(写真:先制点に沸くトヨタベンチ。絶えずチームは明るかった)

 28日、女子ソフトボールの新リーグ「JD.LEAGUE」開幕戦が千葉・ZOZOマリンスタジアムで行われ、トヨタレッドテリアーズがビックカメラ高崎ビークイーンを1-0で破った。今季は16チームが東西2地区に分かれて各チーム29試合を実施し、11月にリーグ戦上位7チームによる決勝トーナメントで優勝を争う。

 

 後藤、三輪、アボットの完封リレー(ZOZOマリン)

トヨタレッドテリアーズ

1=0000001

0=0000000

ビックカメラ高崎ビークイーン

勝利投手 アボット(1勝0敗)

敗戦投手 濱村(0勝1敗)

 

 新リーグの旗揚げ戦は、日本リーグで覇権を競ってきたトヨタとビックカメラ高崎が対決した。

 

(写真:今季よりショートに復帰した石川。堅い守備でチームを救った)

 今季のトヨタはキャプテンの古澤春菜、日本代表の渥美万奈、山崎早紀、峰幸代らが抜けて新たな船出を迎えた。中西あかね監督(現・東海理化チェリーブロッサムズ監督)がチームを去り、北京オリンピックの金メダルメンバーの馬場(旧姓・伊藤)幸子が新監督に就いた。

 

 新生トヨタのオーダーは東京オリンピックアメリカ代表のバッバ・ニクルスから順に伊波菜々、石川恭子、下山絵理、鎌田優希、石野江里佳、山田柚葵、切石結女、亀田栞里。新加入のニクルス、大卒新人の山田がスタメン出場を果たした。開幕投手には東京オリンピックで名を上げた21歳の後藤希友。22歳の切石結女との若いバッテリーで開幕戦に臨んだ。

 

(写真:ビックカメラ打線をゼロに抑えた後藤希。昨季MVPの実力を発揮)

 一方のビックカメラ高崎も日本リーグを3連覇で締め括ったメンバーから山本優、森さやかというチームの主軸を担った東京オリンピック日本代表が引退。大工谷真波がホンダリヴェルタに移籍した。日立サンディーバから炭谷遥香、ホンダから松本怜奈が加わった。新クリーンアップは内藤実穂、藤田倭、我妻悠香が務めた。

 

 ビックカメラ高崎の開幕投手は濱村ゆかり。初回、先頭のニクルスを四球で歩かせるなど1死二、三塁といきなりピンチを迎えた。ここは濱村が踏ん張った。下山をセカンドフライ、鎌田を空振り三振に仕留め、ランナーの生還を許さなかった。

 

 対する後藤希は初回を三者凡退と盤石の立ち上がりを見せた。3回に初ヒットを許すと、スコアリングポジションにランナーを進められたがバックの好守にも助けられ、4回を無失点で抑えた。「不安の方が大きかった」と後藤希。先発投手の役割を十二分に果たした。

 

(写真:好リリーフの三輪。ベンチでは一際大きな声を出していた)

 馬場監督は5回から三輪さくら、6回からモニカ・アボットをマウンドに送り、継投でビックカメラ高崎打線を封じにかかる。三輪は下位打線を、アボットは上位打線を三者凡退に抑え、味方の援護を待った。「少し緊張した」というアボットだが、「攻撃に良い流れを」と110km台のストレートを中心にしたピッチングでねじ伏せた。

 

 すると7回、ついに均衡が破られた。先頭のニクルスがツーベースで出塁し、続く伊波が着実に送る。1死三塁のチャンスで石川はサードゴロに倒れたが、新4番の下山が結果を残す。過去3打席はいずれもランナーを塁に置いた状態で凡退していた。「割り切って“絶対に勝つんだ”という気持ちで打席に入った」と下山。カウント2-1からの3球目、濱村のストレートをセンター前に打ち返した。

 

 待望の先制点を挙げたトヨタ。最終回はアボットが藤田をショートゴロ、我妻を見逃し三振でツーアウトを奪う。最後は代打の山内早織をサードへのファウルフライでゲームセット。3投手による完封リレーで開幕戦を白星で飾った。

 

(写真:ヒロインインタビューに応える下山。「ファンの方々と一緒に盛り上げていきたい」と語った)

 JD.LEAGUEは華々しくスタートを切った。プレイボール前と5回終了時には、幕張の夜空に花火を打ち上げた。リーグが売り出す “マンデーソフトボール”の第1弾は観衆6502人を集めるなど上場の入りだ。国歌斉唱は元選手が担当するなど随所にJD.LEAGUEらしさも。島田利正チェアマンは「選手の笑顔とハツラツとしたプレーを見て欲しい」と語った。

 

 切石は「観ているお客さんたちを楽しませるのが仕事。そのためにはまず私たちが心から楽しむ」と口にすれば、後藤希は「JD.LEAGUEを観て、小中学生が“私もここでプレーしたい”と思われるように全力でプレーする」と意気込んだ。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

■関連記事はこちら

島田チェアマンインタビュー(2022年3月28日掲載)