本代表内定選手を発表した。男子はキャプテンの松井千士(キヤノンイーグルス)ら12名、女子は共同キャプテンの清水麻有(日本体育大学)とバティヴァカロロ・ライチェル海遥(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)など12名が選ばれた。今後、男女代表はバックアップメンバーを含めた16名での国内合宿を経て、東京オリンピックに挑む。
正式種目に採用された2016年リオデジャネイロオリンピックでは男子4位、女子10位に入った日本。自国開催のオリンピックで初のメダル獲得を目指す。今回選ばれたメンバーのうち男子4名、女子1名がリオを経験した選手だ。
「難しい選考になりましたが、この12人は自信を持って選出することができた」と男子の岩渕健輔ヘッドコーチ(HC)。「選考ポリシーは大きく分けてふたつあります」と言い、こう語った。
「ひとつは、グラウンド内はもちろん、グラウンド外で日本代表、オリンピックに出るアスリートとしてふさわしい選手という観点から選びました。もうひとつは東京で行われるため、さまざまなプレッシャーがかかる局面が多々あると思います。2019年W杯で男子代表は開幕戦で大きなプレッシャーがあり、簡単にプレーできない状況でした。我々も同じようなプレッシャーがかかることが予想される。そのプレッシャーをある意味楽しみながらプレーできる選手を選ばせていただきました」
キャプテンの松井は「12人に選ばれたことを誇りに思います」と述べ、チームを代表してコメントした。
「今回のオリンピックは、世の中大変な状況で、コロナ禍で開催される。望まれた大会ではないかもしれませんが、ラグビー選手はラグビーしかできないと思うので全力で取り組みたい。目標はメダル獲得です。それを実現するために、残り少ない期間、必死に頑張ってメダルを獲得したいと思います」
5年越しの想いを抱える者がいる。松井と藤田慶和(パナソニック ワイルドナイツ)だ。2人はリオオリンピックではバックアップメンバーとして現地に帯同したものの、ピッチに立つことはなかった。
「チームが4位になって誇りに思う。だけど選手として試合に出場することができなかったので、ラグビー人生で一番悔しかった」(松井)
「すごく悔しいオリンピック。この悔しさはオリンピックでしか返せない」(藤田)
いざ東京へ――。2人は静かに闘志を燃やしている。
女子はハレ・マキリHCが「選手がチームのためにプレーすること。その上で、選手が個性を出せるかどうか。金メダルを獲りに行ける選手を、自信を持ってセレクトしました」という12名を揃えた。キャプテンは「素晴らしいクォリティーを持ったプレーヤー。どちらかひとりを選べなかった」(マキリHC)と共同キャプテン制を敷いた。
キャプテンの1人、清水は「サクラセブンズの強みは団結力です。東京オリンピックで最高のパフォーマンスを発揮し、メダル獲得を目指します」と意気込めば、もう1人のバティヴァカロロも続く。
「サクラセブンズは約5年、多くのスタッフと選手たちと共にオリンピックの金メダル獲得という目標を持ち、日々、ブレずにトレーニングに取り組んできました。全選手の思いを胸に、ここに選ばれた12名がオリンピックでベストなパフォーマンスし、一番良い色のメダルを獲得できるよう、残りの時間、日々、精進して頑張りたい」
男子は7月26日、女子は29日に初戦を迎える。本番までは男子が37日、女子が40日だ。残りの時間を国内で最終調整し、決戦に挑む。
【東京オリンピック日本代表内定選手】
・男子
石田吉平(明治大学)
加納遼大(明治安田生命ホーリーズ)
セル・ジョセ(近鉄ライナーズ)
副島亀里・ララボウラティアナラ(コカ・コーラレッドスパークス)
トゥキリ・ロテ(近鉄ライナーズ)
羽野一志(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)
彦坂匡克(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)
藤田慶和(パナソニック ワイルドナイツ)
ヘンリー・ブラッキン(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)
ボーク・コリン雷神(リコーブラックラムズ)
◎松井千士(キヤノンイーグルス)
本村直樹(ホンダヒート)
※合谷和弘(クボタスピアーズ)
※津岡翔太郎(コカ・コーラレッドスパークス)
※フィシプナ・トゥイアキ(セコムラガッツ)
※野口宜裕(セコムラガッツ)
・女子
大谷芽生(立正大学/ ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
梶木真凜(自衛隊体育学校)
小出深冬(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
◎清水麻有(日本体育大学)
白子未祐 (ナナイロプリズム福岡)
堤ほの花(日本体育大学)
永田花菜(日本体育大学)
◎バティヴァカロロ・ライチェル海遥(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
原わか花(東京山九フェニックス)
平野優芽(日本体育大学)
弘津悠(ナナイロプリズム福岡)
松田凜日(日本体育大学)
※香川メレ優愛ハヴィリ(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
※黒木理帆(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
※鈴木彩夏(YOKOHAMA TKM)
※山中美緒(名古屋レディース)
◎はキャプテン※はバックアップメンバー
(文/杉浦泰介)