東京五輪世代の強化が活発化する。

 東アジアのナンバーワンを決めるE-1選手権(10日開幕、韓国)のメンバーが発表され、A代表の国内組とU-22代表の“混合チーム”という編成になった。イメージとしては今夏に開催されたコパ・アメリカのパターンに近いだろうか。

 

 ただ、E-1選手権は国際Aマッチデーに該当しない。そのため所属クラブに対する強制力が働かない。欧州組を呼び戻すことができず、国内組だけで編成するよりは来夏に控える東京五輪の強化も考慮したほうがいいという判断だろう。

 

 J1で首位・横浜F・マリノスをけん引する仲川輝人が初めてA代表に呼ばれたのは注目だが、国内組は従来のメンバーが中心。半数以上が東京五輪世代になっており、大迫敬介、相馬勇紀、遠藤渓太、渡辺剛、上田綺世、小川航基らが名を連ねている。

 

 またU-22代表は28日に親善試合のU-22ジャマイカ戦(長崎)が控えているものの、E-1選手権のメンバーと重複していない。こちらのほうにはズヴォレの中山雄太、バルセロナの安部裕葵、マリティモの前田大然ら海外組が含まれている。両大会でのパフォーマンスやコンディションを踏まえて1月8日からのAFC U-23選手権(タイ)のメンバーが選出されるというわけだ。

 

 懸念されるのはやはりコンディションだ。

 J1勢は12月7日に最終節を終えれば大半がオフに入るとはいえ、U-22ジャマイカ戦のメンバーは休んで2週間程度。E-1組も帰国してからほぼ同期間のオフになると見込まれる。しかし天皇杯のベスト4に残っている鹿島アントラーズ勢は12月21日の準決勝をクリアすれば、元日の決勝へと向かう(相馬、上田はジャマイカ戦が決勝への準備期間とかぶる可能性があるためにE-1選手権のメンバーに入ったと推察される)。もしAFC U-23選手権のメンバーに選ばれたら帰国後にオフを設定されることになるだろう。

 

2020年のJ1は東京五輪の期間中、中断する方針のため2月21日開幕が有力となっているという。ACL出場チームはその前からグループリーグが始まるだけでなく、ルヴァンカップもJ1開幕前にスタートする予定だという。そうなれば2019年シーズンより早く始動しなければならず、オフらしいオフを取れないまま新シーズンに向かわなければならない恐れが出てくる。

 

 一方、欧州でプレーする海外組は来春までシーズンを戦ってから、東京五輪の準備に入ることになる。彼らにもオフをどう与えていくかは非常に大きなテーマになってくる。

 

 言うまでもなく日本の夏は暑い。メダル獲得のプレッシャーとも戦わなければならない。心身ともにベストの状態で大会に入るためには、どこかでしっかりと休養を取っておく必要がある。森保一監督はその逆算をしたスケジュールを組んでおかなければならない。

 

 休養も強化の一環という考え方は必要だ。

 2010年の南アフリカワールドカップがそうだった。この年も代表とクラブで過密日程となり、当時の岡田武史監督は壮行試合となった韓国戦(5月24日)の3日前にチームを集合させた。重要なライバルの一戦と考えればもっと早く集合させるべきとの声もあったが、指揮官はオフを選んだ。

 

「休ませないことには体が本大会で持たなくなる。5月15日に世界中のリーグが終わったり、中断するわけだけど、まずは休養を取らせないと。02年、06年のワールドカップに比べて強化の日程が2週間ほど短い。そこで休ませるというのはものすごく怖いんだけど、それでも休みを優先させたい」

 

 韓国戦は完敗に終わり、岡田監督は批判も浴びた。早くから準備していた韓国との差が出た形となった。しかし本大会では2大会ぶりにグループリーグを突破。うまくいったコンディション調整の成果でもあった。

 

 活動の活発化に合わせて、選手をどのタイミングで休ませておくか。“いい休養”が本大会の明暗を分けると言っても、過言ではないのである。


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