26日、東京オリンピックの日本代表選考会を兼ねた第105回日本陸上競技選手権大会3日目が大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた。男子3000m障害は日本記録保持者の三浦龍司(順天堂大)が8分15秒99の日本新で初優勝した。2位の山口浩勢(愛三工業)は8分19秒96、3位の青木涼真(Honda)は8分20秒70。3人が参加標準記録(8分22秒)をクリアし、東京五輪代表に内定した。男子400メートルハードル決勝は既に参加標準記録(48秒90)を突破していた黒川和樹(法政大)と安部孝駿(ヤマダホールディングス)がワンツーで東京五輪の切符を手にした。

 

 男子3000m障害と同400mハードルを制したのは、国立競技場で行われた東京オリンピックのテストイベント「READY STEADY TOKYO」で躍動した大学生2年生だった。

 

 順大2年の三浦は男子3000m障害で圧巻の走りを見せた。5月の「READY STEADY TOKYO」で18年ぶりに、この種目の日本記録を塗り替え、既に東京オリンピックの参加標準記録もクリアしていた。代表内定には日本選手権は3位以内に入れば良かったが、日本選手権制覇を目指して駆け抜けた。

 

 序盤からレースを引っ張る。1000m通過は2分49秒と参加標準記録より遅いペースで入った。1000mから2000mはペースアップ。2000m通過は5分35秒と、自らの日本記録より速いペースを刻んだ。ところが、ラスト1周前の水濠で転ぶアクシデント。「一瞬、頭が真っ白になった」と語ったが、その差をものともしなかった。すぐにスピードを上げ、前を走る山口と青木を抜き去った。

 

 一気に2人を突き放す。8分15秒99と自らの日本記録を1秒47塗り替えた。三浦の積極的な走りに引っ張られてか3秒97差で2位の山口、4秒71差で3位の青木は自己ベストを更新し、参加標準記録をクリア。3人が揃って五輪代表内定となった。

 

 法大2年の黒川は5月の「READY STEADY TOKYO」で日本歴代10位タイの48秒68をマークして優勝。「最年少でランキング1位。プレッシャーもあった」中で決勝に臨んだ。決勝には黒川のほか、安部、山内大夢(早稲田大)、豊田将樹(富士通)の3人が東京オリンピックの参加標準記録を突破しており、3位以内に入れば代表内定を獲得できる。

 

 レースは黒川、安部の前半型のハードラーが先行。力強い走りを見せる。岸本鷹幸(富士通)、山内、豊田らの追い上げを許さなかった。最後の直線まで、安部をリードし続けた黒川が逃げ切った。「横に並んでも力まず自分の走りをすれば勝てると思っていた。焦らずに冷静にいくことができた」。最後のハードルを越えると、「ガムシャラに」(黒川)と走り抜けた。1位の黒川が48秒69、0秒18差で阿部が2位。3位には岸本が49秒29で滑り込んだ。これにより黒川と安部が東京オリンピック代表に内定した。

 

(文/杉浦泰介)