日本の“忍者”はメジャーリーグ(MLB)でも成功するのか!?

 広島は11月8日、菊池涼介内野手のポスティングシステムを利用してのMLB移籍を容認したことを発表した。

 

<この原稿は2019年12月2日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

 菊池と言えば、日本球界きっての守備の名手である。セカンドとして13年から7年連続ゴールデングラブ賞に輝いている。

 

 菊池の守備範囲の広さは補殺数にはっきりと表れている。

 セカンドでの補殺数歴代ランキング・ベスト3は、全て菊池なのだ。

 

 1位 2014年 535

 2位 2013年 528

 3位 2016年 525

 

 以下は広島の同僚、松山竜平の菊池評だ。

<あの身体能力の高さ。目を見張るばかりです。ライトを守っていて、完全にこっちに飛んでくるようなゴロとかを普通に捕ってみせますからね。「オオイッ」みたいなね。「おまえ、すげぇな」って何度も驚かされています。あいつはもう人間じゃない。サルですね(笑)>(菊池涼介・丸佳浩著『キクマル魂』・廣済堂出版)

 

 菊池は2017年のWBCに日本代表として出場し、米国でもファインプレーを連発した。それによりMLBのスカウトからも高い評価を受けた。

 

 過去を振り返るとケガに泣いた日本人二塁手は少なくない。松井稼頭央、岩村明憲、西岡剛らが、“殺人スライディング”の餌食にされた。

 

 松井は語っていた。

「米国には“ベースが防御してくれる”という教えがある。要するに(二塁)ベースの前に出るとやられる。僕がメッツでヒザをやられた時もそうでした」

 

 しかし、MLBでは16年にルールが改正され、併殺を妨げるスライディングに対しては、厳しくインターフェアが適用されるようになった。以前よりは故障のリスクが減ったとみていいだろう。

 

 問題はバッティングだが、菊池は広角に打ち分ける器用さを持つと同時に意外性もある。内野として日本人初のゴールドグラブ賞に期待したい。

 

(このコーナーは二宮清純が第1週木曜、書籍編集者・上田哲之さんが第2週木曜、フリーライター西本恵さんが第3週木曜を担当します)


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