競泳のジャパン・オープン最終日は6月8日、東京辰巳国際水泳場で行われ、男子200メートル平泳ぎの決勝で、北島康介(日本コカ・コーラ)がハンセン(米国)が持つ2分8秒50の世界記録を1秒近く更新する2分7秒51の世界新記録で優勝し、8月の北京五輪での2連覇に向け弾みをつけた。
 北島は英スピード社製の水着「レーザー・レーサー(LR)」を着用していた。
 最終日の最終種目、男子200メートル平泳ぎの決勝に臨んだ北島は「泳ぐ前から、(記録を出す)自信があった」と振り返った。序盤から積極的に入り、150メートルでは、ハンセンが持つ世界記録を0秒88上回ってターン。課題とされてきた残り50メートルもスピードは落ちず、自己記録2分8秒84を1秒以上上回る大記録を打ち立てた。
 大歓声に包まれた世界記録達成の瞬間、電光掲示板で記録を確認した北島は、身体全体で喜びを表現し、両手を天井に突き上げた。

 レース後、北島は「ジュニアの時から泳いできたこのプールで(記録を)出したいというのが夢だった。この瞬間をみなさんと共有できて本当にうれしい」と喜びを語り、インタビューでアテネ五輪後に北島自身が口にした言葉である「『超気持ちいい』ですか?」と問われると「泣きそうです」と答え、「本当に自信になった」と快挙をかみしめた。
 大会前から水着にばかり注目が集まっていたことに関し、「泳ぐの選手自身。選手の頑張りに注目してほしい」と主張していた北島は、水着問題については「選手たちがこれだけ良い記録を出しているのは事実。皆さんもそれは感じてもらいたいし、自分が世界記録を出して、『泳ぐのは自分たちなんだ』というのを伝えられればよかったかなと思う」と振り返った。
 これで北島は、50メートル、100メートル、200メートルと、今大会出場した全ての種目で記録を塗り替えた。
 だが、目標はあくまで北京五輪だ。すぐに表情を引き締め、「世界新は出したけど、気持ちは挑戦者のつもりで頑張りたい」と言葉に力を込めた。

 このほか、男子50メートル背泳ぎでは宮下純一(ホリプロ)が25秒28、女子50メートル背泳ぎでは、中村礼子(東京SC)と高校3年生の酒井志穂(ブリヂストン)が同タイムの28秒25、男子200メートル個人メドレーの藤井拓郎(KONAMI)が1分59秒28、男子100メートルバタフライの河本耕平(SNW)が51秒77と、それぞれ日本新記録を樹立した。

 レース後、日本水泳連盟の佐野和夫専務理事は、北京五輪の代表選手の着用水着について、「水着の面で選手たちに不安を持ってもらいたくない。自由に選手が(水着を)選べるように制限がないような方向に持って生きたい」と語り、契約するミズノ、デサント、アシックスの国内3社以外側からも同意を得たことを明らかにした。
 日本水泳連盟は10日に行われる常務理事会で、北京五輪での水着着用についての方針を正式に決定する。