暑い日がいつまで続くのかと思っていたら、アッという間に空気が冷え込んだ。年々、秋の時間が短くなっているような気がする。もうすぐ大晦日だ。
 今年も、さいたまスーパーアリーナで格闘技イベントが開催される。当初は大会の継続はなされるものの、大きな後ろ盾もなく、マッチメークは厳しいものになるのではないかと予想していた。だが、様相が一変した。地上波でテレビ中継されないのが勿体ないくらいの見応え十分なビッグ&ロングイベントとなる。
(写真:シュルト(右)やボンヤスキーも来日し、ヘビー級の頂上決戦に挑む)
 先月上旬、12月2日に千葉・幕張メッセで開催されるはずだった『GLORY4』の中止が急遽発表された。ただ、これは単なる中止ではなく、大晦日開催の『DREAM18』にドッキングするというもの。よって大晦日イベントの名称は『DREAM18&GLORY4』に変更。12・2幕張で予定されていたキックボクシングの「ヘビー級グランプリトーナメント」も大晦日へ移行されたのだ。すでに組み合わせ抽選会も終わり、1回戦のカードは以下のように決定している。

 セーム・シュルト(オランダ)vs.ブライス・ギドン(フランス)
 セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア)vs.リコ・ベボーベン(オランダ)
 グーカン・サキ(トルコ)vs.羅王丸(日本)
 アンデウソン“ブラドック”シウバ(ブラジル)vs.イゴール・ユルコビッチ(クロアチア)
 レミー・ボンヤスキー(オランダ)vs.フィリップ・ヴェルリンデン(ベルギー)
 エロール・ジマーマン(スリナム)vs.ジャマール・ベン・サディック(モロッコ)
 ピーター・アーツ(オランダ)vs.ムラッド・ボウジディ(オランダ)
 ダニエル・ギタ(ルーマニア)vs.ファビアーノ・サイクロン(ブラジル)

 かつてのK-1GPチャンピオン、アーツ、シュルト、ボンヤスキーらを筆頭に実に豪華なメンバーが揃った。それだけではない。この大会で行なわれるのは1回戦だけではなく、準々決勝、準決勝、決勝までノンストップで突き進む。つまり、優勝にするには一夜に4試合を勝ち抜かねばならぬ苛烈なサバイバルファイトが繰り広げられるのだ。実にトーナメントだけで15試合となる。

 このほかにDREAMの総合格闘技も組み込まれる。今日(12月6日)発表されたのは次の2カード。
▼バンタム級ワンマッチ
 ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル/DREAM同級王者)vs.前田吉朗(パンクラス稲垣組/DEEP同級王者)
▼ミドル級ワンマッチ
 メルヴィン・マヌーフ(オランダ)vs.デニス・カーン(カナダ)

 加えて、川尻達也(T-BLOOD)、高谷裕之(高谷軍団)、北岡悟(ロータス)の参戦は発表済み。ここに青木真也(パラエストラ東京/Evolve MMA)の参戦も濃厚で玄人好みのカードが、これからさらに発表されることになるだろう。総合格闘技の試合は8試合になる予定。

 石井慧(ブラックハウス)に関しては、参戦の可能性は低そうだが、これだけのカードが揃えば、もう十分なようにも思う。同日、両国国技館で開かれるIGF主催の『INOKI BOM-BA-YE2012』は当初、プロレスのみの大会と考えられていたが、どうやら数試合、総合格闘技マッチを組むことも検討されているようだ。ならば石井は両国のリングに上がることになるかもしれない。

 今年の大晦日は、人気絶頂時に勝るとも劣らぬ「格闘技の日」となる。ボクシングは2会場(東京・大田区総合体育館、大阪府立体育会館)で計5つの世界タイトルマッチが行なわれる。ここに格闘技イベントが同日開催されるのだから盛り上がらぬはずがない。

 2012大晦日が「格闘技人気復活!」の序章になることを願う。

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近藤隆夫(こんどう・たかお)
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実〜すべては敬愛するエリオのために〜』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー〜小林繁物語〜』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』(汐文社)ほか。
連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)
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