東京パラリンピック開幕まで、約1週間。ブラインドサッカー日本代表の高田敏志監督とキャプテンの川村怜が14日、オンラインで取材対応をした。
 
「必要な準備を必要なタイミング、強度でできている」
 そう高田監督は胸を張る。初出場のパラリンピックに向け、準備を着々と進められているようだ。今月7日から15日までの合宿では本番のキックオフ時間を想定したスケジューリングでメニューを組んだ。
 
 パラリンピックでは、プールAに入り、フランス、ブラジル、中国と対戦する。仮想敵国の対策も練っている。約1カ月前からフランスとブラジルのキープレーヤーをコーチが特長を真似てプレースピード、テクニックに対応できるようトレーニングを積んだ。「最初はボコボコにやられていたが、だいぶ慣れてきた」。高田監督は選手たちの進化に手応えを口にする。
 
 また日本代表は2019年からボイストレーナーをスタッフに招き、“声”を鍛えた。ブラインドサッカーはフィールドプレーヤーがアイマスクを装置する。そのため生命線となるのが発声だ。守備側はチェックにいく際、「ボイ」(スペイン語で『行く』)の掛け声が必要になる。黙って近付いた場合や、発声が認められなければ「ノーボイ」の反則を取られる。
 
 川村が「発声の質、ボリュームは確実に上がった。ボイストレーニングの成果が出ていると実感しています」と言うように選手たちも手応えを感じているようだ。ボイストレーニングは「ボイ」の発声以外にも生きている。川村はこう分析する。
「日本代表の戦術は緻密。攻守でポジショニングを確認し合い、距離感を保つのには声掛けが大切。 味方同士の声掛けにも生きています」
 
 同組のブラジルはリオデジャネイロパラリンピック金、アジアのライバル中国は同4位だ。開催国とはいえ、初のパラリンピックで上位2カ国までが進める準決勝へは険しい道のりとなる。「金メダル」を目標に掲げる日本が世界の強豪を迎え撃つ。
 
(文/杉浦泰介)