INFINITIES、ブレずに見据えるチームの未来 ~D.LEAGUE~
日本発プロダンスリーグ『D.LEAGUE』に所属するValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)は参入4季目のシーズンを終えた。BLOCK VIBE7位で3季連続のチャンピオンシップ(CS)進出には届かなかったものの、CYPHER ROUNDで2位、TSUKKIやMAiKAのMVD獲得などインパクトを残した。

(写真:昨年10月の開幕戦は白星スタートだった ©D.LEAGUE25-26)
CYPHER ROUNDを除いた対戦成績は、1勝6敗と勝率は2割にも満たない。スコア獲得率を見てみると、やはり課題となったのはシンクロパフォーマンスの21.0%だ。1試合平均3%。この項目は12.5%を相手と分け合うわけだから、1試合平均して9.5%差がついていた計算になる。同BLOCKでシンクロを課題としていたFULLCAST RAISERZ(フルキャスト レイザーズ)、DYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)でも40%台(1試合6.0%)を確保しており、結果に影響した要素の一つと言えるだろう。
得意とするエースパフォーマンス、テクニックでも他を圧倒し切れなかったのも痛い。もし苦手分野に目をつむるのだとしたら、強みの部分でライバルと大きく差を付ける必要がある。その点もあと一歩噛み合わなかったような印象がある。ただ結果は振るわなかったが、作品一つひとつを見ても、対戦相手に大きく劣っていたとは感じない。

(写真:今季新加入のMAiKAは過去2度SPとして出場 ©Valuence INFINITIES)
ROUND.2ではMESSENGERSに敗れたものの、MAiKAがMVDに選ばれた。敗戦チームからMVD受賞はリーグ初。それだけMAiKAのスキル、存在感はこのラウンドで際立っていた。空間を支配するようなアイソレーション。リーダーのSEIYAが「ダンススキルは誰が見ても上手い。根本のダンス力の高さがある。何を踊らせても上手いし、音楽の取り方、抑揚の付け方にも長けている」と絶賛するのも頷ける。
今季新加入のMAiKAがあまり違和感なく溶け込めていたように映ったのは、過去2シーズンSPダンサーに起用されていること、リーダーのSEIYAとはストリートダンスチーム『池田部屋』で組んでいることにも依るだろう。それが本格参戦の理由でもある。
「私はバリュエンスの試合配信や動画を見るのが日課でした。SEIYAも昔からの仲なので、ずっとみんなを応援していました。最初はD.LEAGUEに参加すると、あまり考えておらず、どこか別世界だなと思っていたのですが、SPの機会をいただき、バリュエンスの中身やみんなの人間性に触れ、“このチームだったら一緒に頑張れそう”と思ったのがきっかけです」
INFINITIESと言えば、ヒップホップ、ブレイキン、ハウスの3ジャンルを軸にしたストリート色の強いチームだ。シーズン中、MAiKAに話を聞くと、そこに自らのエッセンスを注入したいと考えていた。
「ヒップホップやブレイキンなどに特化しているのは、もちろんすごいことだと思うんですが、自分はどちらかと言うと、いろいろなジャンルを経験し、ダンスに重きを置いてやってきました。そこは自分が大事にしている部分で、その“ダンスフル”“ダンス力”と言われているところは自分の持ち味だと思っています。あえてヒップホップだけじゃない雰囲気とか曲の聴き方、あとは構成のつくり方。ストリート色だけにならない構成、作品のつくり方が自分のカラー。そこがうまいこと混ざればいいなと思っています」

(写真:CYPHER ROUNDのDUOで1位を獲得したMAiKA<左>とSEIYA ©D.LEAGUE25-26)
D.LEAGUEにおける相対評価では、うまく混ざり切らなかったと見ることもできるかもしれない。MAiKAは今季CYPHER ROUNDを含む4ラウンドに出場した。CYPHER以外の3戦はいずれも敗戦だったが、CYPHERではSEIYAとのDUOで1位を獲得。INFINITIESのCYPHER ROUNDトータルランキング2位に貢献した。
「最高でした。トップバッターで1位を取ることの気持ち良さを、改めて実感しました。ただ、これはSEIYAとだからこそ、できたことだと思っているので、感謝の気持ちしかありません。(勝因は)その瞬間だけのものではなく、これまで積み上げてきた2人の努力や経験値、スキルの積み重ねによるもの。特にこの1年はずっと、“ああでもない、こうでもない”と話し合う時間が多く、積み上げてきた時間の質が大きい」
シーズン中、MAiKAは「チームができて何年か経ったところにポッと入ってきた新人。今までのやり方、考え方は崩したくない」と話していた。「馴染むところに馴染み、自分を出せるところは出していく。その切り替えは探り中」とも。ある種、“ゲスト”として加わるSPとレギュラー参加では、違う難しさがあったのだろう。
MAiKAは今季をこう振り返った。
「自分としては、この年齢で、このダンス歴にして初めてのことに挑戦したという感覚がありました。楽しかったことや思い出はもちろんたくさんありますが、その分、自分を振り返る瞬間も多くありました。どこか新境地に来たような感覚があり、この1年間でそれを完全に自分のものにできたかと言われると、まだまだだと感じています。ただ、ここで得たものをしっかりと自分の力にし、来シーズンや新しい場所でさらに勝てるようになっていければ、チームとしてはもちろん、自分自身のダンスや経験、人間としても成長できると思っています。だからこそ、あきらめたくないと思っています」
彼女の言う「まだまだ」にのびしろを感じさせる。リーダーのSEIYAはシーズン中、チームの行く先をこう見据えていた。
「ベースとしているスタイルは変わらず、土台がどんどん大きくなっていく。若い子も入ってきたり、大御所みたいなMAiKAが入ってきた。圧倒的に幅が広がったと思う。ただ芯の部分はブレず、そこからどんどん太く、分厚くなっていけばいいと思っています」

(写真:シーズン中に異例とも言えるワンマンライブを3度も開催した ©Valuence INFINITIES)
今季、INFINITIESは「ROUNDS LIVE」と銘打ったワンマンライブを3度開催した。リーグ戦開催会場のある首都圏にとどまらず、4月のVol.3ではメンバーのTSUKKI、MAiKAの地元・大阪で実施した。これはINFINITIESが掲げる「ホームタウン日本構想」の一環でもある。拠点を大阪に置くMAiKAも特別な想いがあったという。
「自分はこれまでずっと大阪に住んでいて、常に大阪でイベントがある環境でした。だから大阪での仕事やイベントに対する特別感はあまりありませんでしたが、今回バリュエンスとして大阪で踊るのは初めて。自分がD.LEAGUEに入ってから初めての大阪でのショーケースだったので、これまでとは違った新たな一面を大阪の方々に届けることができ、同時にチームの雰囲気も知ってもらえたことが、とてもうれしかったです」
ROUNDS LIVEは7月にVol.4を予定している。
今季のD.LEAGUEはAWARDS SHOWを残しているが、INFINITIESは来季に向け、既に動き出している。先月18日、新メンバーオーディション開催を発表。同日エントリーが開始となった。ディレクターのKATSUYAはリリースを通じ<よりINFINITIESの色を濃くしていきたい中で、新しい力を持つ人たちにも刺激を受けたく、今回のオーディションを通して仲間探しができればと思っています>と述べている。
INFINITIESの色を濃くしていきたい――。その言葉にチームのプライドが滲んでいた。
(文/杉浦泰介)