07年10月21日、東京・お台場にて行われたトライアスロン日本選手権東京港大会。女子は、06年ドーハ・アジア大会銀メダルの上田藍(シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター)が初優勝を飾った。観客の声援を背に、笑顔で優勝のゴールテープを切ると「狙っていた大会で優勝できて嬉しい」と喜びを語った。
 北京五輪での活躍にも期待がかかるトライアスロン界の“藍ちゃん”に二宮清純がインタビュー。トライアスロンへの思い、今後の意気込みを語ってもらった。
(写真:日本選手権を初制覇し、北京五輪代表入りへ弾みをつけた上田藍選手)
二宮: あらためて日本選手権での初優勝、おめでとうございます。最終種目のランで8人を抜いての大逆転だったわけですが、レースを振り返っていかがですか?
上田: 最初のスイムで出遅れて第3集団にいたんですが、バイクで第2パックを吸収して、最終種目のランはトップ集団から約2分差の第2集団でのスタートしました。同じ第2集団にランの強い関根明子選手がいたので、関根選手とのラン勝負になるとイメージしていたのですが、まず2分差を縮めなければならない、と。4周回のコースの3周回目でトップの選手を抜いて、そこからは関根選手との勝負でした。自分の中で仕掛けるポイントがあったので、そこでロングスパートをかけて優勝することができました。

二宮: 優勝経験もあり五輪の代表にもなっている関根選手とのマッチレースに勝ったことは自信になったのでは?
上田: はい、自信につながりましたね。今まで、関根選手とランを同時にスタートして勝ったことがなかったので……。4月のアジア選手権で優勝すれば北京五輪の代表に決まりますが、そこでも日本人選手との戦いになるんじゃないかなと思っています。展開次第ですが、アジア選手権で優勝して北京の切符を掴むイメージも自分の中ではできています。

二宮: 上田選手は155センチ、44キロと小柄ですが、トライアスロンというハードな競技をやる上で大変なことは? しんどいと思うこともあるでしょう。
上田: もともと水泳と陸上をやっていて、あとは自転車を覚えればいいという感覚だったので、そんなに大変というイメージは自分の中ではあまりなかったです。身体が小さいので周りからも「その身体でよくできるね」と言われることが多いですが、逆に「身体が小さくてもできますよ」とアピールしたい。トライアスロンは競技時間も女子で2時間前後で、フルマラソンとそれほど変わらない。マラソン愛好者は多いじゃないですか。だからそういう方にも、どんどんトライアスロンにチャレンジして欲しいですね。

二宮: 本格的にトライアスロンを始めて6年だそうですが、やめたいと思ったことは?
上田: 練習できつくても、そこを乗り切ればレースで良い結果が出せる、という流れできているので、やめたいと思ったことはないですね。トライアスロンは本当に練習したことが結果につながる競技だと思います。

二宮: 今年は勝負の年になりますね。
上田: そうですね。稲毛に来て山根英紀コーチの指導のもと、7年計画で北京を狙おう、とやってきました。6年かけてやっと、代表選考レースに出て勝負ができるレベルまで上がってきた。「いよいよだな」と気が引き締まる思いです。

(続く)

<2月5日号(1月20日発売)の『ビッグコミックオリジナル』(小学館)二宮清純コラム「バイプレーヤー」にて、上田藍選手のインタビューが掲載されます。そちらもぜひご覧ください!>
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