(写真:2ndジャージーに身を包んだジャパン。1年8カ月ぶりのテストマッチは黒星となった ©JRFU)

 現地時間26日、ラグビー日本代表(ジャパン)とブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのテストマッチがスコットランド・エディンバラで行われた。ジャパンは前半12分、18分、23分にトライを許し、0-21とビハインドで試合を折り返した。後半はボール支配率で優位に立ち、途中出場FL姫野和樹のトライなどで反撃したが、10-28で敗れた。

 

 1年8カ月ぶりのテストマッチは黒星となった。スコットランドの聖地・マレーフィールドを舞台にイングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの4協会から選抜された伝統あるライオンズとの一戦に臨んだ。

 

 スタメンはPR稲垣啓太、FLリーチ・マイケル、SO田村優、WTB松島幸太朗ら2019年W杯組が14名を占めた。WTBのシオサイア・フィフィタは初キャップを刻んだ。対するライオンズはキャプテンのLOアラン=ウィン・ジョーンズ(ウェールズ)をはじめ、SHコナー・マレー(アイルランド)、SOダン・ビガー(ウェールズ)ら80キャップを超えるビッグネームがズラリ。両WTBには19年W杯日本大会のトライ王ジョシュ・アダムズ(ウェールズ)、今年のシックスネーションズで最多トライを挙げたドゥハン・ファンデルメルヴァ(スコットランド)が配置された。リザーブに目を移せば、イングランド代表主将のSO/CTBオーウェン・ファレルが控えている。ドリームチームにふさわしい陣容だ。

 

(写真:ジャパンは初のライオンズ戦。マレーフィールドに<LIONS対JAPAN>と日本語を混ぜた看板がつけられた ⓒJRFU)

 前半はライオンズのパワーに屈した。左サイドを崩された。12分のアダムズと18分のファンデルメルヴァのトライはいずれもインゴール左。23分のCTBロビー・ヘンショウ(アイルランド)は左中間に飛び込まれた。いずれのコンバージョンキックもビガーが落ち着いて決め、21点を追うかたちとなった。ジャパンはテンポの良いパス回しで、ライオンズの守備網を崩そうと試みたが、下から抱え上げるようにして捕らえるチョークタックル。相手をなぎ倒すのではなく、ボールキャリアーを倒さずして反則を誘うものだ。ジャパンの攻撃陣は捕まると、ボールを離せずにレフリーが笛を吹く。22mライン内にもなかなか侵入できなかった。前半は0対21と、いいところなくロッカールームに戻ることになった。

 

(写真:19日のスーパーラグビートランス・タスマン決勝に出場後、ジャパンに合流した姫野<中央>。早速、大きなインパクトを残した ⓒJRFU)

 後半も先に点を許したジャパンだったが、10分の選手交代を機に反撃に出る。PRヴァル・アサエリ愛、SH齋藤直人、No.8テビタ・タタフ、姫野の4人を一気にピッチへ送り出すと、ジャパンの反撃だ。19分、右サイドで獲得したラインアウトからサインプレーを仕掛けた。坂手のスローインをLOジム・アボットがキャッチ。そこからモールを組むと見せかけ、左から姫野がボールを受け取った。そのまま姫野は突進。タタフ、ヴァル、CTB中村亮土が加勢に入った。味方の後押しを得た姫野はインゴール右中間にねじ込んだ。田村がコンバージョンキックを成功し、7点を返した。29分には田村のPGで3点を追加。その後も攻勢をかけたジャパンだが、29分の姫野がインゴールまで迫ったが、最後のグラウンディングはライオンズに阻まれ、トライにはならなかった。10-28でノーサイド。後半は10-7と相手を上回ったものの、前半の“借金”が響いた。

 

(文/杉浦泰介)