独立リーグ王者を決定する「日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ」が20日、石川県立野球場で開幕した。第1戦は北信越BCリーグチャンピオンの石川ミリオンスターズ先発・蛇澤敦と四国アイランドリーグチャンピオンの香川オリーブガイナーズ先発・塚本浩二の投手戦となった。石川は6回、松岡慎弥の2点タイムリーで先制すると、蛇澤が8回1失点に抑える好投。2−1で初戦を制した。

 松岡、値千金の先制タイムリー(石川1勝、石川県立野球場、755人)
香川オリーブガイナーズ 1 = 000000010
石川ミリオンスターズ 2 = 00000200×
勝利投手 蛇澤(1勝0敗)
敗戦投手 塚本(0勝1敗)
セーブ   高田(1S)

 エースの見事な投球で石川が狙い通りの接戦に持ち込み、白星をつかんだ。
 両先発は香川がサブマリン・塚本、石川がリーグ最多勝(15勝)の蛇澤。蛇澤は初回を三者凡退に抑えるなど、上々の立ち上がりだった。球速こそ130キロ台だが、コーナーを突く丁寧な投球で5回まで香川打線をわずか1安打に封じる。
 対する塚本も譲らない。初回、石川の2番・山出芳敬にレフト前安打を許すも、連打を与えない。アンダースローから繰り出すボールでゴロを打たせ、5回まで2安打に抑えた。

 試合が動いたのは6回。雨が降り出した影響か塚本の投球が乱れ始めた。石川は先頭の9番・佐野憲一がレフト前安打。待望のランナーを確実に犠打で進め、1死2塁のチャンスをつかむ。
 迎えた3番・三宅翔平、4番・深澤季生にはストライクが入らない。いずれも0−3とカウントを悪くし、最後は連続四球。石川は1死満塁とチャンスを拡大した。
 打席に入ったのは5番・松岡。カウント1−0からの2球目を引っ張った。打球はライト線を破り、2者が相次いでホームイン。シーズン最後に5試合連続ホームランを放って波に乗る男が石川に先取点をもたらせた。

 2点を先行された香川は直後の7回、反撃に転じた。1死から3番・堂上隼人、4番・智勝がこの試合初の連打で1、2塁とその足がかりを築く。ここで相対するのは丈武。8月の両リーグの交流試合で蛇澤が本塁打を打たれている相手だ。
 しかし、長冨浩志コーチがマウンドで一呼吸を入れると、蛇澤は冷静に自分のピッチングを取り戻す。カウント1−1からセンターフライ。続く強打者のブライスもポップフライに打ち取り、ピンチを切り抜けた。

 香川は8回、1番・近藤洋輔が右中間を破るタイムリー2塁打で1点を返したが、9回は石川のクローザー高田泰史の前に3人で攻撃を終えた。石川は1点差ゲームを守りきり、ホームでの第1戦でファンの声援にこたえた。

 見ごたえある好ゲームの明暗を分けたのは、やはり勝負どころでのミスだ。香川は7回、先頭の三輪正義が相手のエラーで出塁するも、牽制でタッチアウト。直後に連打が出ただけに痛い牽制死だった。最終回は智勝が四球で出たが、二盗に失敗し、貴重な同点のランナーを失った。走者に執拗な牽制をみせるなど、石川のバッテリーの対策も功を奏した。
 
 石川がホームで連勝なるか。それとも香川が巻き返すか――。第2戦は石川が19歳の若き右腕の渡辺孝矢、香川が今季リーグ最多勝(15勝)をあげている松尾晃雅の先発が予想される。

<10月21日(日)の予定> 
◇グランドチャンピオンシップ第2戦
石川県立野球場  石川−香川 19時