(写真:対抗戦全勝優勝は4年ぶり。優勝回数を2桁に乗せた帝京大)

 4日、ラグビーの関東大学対抗戦Aグループが東京・秩父宮ラグビー場で行われ、帝京大学が慶應義塾大学を64-14で破り、3年ぶり10度目の優勝を決めた。全国大学選手権には対抗戦から帝京大、慶大に加え、明治大学、早稲田大学、日本体育大学の5校が出場する。

 

 深紅のジャージーが全勝で対抗戦優勝回数を2桁に乗せた。

 
 ここまで6連勝中の帝京大はトップ。2位の明大、3位の早大とは直接対決を制しており、4位の慶大を破れば文句なしの優勝だったが、敗れれば翌日の早明戦に持ち越される。
 
 しかし慶大には過去2シーズン対抗戦で敗れている。決して油断はできない相手だ。岩出雅之監督は慶大戦に向け、選手たちに「徹底」という言葉を授けたという。
 

(写真:オフロードパスで繋ぐ連続攻撃が慶大守備陣を苦しめた)

 キャプテンのPR細木康太郎(4年)はケガで欠場。代わりに同じ4年生の奥野翔太が右PRのポジションに入り、ゲームキャプテンは副キャプテンのFL上山黎哉(4年)が務めた。
 
 試合は開始早々に帝京大が先制した。LO青木恵斗(1年)が中央突破。二村莞司(3年)に繋ぐと、パスを受けたそのままインゴールまで持ち込んだ。SO高本幹也(3年)がコンバージョンキックを決め、7点リードした。
 
 慶大にセットプレーから2トライを奪われた。いずれもコンバージョンを決められ、逆転されたものの、23分に奥野がスピードに乗った状態でパスを受け、ラインブレイク。そのままトライを挙げた。37分にはCTB志和池豊馬(4年)がトライ。高本幹也のコンバージョンも決まり、21-14で前半を終えた。
 

(写真:高本幹也<赤の左から2番目>のゲームコントロールも光った)

 前半は競った展開となったが、不安はなかったという。岩出監督がハーフタイムのロッカールームを振り返る。
「選手たちがどのようなマインドかと見てみたら、リーダー陣がしっかりまとめてくれていた。“あとは大丈夫だな”と」
 
 その言葉通り、帝京大フィフティーンは冷静に相手を仕留めにかかる。5分に高本幹也がPGを決め、得点差を2桁に乗せた。このキックが猛攻の狼煙となった。
 
 11分に奥野のオフロードパスを受けたLO江里口真弘(4年)がトライを挙げると、なおもFWとBKが一体となった分厚い攻撃を仕掛ける。16分はCTB押川敦司(4年)、18分にはNo.8奥井章仁(2年)がトライをあげ、慶大を引き離す。
 

(写真:快足を生かし、タッチライン沿いを駆け抜ける高本とむ<中央>)

 20分、WTB高本とむ(2年)がキックオフのボールをキャッチすると、そのままカウンター。左サイドを1人でぶち抜き、約80mを走り切るノーホイッスルトライを挙げた。その後は高本幹也らにもトライが生まれ、後半だけで6トライ、計9トライで50点差をつけた。
 
 大学選手権9連覇を達成した後、3シーズン優勝から遠のいている。対抗戦優勝は3年ぶり、全勝優勝は4年ぶりだ。細木は「ここからがスタート。僕たちの目標は大学選手権優勝」と気を引き締めた。2017年度以来の全国制覇へ。対抗戦1位通過により、帝京大の大学選手権初戦は26日、準々決勝からとなった。
 
(文・写真/杉浦泰介)