東京五輪・柔道女子52キロ級決勝が日本武道館で行われ、阿部詩(日体大)がアマンディーヌ・ブシャール(フランス)に延長戦の末に抑え込みで一本勝ちし、金メダルを獲得した。女子52キロ級での金メダルは日本史上初の快挙となった。

 

 この後に行われる男子66キロ級決勝で阿部一二三(パーク24)が金メダルを獲得すれば、史上初の兄妹同日金メダル獲得となる。

 

 阿部詩は2回戦からの出場となった。アサリ・ピメンタ(ブラジル)を大腰で投げ、技ありを奪うとそのまま抑え込み2分3秒で一本勝ちを収めた。準々決勝ではグランドスラムテルアビブ女王のチェルシー・ジャイルズ(イギリス)が仕掛けてきた内股を巧みに返し、残り21秒で技あり優勢勝ち。準決勝はオデッテ・ジュフリダ(イタリア)と対戦し、試合はゴールデンスコア(延長戦)に突入。延長開始早々、阿部詩に指導が入る。その後、立つ続けにジュフリダに指導が入る。阿部詩は冷静に試合を進め、内股で技ありを奪い、決勝にコマを進めた。

 

 決勝の相手はブシャール。彼女は今年の欧州選手権の女王である。阿部詩は準決勝に続き、決勝も延長までもつれた。延長戦に入り、阿部がいきなり抑え込みにかかるがブシャールも冷静に対処し、うまく抜け出す。8分を超える激戦となったものの再度、阿部詩が抑え込み、一本勝ちした。

 

 阿部詩はフラッシュインタビューでこう語った。

「この大会だけを目指して日々努力してきたので、努力が報われて本当に良かったです。(ブシャールは)ライバルであり尊敬する選手なので最後の相手にふさわしいなと思いながら勝ててよかったです」

 

(文/大木雄貴)